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【J2:第13節 仙台 vs 福岡】プレビュー「勝ち方」を我が物にしつつある仙台。クラブ記録に並ぶ6連勝を賭けて、守備の要を欠く福岡をホームに迎える。(09.05.04)

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5月5日(火)J2 第13節 仙台 vs 福岡(15:00KICK OFF/宮城ス)
スカパー!生中継 Ch179 14:50〜(解説:鈴木武一、実況:松尾武、リポーター:村林いづみ)
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 今年のゴールデンウィークは、仙台にとってまさに「黄金週間」になりつつある。
 世間が本格的な連休に入り、同時にJ2が中2日の4連戦という怒濤のスケジュールに突入した第10節。そこからの3試合を全て勝利しているのは仙台だけ(続くのは2勝1分の札幌と富山)である(節別動向)。さらに仙台はそれ以前の第8節から勝ち続け、現在5連勝中。過去にも仙台には6連勝(2001年)と5連勝(2002年)があったが、どちらも内容には延長Vゴール勝ちが含まれており、延長戦が廃止された2003年以降の5連勝はクラブ史上初という事実が、現在の好調をさらに際立たせる。
 GW最後の試合を仙台はホームである宮城スタジアムで迎えるわけだが、ぜひクラブの最長連勝記録にまず到達し、試合後には好調のチームを一目見ようと多く集まるであろうサポーターと共に勝利の凱歌を上げたいものである。

 そんな仙台の5連勝に共通して言えるのは、先制してからの強さ。これには「安定感」などいろいろ置き換えることが可能な表現があるものの、結果が完璧に伴っている以上、やはり「強さ」という表現が適切なのだろう。試合の立ち上がりに多少押し込まれようとも、そこはリーグ最少の6失点、そして12試合で完封が7つという素晴らしい数字を残している守備が踏ん張り、そのうちどんな形であれ先制点を奪ってしまえば、あとは守備をこじ開けようと前がかりになった相手に、無慈悲なまでのカウンターを浴びせる。5試合で11得点1失点、完封勝利が4つという5連勝は、ほとんどがこの流れで記録されたものだ。
 仙台がこうした戦い方を完成させた要因として触れるべきは、今季新加入のブラジル人FW、マルセロソアレスのフィットである。キャンプ時には好調が伝えられていたものの、開幕時からスタメンのポジションを日本人FWに譲ったあたりから調子を落としていた。前線からの守備を求められ、慣れないそれをこなそうと奮闘するあまりに、余計な警告(すでに累積3枚)を受けるなど、一時は悪循環にはまりかけた。
 だが元々、馬力のある強引な突破意識と、縦へのスピード、そしてDFラインを抜け出すセンスには見るものがあっただけに、そのよい使い方が見つかったことが、マルセロソアレス自身の、同時にチームの浮上のきっかけとなった。
 リードを奪った後のマルセロソアレス投入は、戦局全体に影響を与えるほどに効く。なんとか同点に追いつこうと相手の布陣が全体的に前へとシフトしたら、ゲームを決めるべくマルセロソアレスの出番だ。後方にスペースを抱えた相手DFにとって、ガツガツと突っかけてくる相手FWを止めるのは、時に警告、位置や体勢が悪ければ一発退場のリスクもあるわけでそら恐ろしいことだが、マルセロソアレスはそれを実直なまでにやってくる。
 さらにそのマルセロソアレス自身が、フィニッシュへの果敢なトライと決定力を発揮し始めたことが、相手チームにさらなる頭痛をもたらす。前節の2ゴールのうち自身の1点目は、ブラジル人らしい発想と技術が融合した素晴らしい一発だった。頭上を越すトラップで相手DFをかわして決めたシュートは、サポーターだけでなく、獲得を決めたクラブ関係者をも安堵させたであろう一発となった。
 このマルセロソアレスの能力をフルに発揮させるために、仙台がとにかく得たいのは先制点、そして後半に入ってのリードである。ここ3試合はセットプレーと相手のミスからの展開によってそれを得たが、今節はどうか。

 となると逆に、今回アウェイ戦となる福岡が重要視しなくてはいけないのが、とにかく先制点を仙台に献上しないこと。だがそれに関して今節、福岡は大きな不安を抱えることとなった。
 開幕から全試合フル出場を続けるなど、新加入の今季からさっそく守備陣のリーダーとなった、元日本代表DF田中誠が、累積警告のために今節出場停止となった。これまでの出場記録を元に考えれば、おそらくは柳楽智和と丹羽大輝のコンビがセンターバックを務めることになると思われるが、仙台の細かなパス回し、さらに前線でスペースを漂うことでDF陣を混乱に陥れる平瀬智行らの動きに幻惑されることなく守れるか。
 大久保哲哉に高橋泰というJ2で屈指の2トップを擁する前線も、第9節徳島戦の高橋のゴールを最後に、ここ3試合連続で無得点と湿りがちなことを思えば、ゲームの流れを仙台のレールに乗せないためにも、彼ら守備陣にかかる責任は大きい。

 宮城スタジアムで福岡戦と言えば、思い出されるのが仙台のJ2降格後最初のシーズンとなった2004年の第37節。おそらくは昇格に向けての山場と考えて、この福岡戦をあえて座席数の多い宮城スタジアムにセッティングしたという背景もあったと思われるが、ベルデニック監督(当時)の下、苦しい戦いを続けていた仙台はこの試合でも福岡に主導権を握られ1−2での敗戦。もう昔話で時効だと思うので書くが、直前にあった報道も引き金となり、試合後の会見ではゲームの内容もそっちのけで監督の去就についての質疑応答が延々と続く(クラブとの関係について、ベルデニック監督の際どい発言もあり、確か30分ほど続いたような)ものとなるなど、現場には重苦しい雰囲気が漂う一戦となった。
 そうした過去の苦い記憶も、この際仙台は全て払拭してしまいたい。延長なしの6連勝という栄誉は、それには十分なものである。

以上
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