6月28日（日）J2 第24節 熊本 vs 岐阜（13:00KICK OFF/水前寺）
スカパー！生中継 Ch182 12:50〜（解説：池ノ上俊一、実況：山崎雄樹、リポーター：風戸直子）
☆勝敗予想ゲーム
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今シーズン初の連勝は逃したが、前節は草津に先制されながらも追いつきドローに持ち込んだ熊本。今節は、前節徳島を３−０と一蹴した岐阜をホームに迎える。６月に続いた水前寺競技場でのラストマッチとなるが、岐阜からの初勝利で締めくくりたい。

前節のゲームを振り返ると、11試合ぶりの白星を挙げた栃木戦の流れをキープすべく、敢えて同じメンバーで臨んだことで中２日というタイトなスケジュールが影響したようにも感じられる。特に前半は、草津の早いプレスに苦しめられ、また全体的に精度も低く押され気味の展開となった。残りわずかな時間帯に中央でのドリブルから左に（熊本の右サイド）つながれ、最後は後藤涼の個人技でかわされて先制を許した。それでも、後半に入って草津の運動量が落ちる頃を見計らって投入された井畑翔太郎と木島良輔のコンビでゴールを奪い、勝ち越しはできなかったがアウェーで勝点１を積み上げるという結果を得た。

迎える岐阜は、JFL時代から前線でチームを牽引してきた（そして第１クールでも決勝点を許すなど熊本も苦杯を舐めさせられた）FW片桐淳至が甲府へ移籍したものの、前節は柿谷曜一朗を期限付き移籍で獲得した徳島に立ち上がりこそ押し込まれ、ポストに助けられる幸運もありながら、CKからの佐藤洸一のヘディングシュートで先制。その後は菅和典、富成慎司がヘッドで続いて完勝した。佐藤と２トップのコンビを組む西川も高さがあり、また染矢一樹ら新加入の選手たちもフィットして、堅い守備からの素早いカウンターに磨きがかかっている。

それを支えているのがGK野田恭平を中心にした守備。総失点は30と決して少なくないが、熊本がわずか３試合しか為し得ていない完封が８試合ある。野田は前所属のFC琉球時代、熊本のJ２入りを決定づける、07年のJFL４位以内を確定した沖縄での試合で４点を失い、熊本の選手たちが歓喜に沸く様子を目の当たりにした。岐阜の守護神となった今では過去の事だが、熊本に対する特別な思いも少なくないだろう。さらに、前節の試合前、今西和男GMが記者会見を開いてクラブの現状を説明する時間が設けられたそうだが、そうした状況や片桐の移籍もあって今まで以上に高まっているチームの結束力も、勝利への大きな原動力となっているに違いない。

そう考えると、熊本は前節、前々節と同程度のパフォーマンスで容易に勝てるはずもなく、いつも以上の高い集中力と、そして執念を持って戦う必要がある。高さのある２トップのマークの受け渡しや、前にかかった時の守備の意識、ファーストディフェンダーに対しての連動した動きと早い切り替え等、ここまで取り組んできた事、そして甲府戦の大敗から修正した点を余さずに発揮することが勝利への最低条件。中盤やサイドバックの得点能力も高い岐阜に対して、プレッシャーのかけ方やラインの調整等、チームとしての約束事を果たす事に加えて、局面局面での１人１人の対応が問われる。

それは攻撃面でも同様。前節のゴールで通算８得点と昨シーズンの実績をクリアした木島が警告の累積で出場停止となるのは痛いが、栃木戦から復帰した中山悟志や、宇留野純の復調など、FW陣が上向いてきた事は熊本にとって明るい材料ではある。しかしそれを生かすためにも、奪ってから早く切り替える事、スペースを作るための動き、出した後の動きと、同じイメージを持った上で有機的に動いてボールを動かし、その上での思い切った判断や積極的な姿勢が求められる。

順位は岐阜13位、熊本が15位で、前節を迎える時点で１だった勝点差は、熊本が引分け、岐阜が勝った事で３に開いた。この試合で熊本が勝てば勝点では並ぶが、得失点差は岐阜が−９、熊本が−10とわずか1点差のため勝てばこれもひっくり返り、順位は入れ替わる。逆に敗れれば勝点差が６に開くという関係にあり、サポーターにとってもモチベーションが高まる一戦となるのは明らか。この一戦はどうしても勝たなければならない。
だがそれも、栃木戦で挙げた11試合ぶりの勝利と、前節の引分けで取り戻した自信を、確固たるものにするためだ。過去に１度も勝った事がない岐阜からの初勝利は、それが達成できて初めて果たされる。

以上

2009.06.27 Reported by 井芹貴志