スカパー！生中継 Ch173 19:20〜（解説：遠藤雅大、実況：梨子田友和、リポーター：円戸由香）
☆勝敗予想ゲーム
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それにしても過酷な日程だ。21日の試合を終えた選手たちは、傷ついた羽を休める暇なく、次の戦いへ向けて飛び立つ。草津、熊本とともに6試合目となる中2日でのゲームは、疲労を考慮しないわけにはいかず控え選手を含めた総力戦となるだろう。
草津の中2日でのゲームは1勝4敗。熊本は1勝1分3敗。草津は前回の中2日での試合・16節ホーム栃木戦で運動量が激減し屈辱の敗北を喫しただけに、同じ轍を踏むわけにはいかない。前節で水戸に敗れた草津は連敗を避け、ホーム8戦未勝利という嫌な記録を止めたいところだ。一方、前節・栃木戦で11試合ぶりに勝利を収めた熊本は今季初の連勝がかかるが、中2日に加えて長時間の移動を伴うだけにコンデション調整が難しいゲームとなる。
草津と熊本には共通点がある。両チームともに昨季までの監督がＧＭ（ジェネラルマネージャー）へと就任、ヘッドコーチが指揮を執ることとなった。植木繁晴ＧＭ、池谷友良ＧＭ（総監督も兼任）の両者は地域リーグ時代からチームを率いJ2へと昇格させた功労者。ふたりはチームへの愛着を残しつつもクラブ全体の発展のためにフロント入りした。そして、それぞれの参謀であった佐野達コーチ、北野誠コーチが監督へと昇進した。クラブは、将来のJ1昇格を果たすために大きくカジを切ったことになる。両クラブが今後、どのように変化し、どのような発展を遂げるか注目だ。
さらに共通することは、両チームがパスワークを主体とするサッカーに取り組んでいる点だ。これは将来的なJ1昇格、そしてJ1定着への布石と考えられる。守備を固めてのカウンターサッカーではなく、ポゼッションサッカーへこだわるところにクラブの粋な気質が浮かび上がっている。このサッカーは一朝一夕で完成するものではないだけに、サポーターの理解も必要だ。
両チームのパス数はJ2屈指だ。トップは2位を走るＣ大阪だが、両チームはそれに次ぐパス数を記録している。草津は06年のシーズン途中からパスサッカーへとシフトチェンジ。今季、佐野監督が攻撃の意識を植え付けたことによりチームはよりアグレッシブとなった。櫻田和樹、藤井大輔、佐田聡太郎ら「佐野チルドレン」が攻撃サッカーを実践、指揮官のスパイスがチームを活性させている。熊本は「池谷―北野体制」になり、さらに藤田俊哉が加入したことで本格的なパスサッカーへと方向転換を図った。両チームは毎試合ごとに収穫と課題を集積しながら、一歩一歩コマを進めている。現在の順位は草津が10位で、熊本が15位と、思うような成績を残せていないが今は我慢の時間だ。
チームが抱える課題も似ている。その課題は、パス数とゴール数が比例していないことだ。パスをつなぐ意識が強いあまり、リスクが伴う「縦」よりも「横」を選択してしまう傾向がある。草津の総得点33に対して、熊本は24と、攻撃力では草津に軍配が上がっているが、ケガで戦列を離れている都倉賢の10点を除けば得点数に大差はない。草津は23日の練習から都倉がチームに合流、早ければ熊本戦で復帰する可能性も浮上してきた。J2リーグ得点ランク2位の都倉の出場可否が今ゲームの結果に影響を与えるかもしれない。
草津は今季の開幕・熊本戦で2対1と勝利を収めたが、流動的に動く藤田をつかまえることができずに再三に渡りピンチを招いた。「先に点を取られていたら結果は逆だったと思う」（寺田武史）。熊本は第1クールとはメンバー、配置が違っているが、藤田を起点としたパスワークと2列目からの攻撃参加が特長であることは変わらない。19節湘南戦では首位相手に3ゴールを奪うなど、チームに潜在する攻撃力は高い。最近2試合ともに前半で2失点している草津は、出場停止のセンターバック藤井に代わり喜多靖が出場、右サイドバックには佐田が復帰することが濃厚。最終ラインのメンバーが入れ替わるだけに立ち上がりには注意したい。対する熊本は、前節でデビューしたＧＫ木下正貴が初勝利、ルーキー西弘則が4戦3ゴールを記録するなど新しい力が登場しチームはにわかに活気を帯びてきた。熊本にとって草津戦は開幕戦のリベンジとなる。
今ゲームは、両チームが築き上げてきたポゼッションサッカーがピッチ上でぶつかりあう。選手たちは、自分たちのサッカーが存分に表現できるはずだ。「目指す方向性が近いチーム同士なので対戦するのが楽しみ」（高田保則）。スタジアムでは、ピッチを駆ける両チームのアーティストたちが、点と点とを結びつけることでゴールという作品を創り出す。今節の敷島は、格闘場ではなくミュージアムと化す。
以上
★【J2 応援企画！】熱き思いを旗で示せ！ J2ゲーフラヶ原の戦い
6/27(土)は愛媛と横浜FCのゲーフラを取材予定です。
2009.06.23 Reported by 伊藤寿学
