5月5日(火) 2009 J2リーグ戦 第13節
仙台 3 - 1 福岡 (15:04/宮城ス/13,596人)
得点者:35' 大久保哲哉(福岡)、47' 梁勇基(仙台)、48' 中島裕希(仙台)、52' 千葉直樹(仙台)
スカパー!再放送 Ch182 5/6(水)15:30〜(解説:鈴木武一、実況:松尾武、リポーター:村林いづみ)
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仙台の5連勝は全て先行逃げ切りの形。勝ちパターンが構築されているというのは間違いない事実なのだが、我々取材陣、そしておそらくはサポーターの脳裏にもうっすらとあった疑問、というか不安は、実際に戦うチームの中にもやはりあったらしい。
「もし先制されたら、どうなる?」
手倉森誠監督は試合後の会見で、福岡戦前のトレーニングにおいて、キャプテンの梁勇基とそうした会話があったことを明かした。するとその時、梁はこう答えたらしい。
「1点を与えても勝てれば本物ですよ」
期せずして福岡戦は、この梁の言葉を試す一戦となった。
互いに体力的に厳しい中、ゲームの先手を取ったのはアウェイの福岡。
中でも元気だったのは前線。鋭い出足で仙台ゴールに迫るのはもちろんだが、さらにゲームにおいて効果的だったのは、前線からの激しいチェック。ここ最近、仙台の攻撃の起点となったのは、ボランチ、あるいは最終ラインからの中長距離の展開だったのだが、そうした「出所」を猛然とつぶしにかかったのだ。その結果仙台の前線と後方は分断され、なかなか効果的な攻撃を繰り出すことが出来ない。
さらに仙台には、ピッチのあちこちでミスが目立ち始める。そうした悪い流れそのままに、先制点が福岡に入ることとなった。35分、ハーフウェーライン付近の右サイドでFKを得た仙台だが、速いリスタートから左へのサイドチェンジを試みた関口訓充のキックがミスとなり、直接宮本亨へ。そのパスを受けようと前へ出ていた朴柱成は裏のスペースを城後寿に取られ、そこにパスが通る。ゴール前の状況を見た城後は時間をかけることなく素早いセンタリングを入れると、それに素晴らしいタイミングで飛び込んできた大久保哲哉が長い足を伸ばして合わせ、堅守を誇った仙台のゴールマウスをこじ開けた。
序盤から飛ばした福岡としてはまさに狙い通りの展開で、前半はこのまま0−1で終了。さて仙台は、今季最悪の内容とも見えた前半から、どう立て直してくるのか。
この時点での筆者の案を述べるとすれば、実は「ロングボールに切り替えても良いのでは」という考えがあった。どうせ中盤を使えないのならばロングボール。少なくとも前半からリズムは変えることが出来るだけに、後半開始10分、15分くらいはやり方を変えて福岡を揺さぶるべきなのでは、と考えた。
だが後半開始から、手倉森監督がプレスに苦しんでいた斉藤大介を代えてピッチに投入したのは、同じく中盤の永井篤志。前半のあまりの内容の悪さに、あくまで中盤での構築にこだわり続けることを示したこの采配が効果を発揮するのか、交代のアナウンスを見た時には正直懐疑的に思った自分がいた…のだが、これに関しては手倉森監督に謝罪せざるを得ない。
結果的にこの交代、大当たりだったのだ。
その真偽が判断される前に、まず仙台は美技で同点に追いつく。47分、ゴール正面やや左でFKを得た仙台。これとほぼ同じ場所から決めた熊本戦の2発を見ていた者ならばなんとなく予感はあったが、梁のキックは想像を上回る素晴らしいスピードと軌道で、ゴール右上隅を射抜く。遠くアウェイまで応援に行けなかったサポーターに、改めてホームで魅せる…宮スタの観客動員にも貢献しそうなクラブ想いの一発で試合は振り出しに戻った。
だがそこで沸いた歓声は、わずか1分後、より大きな歓声にかき消される。右サイドの菅井直樹からバックパスを受けた永井は、ダイレクトでセンタリング。本人は「ミスキック」と笑うが、低い弾道でニアに入ったボールには、それをこそ待っていた中島裕希がしっかり走り込んでいた。そして倒れ込みながら、右足ワンタッチという難しい一発がゴール右上に突き刺さる。これがチームの勢いか。たった2分で仙台は試合をひっくり返してしまった。
この場面での永井の貢献をあえて説明すると、前半、仙台のボランチはほぼ全ての時間、高い位置を取ることが出来なかったのだが、2点目の場面では右サイドの攻撃に呼応し、右45度の位置までするすると入っていたことがセンタリングに繋がった。オフザボールの動き、あるいは自ら密集を突破するドリブル、さらにはテンポよく味方につなぐボールタッチで相手のプレスを無力化できる永井の投入が、福岡の体力低下とも相まって、中盤の様相を激変させた。
ホームチームが激流のごとき流れをつかめば、そう簡単にそれをせき止めることはできない。52分、仙台の何でもないロングボールをヘディングでクリアしようとした宮本が、目測を誤ってか後方にそらし、仙台のCKとしてしまう。その左CK、梁がニアに入れたボールに千葉直樹が頭で触れたボールが、ゴール前の密集をすり抜けてファーサイドのゴールマウスへと吸い込まれていく。3−1。
大久保が試合後に語ったように、2−1ならまだ何とかなったかもしれないが、先行後、ブロックを作っての守りとカウンターという戦術を体得しつつある仙台が相手ならば、2点差を40分弱で追いつくのは厳しかっただろう。
もっと点を取りに行くべきと言う声もあるだろうが、疲れがピークな連戦の終わりは、こういう戦い方でもよい。仙台は3トップへと変えてきた福岡の攻撃をいなしながら、クラブタイ記録の6連勝、そしてJ2の全クラブで唯一の、この4連戦での勝点12を淡々と手にした。
ところで、冒頭の疑問に話を戻す。
「もし先制されたら、どうする?」
今節に関しては、自ら自信の言葉を述べていたキャプテンの一発で同点、さらにはすぐの逆転弾で、いつもの「勝ちパターン」へとつなげることができた。
だがこうした勝ちパターンがより確実なものとなればなるほど、仙台に挑んでくる相手は、まず早い時間に自らがリードを奪うべく、前半から積極的に仕掛けてくるのではないだろうか。そう、今日の福岡みたいに。
次節、クラブ初の7連勝がかかる仙台。鍵は前半の戦い方になりそうだ。
以上
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