6月7日（日）ヤマザキナビスコカップ 山形 vs 柏（13:00KICK OFF/山形）
★ヤマザキナビスコカップ特集｜チケット情報
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　この一戦の勝点３は、両チームにとって大きな意味を持っている。

　予選Ｂグループの勝点と順位を確認する。首位は勝点１０でＦ東京、２位は勝点９の清水。この試合で戦うのは勝点７の３位・柏と勝点６の４位・山形。両チームともＦ東京、清水との試合をすでに終えているため、自力での決勝トーナメント進出は消えたようにも見えるが、さにあらず。Ｆ東京は今節が休みで、残る１試合で積み上げることができる勝点は最大で３。しかもそれは、最終節に清水との対戦で争われるものだ。１位と２位の潰し合いが残されているだけに、決勝トーナメント進出の可能性は十分に残されていることになる。ただし、上位２チームの状況にもよるが、残る２節を全勝というのが基本的な条件となりそうだ。この試合に勝てば希望をつなぐことができるが、負ければ次節は実質的な消化試合となる。

　Ｊ１のなかで、山形ほど経験を必要としているチームはないだろう。決勝トーナメント進出を果たし、最低でもさらに２試合の真剣勝負が積めることは、チームにとって大きな財産となる。今大会では、２連勝のあと２連敗と失速気味だが、小林伸二監督は選手たちに、可能性がまだ十分にあることと、予選突破したいという気持ちを改めて伝えたという。そのなかで、「選手を替えたりしているが、替えているから試合をどうこうということはない。替えてもあなたたちに期待していることは、『勝つためにどうするか』ということ」と、チームの姿勢が一貫していることも言い添えている。

　前節のＦ東京戦は、廣瀬智靖のヤマザキナビスコカップ２得点目となるゴールで先制したが、その後は梶山陽平とカボレの２得点で１−３と逆転負けを喫した。敗因は、追加点の決定機を決めきれなかったことと、もうひとつ、「ラインが予定より１０ｍ高かった。そのなかで、ＤＦやＧＫのちょっとした判断、迷うところのスペースが埋めきれなかった」(小林監督)。前々節の千葉戦に続き、カウンターに対するリスク管理が課題になったとの分析だが、一方でそれは、ボールを回せるようになってきたために起きていることでもある。リスク管理として「戻る」ことは必要だが、「最初からラインを上げない」という選択肢はチームの成長を促すものではない。今は「回して、上げて、取られたら戻る」を、修正しながら精度を高めて行く段階と見る。Ｆ東京戦では前半のうちに秋葉勝、キム ビョンスクの２人が怪我で途中交代した。幸い大事には至っていないようだが、ここまで出場機会の少ない新たな芽は、まだまだ出てきてもいい。

　アウェイ柏は前回ＮＤソフトスタジアムで０−０の試合をしたリーグ戦第9節直後から序盤の失点癖に悩まされ、公式戦５連敗を喫していた。前節・神戸戦にはすでに「勝つしかない」試合を経ているが、その神戸戦では前半を０−０でしのぐと、後半は攻撃陣が奮起し、北嶋秀朗の２ゴールと李忠成のロスタイムのダメ押し弾で３−０と押しきった。相手のシュートを５本に抑えたことで今季初の無失点勝利に結びつけ、何よりも欲しかった結果を手に入れた。試合後の高橋真一郎監督も、「今日の勝ちが選手たちに自信を取り戻させてくれればと願っています」と、今後のきっかけにしたい気持ちを込めて語っている。

　このヤマザキナビスコカップを通じて、茨田陽生がＪデビューを、山崎正登が初先発を果たすなど若手の台頭があり、大谷秀和や阿部嵩も戦列に復帰している。そして、大宮から移籍したばかりの小林慶行の出場は今節あるのか。２週間後に再開されるリーグ戦を見据えながら、歯車をプラスの方向へ一気に動かすためにも、勝利にこだわりたい一戦だ。

　山形は先制できたことで、柏は無失点にしのいだことで、ともに前節は理想的な立ち上がりを見せた両チーム。リーグ戦での前回対戦はスコアレスドローに終わったが、今節は序盤にスコアが動く可能性もある。山と太陽の物語は第２章を迎える。

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2009.06.06 Reported by 佐藤円