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【J1:第15節 磐田 vs 柏】レポート:痛恨のミスから勝利を逃した磐田と、執念で連敗を止めた柏。厳しい暑さの中で、菅沼が熱く泥臭い働きで救世主に(09.06.28)

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6月27日(土) 2009 J1リーグ戦 第15節
磐田 2 - 3 柏 (15:03/ヤマハ/10,635人)
得点者:20' 成岡翔(磐田)、29' 菅沼実(柏)、58' 西紀寛(磐田)、63' 菅沼実(柏)、89' 李忠成(柏)
スカパー!再放送 Ch186 6/29(月)07:00〜(解説:桑原隆、実況:岡村久則、リポーター:鬼頭里枝)
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 磐田のスタメンは前節と変更なし。柳下監督も選手たちも、やろうとしている方向性に間違いはないと自信を持っており、それはゲームの入り方にも表われた。強い日差しと厳しい暑さの中で、磐田イレブンはキックオフ直後から運動量で上回り、積極的な攻勢をかけて主導権を握ることに成功する。

 それに対して柏のほうは、スタメンを4人変更。ボランチを小林慶行と杉山浩太という初めての組み合わせにして、栗澤僚一を中盤の右、大津祐樹を左。そしてケガ上がりのフランサを先発で使って、菅沼実との2トップとした。システムは中盤をフラットにした4-4-2。守備の時には、今までのように前から激しくプレスに行くのではなく、中盤の4枚とDF4枚でコンパクトなブロックを作って守るというやり方に変え、守りのテコ入れを図った。

 ただ、「この守り方で初めてやったので、前半はちょっと慣れていない部分が多少あって、ちぐはぐだった」と小林祐三が語ったように、中盤でスキが生じて磐田の攻勢を許す状況になった。とくに「那須(大亮)さんのところがフリーになりすぎていて、(逆サイドに)展開されていた」(大谷秀和)というように、磐田にサイドチェンジされることが多く、それに対する中盤のスライドも未成熟だったため、磐田に両サイドから攻略されるシーンが多くなってしまった。

 一方、磐田のほうは、このところ目に見えて良くなってきた両サイドバックが上がってサイドから崩すという形をしっかりと継続。さらに、1.5列目のような形で働く成岡翔も、エースの前田遼一も、クサビのボールをしっかりと受けてシンプルにさばき、味方の攻め上がりを促した。12分には、成岡の絶妙なパスから右サイドバックの駒野友一が裏に抜け出し、低いクロスにゴール前の前田が合わせるという絵に描いたような崩しを見せたが、前田のシュートが左に外れる。その他にも惜しいシーンは何度も作れていたが、決定力という面ではイ・グノの穴を感じざるをえなかった。

 それでも主導権は完全に磐田が握り続け、20分についに突破口を開く。左の攻撃から成岡がうまく中継に入って逆サイドに展開すると、西紀寛→駒野とつないでクロス。ファーサイドに入った成岡がフリーのヘディングでゴール右に決め、流れの良いうちに磐田が先制点を奪うことに成功した。
 ここまでは、ホームの磐田にとってほぼ思惑通りの展開だった。しかし、この後が良くない。29分、柏の右SB・村上佑介のロングパス1本であっさりと菅沼に裏に抜け出され、同点ゴールを決められてしまう。菅沼がダイヤゴナルに走って裏に飛び出すというパターンは、スカウティングでも指摘されていた形。フランサの調子が上がらないためボールがうまく収まらず、中盤の押し上げも遅れがちだったため、柏の攻撃はそれしかないという時間帯だった。それだけに、菅沼のマークをあいまいにしてしまったDFラインの対応は痛恨のミスと言える。
 その後も磐田が攻勢に出るが、さすがに暑さの影響が出始めて前半は1-1のまま終了。磐田にとっては、少なくとも2-0で終わらなければいけないような試合展開だった。

 後半に入ると、柏が守備の問題を修正し、全体的に前への意識も強めて流れを取り戻していく。ボランチの那須のマークに菅沼がつくようになり、一発でサイドチェンジされる回数も少なくなった。一時は完全に柏ペースになる時間帯もあったが、今度は磐田のほうがワンチャンスを生かす。後半13分、ロングボールを前田がうまく収め、自らターンして裏に飛び出す成岡にパス。成岡がドリブルでDFをかわしてゴール前に抜け出し、GKと交錯してこぼれたボールを西が流し込んで再びリードを奪った。
 しかし、またも痛恨のミスから同点ゴールを柏にプレゼントしてしまう。18分、前からプレッシャーをかけられた中で、駒野がGK川口能活にバックパスするが、これが非常に弱くなってしまい、しつこく追いかけ続けた菅沼が、川口よりも先に触ってそのままゴールネットを揺らした。「泥臭くても何でもいいから絶対に勝つ」という意気込みでアウェーゲームに臨んだ柏の中で、その先頭に立ってボールが来なくてもしつこく裏に走り続け、身体を張ってつぶれ役になり、守備でも休むことなくプレッシャーをかけ続けた菅沼。まさにこの日の柏を象徴する泥臭いプレーを90分間見事にやり通した。

 同点に追いつかれた2分後には、ジウシーニョのスルーパスで前田が裏に抜け出す決定的なチャンスを作った磐田だったが、ここも前田がGKとの1対1から決めきれず、勝ち越しのチャンスを逃す。その後、松浦拓弥、太田吉彰、犬塚友輔と攻撃のカードを切ったが、その狙いは思うように機能せず、猛攻をかけるには至らない。
 柏のほうも引き分けで良しとせず、ポポ、李忠成、鎌田次郎とカードを切りながら攻めに出て、一進一退の展開に。そのまま2-2で終わってもおかしくない状況だったが、アディショナルタイムに入ったところでの柏の左CKから李が頭で決めて、柏がついに逆転。ポポのキックの精度も、李の飛び込みも良かったが、警戒すべき李をフリーにしてしまった磐田の守備にも疑問が残るゴールが決勝点となり、柏がようやくリーグ戦で7試合ぶりの勝利を飾った。

 もちろん勝った柏も、内容的にはけっして満足できるゲームではなかったが、「何が何でも勝点3を取りたかった」(高橋監督)という意味では、選手たちは称賛に値する頑張りを見せた。
 それに対して磐田は、今日もイ・グノ不在でのリーグ戦初勝利はならず、ホームでの連勝も4でストップ。ただし、この日の敗因は、イ・グノがいる・いないの問題ではない。グノがいれば、あと1、2点は取れたかもしれないが、それは言い訳にはできない。この痛みを忘れることなく、しかし悪いムードは引きずることなく、勝ちきる戦いをするために次に向けて準備をしなければならない。とくに、このままズルズルと悪い流れにはまってしまうことだけは、絶対に避けなければいけない。

以上
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