5月20日（水）J2 第16節 愛媛 vs 仙台（19:00KICK OFF/愛媛）
スカパー！生中継 Ch181 18:50〜（解説：大西貴、実況：堀本直克、リポーター：重橋秀香）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
----------

第13節の湘南戦に続き、第15節の岡山戦でも雨のアウェイを戦い抜いた愛媛。しかし、一歩及ばず敗れた湘南戦とは違い、前節は岡山を相手に3点を先行して勝点3を持ち帰った。湘南戦でもきっちりとセカンドボールを拾い、球際でもしっかりと戦って試合の主導権を握る時間帯もあったが結果には結びつかなかった。しかし、岡山戦では素早い攻守の切り替えからゲームを支配し、さらには効果的に得点も重ねていった。最終的には勝利をもつかみ取ったことで、アウェイまで駆けつけたサポーターに成長の跡を見せた一戦となった。

それでも、先制点を叩き出したFW内村圭宏は「もっと点を取ってもおかしくない試合だった」と、まずは反省の弁を語った。確かに終了間際の失点は余計だったし、逃したゴールチャンスも少なくなかった。しかし、トレーニングを重ねたセットプレーで先制。さらにサイドからチャンスメークをして赤井秀一が決めたミドルシュートも、ここ数試合続けてきた積極性が実った得点。「開幕戦の頃は好調で、その時とのギャップが激しかった」と内村が振り返る苦難の4連敗（第8〜11節）を乗り越え、今の愛媛は第1クールで蓄えてきた底力に加えて勢いをも呼び込もうとしている。

しかし、連敗を脱した第12節の甲府戦から続く、愛媛の上昇ムードが本物かどうか試されるのが今節の仙台戦。仙台は前節、ホームで徳島と引き分けたが7連勝を含む8戦負けなし。先制すればリーグで唯一、未だ1桁失点の堅守から速攻を繰り出す。さらに第13節の福岡戦や前節の徳島戦のように、先制されても動じない得点力も相手にとっては脅威。この8試合では、第9節の栃木戦を除く7試合で複数得点を重ねている訳だから、先制されても慌てる必要はないはずだ。中島裕希や平瀬智行らFW陣の負傷は確かに気がかりだが、連勝中にスーパーサブ的役割を果たしていたマルセロ ソアレスが、徳島戦ではスタメンで同点弾を決めるなどチームにフィットしてきた。その裏を取る動きに田中康平、中原貴之の強さが絡めば愛媛の守備陣にとっては厄介だ。

加えて、その仙台のFW陣がしっかり前線でボールを収めれば、チーム最多の7得点をあげている梁勇基やスピードのある関口訓充が2列目から飛び出してくる。不用意に愛媛が自陣ゴール前でファールを犯せば、梁の正確なフリーキックが飛んでくるとなれば90分、仙台の攻撃陣をつかまえ切ることは至難の業だ。「ミスをすれば命取りになる」と左サイドバックの三上卓哉も当然警戒を強める。

その仙台を相手にすれば、決して先制点を奪っても愛媛にとって確実なアドバンテージとはならない。それでも、この大きな壁を突き破るには先制点を奪わなければ始まらない。となれば、愛媛のほうも内村とジョジマールの2トップがいかに前線で起点を作れるかがポイントになる。仙台の守備も彼らにボールが入った瞬間、自由を奪いに来る。「ジョジ（ジョジマール）は競ってくれて強さもある。早めにはたいてもらったり、収まったときに近くにいてやることが大事」と内村が語るように、2人のコンビネーションから中盤の選手を絡めた厚みのある攻撃で、愛媛は仙台のゴールネットを揺らしたい。

続けて内村は「点を取れそうなポジションを取っているし、点を取りそうな雰囲気はある」と今のジョジマールを評したが、ジョジマールと仙台で愛媛のサポーターが思い出すのは一昨年の第34節。後半24分にジョジマールの左足から放たれた強烈なロングシュートだ。ダメ押しの3点目となったそのシュートで、愛媛は7度目の対戦で仙台から初勝利をあげると、以後の仙台戦は3勝1分1敗。しかも、その内ニンジニアスタジアムでは1勝1分で負けていないということだけが今回は唯一、愛媛にとって救われるデータとなっている。

過去は今回も繰り返され、愛媛が第1クールのホーム最終戦を白星で飾るのか。それとも仙台が7連勝の勢いを再び取り戻すのか。どちらにとっても、今節は1つの節目を迎える重要な一戦となりそうだ。

以上

2009.05.19 Reported by 近藤義博