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【J2:第15節 鳥栖 vs 横浜FC】レポート:お互いに攻撃の形ができないままに試合終了。勝点を上積みしたのはホームの鳥栖。『原点回帰』は道半ばの両チーム。次節以降に期待がかかる。(09.05.18)

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5月17日(日) 2009 J2リーグ戦 第15節
鳥栖 1 - 0 横浜FC (13:03/ベアスタ/4,531人)
得点者:73' 飯尾和也(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch185 5/18(月)13:30〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
顔写真クイズ勝敗予想ゲーム
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時に、勢いは実力以上の結果を導くことがある。
前々節を4−2、前節を0−0で終えた鳥栖には、その勢いがあった。逆に5連敗中の横浜FCは、その勢いをつかみかけたが、結果は付いてこなかった。互いに開幕直後から不振を極め、チームの建て直しに時間を要している中で、鳥栖のほうが少しずつ戦い方を見せてきていた。その勢いの違いが、今節の結果に素直に出たといる試合内容だった。

キックオフ直後から、鳥栖が前線からプレッシャーをかけて横浜FCを追い込んでいった。前半、17分にはFW池田圭からのパスをFW廣瀬浩二が右足で振りぬいて右ポストに当ててしまった。プレスが甘くなった横浜FCの右サイドを崩してのシュートだった。このシュートで、勢いを付け切れないのが今の鳥栖。これから徐々に流れが横浜FCへと傾いていった。
今節の横浜FCの2トップは、三浦知良と池元友樹の組み合わせだった。三浦知良でボールを収めて、ボランチに入った根占真伍やサイドMF小野智吉が積極的に攻撃に絡み、全体にコンパクトなサッカーを仕掛けるつもりだった。しかし、鳥栖の出足に押され、なかなか中盤からボールが前線に入ることが無かった。
ここで、機転を利かせたのが百戦錬磨の三浦知良である。中盤まで引いてボールを受けて起点を作っては、ボールを散らし始めた。この20分過ぎくらいからの三浦の機転で、横浜FCが高い位置でボールを回し始めた。樋口監督の狙いである、コンパクトに高いラインでボールが回り始めたのである。前半は、横浜FCがペースを持ったまま終了した。

「横浜FCに遊ばれている」と岸野監督(鳥栖)はハーフタイム中に選手に激を飛ばした。
奪ったボールを前線につなぐことができず、横浜FCのペースになっていることをこう表現した。その言葉に発奮したのか、後半9分に廣瀬が思い切りのいいシュートを放つが、サイドネットを揺らすだけだった。時折横浜FCゴール前までボールをつなぐが、決定的なシーンは訪れる事はなかった。横浜FCも同様に後半4分にFW池元友樹がヘディングシュートを放つが、GK室拓哉のクリアで先制のチャンスを逸した。互いにゴール前までは運ぶもののラストの精度が足りずにスコアレスのままに試合時間は流れた。

膠着状態を振り払うためには、強い信念と勢いが必要である。その強い信念と勢いを持ったプレーヤーが後半の28分に横浜FCゴール前に顔を出した。
「前節(福岡戦)での決定機を決めることができず悔しかった。その分をどこかで取り返してやろうと考えていた」とその男は、振り返った。

その男はDF飯尾和也であり、鳥栖の主将であり、前節の福岡戦で決勝点となるはずだった終了間際のシュートをクリアされた闘志みなぎる選手であった。途中交代で入ったMF山瀬幸宏からのボールをゴール前左の20m付近で受けると、横浜FCのDFを切り返しで置き去りにし、左足を振りぬいた。GK大久保択生の手の上を通過して左のサイドネットを揺らした。
この1点が決勝点となり、鳥栖は勝点を19と伸ばし順位を10位に上げた。同時にその1点は、横浜FCの11連敗目となり、17位の栃木と勝点差を詰めることができなかった。
この勢いが、第13節の草津戦から立ち直りの兆しを見せた鳥栖と、5連敗中だった横浜FCの違いなのかもしれない。
残りの15分は鳥栖が退場者を出したせいもあり、横浜FCは攻め続けたが、鳥栖のゴールをこじ開けることはできなかった。

コンディションはトレーナーやフィジカルコーチの力を借りて、整えることはできるだろう。しかし、試合に臨むメンタルは、自分で上げていくしかない。不調な時ほど、メンタルを上げるのは困難なことかもしれないが、そこを克服しないと勝利は見えてこない。
鳥栖は、システム変更などの紆余曲折を経て、鳥栖らしさを取り戻しつつある。横浜FCは、中盤での起点を作ることで、高いラインを引くことができコンパクトなサッカーを見せる事もできた。互いに復調の兆しは見え始めたようである。残りの試合が楽しみになってきた。

ワンプレーで流れを変えることもあれば、失うこともある。
チームプレーのサッカーは、そこを突いたり補い合ったりできるスポーツではあるが、連係が取れないとその手段は効かない。
試合の目的は勝つこと。プレーの目的はシュートを放つこと。結果がゴールであり、勝利である。
同じ目的に向かって進むためには、1個のボールを運ぶ手段に連携が必要である。
連係をより強く結束させるためには、勝利への執念と思いを込めたプレーが必要である。
サッカーには、強いメンタルも必要である。

以上

2009.05.18 Reported by サカクラゲン
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