5月5日（火）J2 第13節 甲府 vs 水戸（18:00KICK OFF/小瀬）
スカパー！生中継 Ch179 17:50〜（解説：塚田雄二、実況：吉岡秀樹、リポーター：前田真宏）
☆GWはファミリーJoinデイズへ行こう！｜勝敗予想ゲーム■5日13時締切！
----------
　第11節で首位の湘南に勝って、「勝ったど〜」と気分よくアウェイ愛媛戦に臨んだが、0−2と屈辱的な敗北を味わった甲府。疲労の限界を超えて戦ってきた杉山新、石原克哉、森田浩史をメンバーから外して、愛媛戦では津田琢磨、輪湖直樹らにチャンスを与えた安間貴義監督。この判断が正しかったかどうかは、第12節の結果だけを見れば批判を完全に封じることは出来ないかもしれないが、長いシーズンを考えれば正しい判断だと思う。大事な選手がケガをしてからでは遅いし、MRIの映像を見れば杉山も石原も「ケガ」をしていると判断せざるを得ない状況だったそうだ。もちろん、メンバーを変えても愛媛戦に勝つことが一番いいことだったが、サブメンバー全員がチャンスを貰ったときに結果を出すために、もっとレベルアップをした準備をする必要性を感じてくれれば無駄にはならない。公式戦を戦わずにレベルの高い準備をすることは簡単ではないが、そう何度もチャンスは来ない。これは選手個々の意識の課題。「使ってもらえない」と思うか、「チャンスがいつ来ても絶対に掴む」と思って日々を過ごすのでは大きな差が出る。プロサッカー選手としての自分の価値を高めたければ、やるしかない。それが出来ないのなら今から宅建か簿記の資格でも取りに行ったほうがいい。

水戸はエースFW・荒田智之が全治3ヶ月のケガを負ったことが例えようのないショックだ。J2得点王（9ゴール）が不在になる水戸は、今節以降は全て真価を問われるゲームになる。「荒田がいてくれれば」という言い訳は出来ない戦いが続く。非常にしんどい現実だが、昇格圏内を目の前（現在5位）にしてズルズル順位を下げるわけにはいかない。

今節は高崎寛之と吉原宏太のツートップが予想されるが、荒田とツートップを組んできた高崎に対する甲府の評価は高い。長身でクサビになることができる選手だが、安間監督は「一人でも仕事が出来る選手」と荒田の不在で高崎のパフォーマンスが落ちるとは思っていない。クサビのプレーをフェイントにして前を向いてプレーをする選択肢を持っている。もちろん、吉原の上手さも警戒が必要だ。水戸の木山隆之監督は甲府のCB・ダニエルが出場するかどうかに関心が強いようだが、プレー内容はともかく、出場・不出場ということでは木山監督の目論見通りにはいかなさそうだ。また、甲府同様に選手の疲労が激しい水戸は、大幅に選手を入れ替えてくる可能性もあり、甲府のスカウティングの通りには行かない部分も出てくるだろう。そういう部分では「ゲームを尊重して、グラウンドで結果を出せ」（安間監督）ということが甲府の選手に求められる。

今節は現時点でのベストメンバーに近い先発で戦うことが出来そうな甲府だが、どの選手も何かしら不安な部分を抱えている。これは、水戸のレギュラー選手も同じだろう。第10節からの中2日の4連戦は、タフな九州の高校サッカーの選手でもしんどい。勝敗も重要だが長期離脱となる選手を出さないことも重要な戦い。監督に助言をする各クラブのメディカルスタッフにとっても不安だらけの連戦だ。先発メンバーが大きく変わることが予想される水戸のサブメンバーがこのチャンスをモノにできるかどうかも水戸サポーターには見所になる。

「もう一つ上のステージに上がって相手を圧倒するためには、愛媛戦のようなプレーをするわけにはいかない」とキャプテンの山本英臣は言う。愛媛戦はシュートがバーに当たるという最近の甲府ではおなじみの不運もあったが、失点の場面は判断ミスや連携のミスがあった。勝ち点が増えて、昇格圏内の順位にいることでリスクマネージメントの判断にブレがあった。結果論だが、立ち上がりは長いボールを蹴ってリスクを避けて、守備のリズムを作ったほうがよかった。ポジションが変わったことの影響もあるだろう。まだまだチームは熟成のレベルには遠い。先発経験の多い13〜14人でチームを引っ張っているのが現実。サブメンバーが力を付け、それを発揮できなければ51試合は戦えない。「結果的に、選手を入れ替えて負けたということがチームとして悔しい」と山本が言うように、突き詰める部分はまだまだ残っているのが今の甲府。フィジカルコンディションの厳しさが判断ミスに繋がらない戦いを見せて欲しい。

以上

2009.05.04 Reported by 松尾潤