5月20日（水）J2 第16節 福岡 vs 甲府（19:00KICK OFF/福岡）
スカパー！生中継 Ch172 18:50〜（解説：サカクラゲン、実況：後藤心平、プレーヤー解説：布部陽功、リポーター：森田みき）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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　勝利を目指して戦った前節の東京Ｖ戦。終盤は攻撃のリズムを作り出して相手を押し込む時間帯を作ったがゴールは生まれず。福岡は７戦勝ちなしと依然として苦しい状況から抜け出せずにいる。それでも、味の素スタジアムに駆け付けたサポーターは、試合終了後に挨拶に来た選手たちを拍手で迎えた。勝点１を積み上げた結果と、その内容に満足したからではない。それは、どんな状況になっても力一杯にチームを後押しするという意思表示。そして、チームの奮起を促すための拍手だった。

　そして福岡は20日、レベルファイブスタジアムに４位の甲府を迎える。サポーターの熱い思いに応えるために、自分たち自身のために、「結心」というスローガンを本物にするために、福岡に必要なものは勝利しかない。

「自分たちのやるべきところへきちんと戻ること。サッカーの原理原則に戻り、ビクビクせずに自信を持ってプレーすること。そして90分間にわたってパワーを出せるように戦うこと。それしかない」。東京Ｖ戦に向けて篠田善之監督が話したように、甲府との戦いでも、福岡がやるべきは、サッカーの基本に戻ってプレーをすることだ。動き出してボールを受けること、中盤を押し上げて前線との距離を適切に保つこと、サイドを起点にして相手の背後を狙うこと、前線から高い守備意識を持つこと等々、東京Ｖ戦で見られた改善の兆しを変化に変えるべく、徹底して繰り返すことしかない。そして、フリーランニングや、ボールを追い越す動きなど、走る質を高めることだ。
　勝たない限り前へ進めない状況は変わらない。サポーターの熱い後押しを受けて戦えるレベルファイブスタジアムの試合で、結果を手に入れることが再出発への一歩になる。

　一方、福岡とは置かれている状況は大きく違うが、甲府もまた正念場の試合を迎える。第５節に鳥栖に敗れた以外は安定した戦いを続けて順調に勝点を伸ばしてきたが、直近の５試合は２勝１分２敗と足踏み状態。第12節に３位の座を奪われた仙台には勝点差を４に広げられ、追い上げてくる札幌に勝点差３に迫られている。上位グループに喰らいついていくためには、やはり勝利しか必要でない試合。前節、富山に敗れているだけに強い気持ちでレベルファイブスタジアムに乗り込んでくる。

　４−３−３の布陣を敷き、攻守にわたって前から仕掛ける攻撃的なサッカーは伝統のスタイル。長身の森田浩史を中央に、スピードある松橋優、マラニョンを両サイドに置いた前線を、藤田健、大西容平がサポート。杉山新、石原克哉の両ＳＢも高い位置を取って攻撃の機会を窺う。ボールサイドに人数をかけるのが特徴で、狭いエリアを巧みなパスワークで抜け出してくる。Ｊ２では３位に当たる192本のシュートを打ちながら17得点と決めきれない印象はぬぐえないが、ここまで12失点という堅守で勝点を伸ばしてきた。そのアグレッシブな姿勢にどう対抗するかが福岡にとっては最大のポイントになる。

　勝負を決するのは中盤のプレス合戦だろう。人に対して激しく来る甲府の勢いを受けてしまえば、福岡は後手を踏んで甲府のいいようにボールを回され、さらには、スピードを活かして背後を狙う松橋、マラニョンにＤＦラインをかき回されかねない。まずは怖がらずに人に対して激しく行くこと。そして奪ったボールを、反対サイドに展開し、すばやく縦に仕掛けることが福岡にとっての生命線になる。
　甲府にとってのポイントは林健太郎の怪我、そして秋本倫孝の出場停止によるアンカーの穴をどうやって埋めるかということ。安間貴義監督がどんな手を打ってくるのかも興味深い。

　しかし、どのような展開になろうとも、福岡には勝つ以外に道は残されていない。たとえ後手を踏むような展開になろうとも勝利を求めなければいけない試合だ。J1昇格に対する思い、プロサッカー選手としての意地、そして福岡の地を代表して戦う誇りが試される試合になる。その試合をどういう思いで迎えるのか、サポーターは東京Ｖ戦終了後の拍手で意思表示した。今度はチームがピッチの上で答えを出す番だ。今後の福岡の行方を決めかねない重要な試合で、自分たちの思いを余すことなく表現し、結果を手に入れることを望みたい。

以上

2009.05.19 Reported by 中倉一志