6月27日(土) 2009 J2リーグ戦 第24節
横浜FC 0 - 2 草津 (19:03/ニッパ球/3,283人)
得点者:10' 櫻田和樹(草津)、49' 後藤涼(草津)
スカパー!再放送 Ch183 6/29(月)20:00〜(解説:瀬田龍彦、実況:山下末則、リポーター:高木聖佳)
☆勝敗予想ゲーム
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言うまでもなくサッカーはゴールを挙げなければ勝利することはできない。だから、ゴールのために戦術を考案しピッチ上で表現するために努力する。正式なサッカー用語ではないが、チームとしてゴールに結びつける力を仮に「ゴール力」と呼ぶことにする。決定力を、決定的チャンスをゴールに結びつける力だとすれば、ゴール力は決定的チャンスを作る力(決定的チャンス力)と決定力の両方で決まると言っても良い。さらに決定的チャンス力は、ストライカーに落ち着いてシュートを打つチャンスを作る力として考えられる。ゴール前で1対1のシーンを作る、数的優位を作ってマークを外す、精度の高いクロスを上げるなどである。そのためには、ビルドアップ力、カウンター力、数的優位力などのどれかを磨く必要がある。個の力もその要素の1つだ。と、よく言われる「ゴールから逆算して考える」というのを、簡単に分解してみるとこのような感じになる。どの「○○力」を武器にするかが、まさにチームの戦術に密接に関連する。
さて、試合に話を移す。横浜FC、草津ともにビルドアップ力を大きな武器としているが、ゲームはビルドアップ力でない部分で動き始める。ターゲットとなる都倉賢が復帰した草津は、ロングボールを交えながら試合に入る。都倉を使った組み立てに対して、横浜FCはビルドアップ力で対抗。それぞれに攻撃への意欲をむき出しにする積極的な展開となる。そして、10分、草津のゴール力が炸裂する。横浜FCのショートコーナーのパスがずれたところを廣山望が拾うと、チーム全体が猛然とカウンター攻撃に入る。櫻田和樹を経由し、後藤涼から寺田武史に展開し、そのクロスを飛び込んだ櫻田がやすやすと決める。「僕でなくセンターバックの選手でもあそこに走り込んでいたと思う」という櫻田のコメントに象徴されるように、ゴール力のためのカウンター力という統一した意識が結実したゴールだった。思わぬ失点から、ホームでの連勝を狙う横浜FCはビルドアップへの努力を強める。八角剛史を中心に、積極的なボール奪取からの切り替えを何度も見せ、佐野逹監督が「大変苦しい時間帯」と振り返るように、横浜FCのビルドアップ力が草津を圧倒。12分に片山奨典、19分に三浦知良、36分と38分に西田剛と立て続けに決定的場面を作り出すが、決定力を欠き前半は無得点に終わる。
そして、後半の立ち上がり、同じようにビルドアップを試みる横浜FCをあざ笑うかのように、再び草津のゴール力が発揮される。49分、横浜FCのクリアミスから、草津がボールを拾うとそのまま右サイドに。熊林親吾とのコンビネーションで廣山が抜け出しクロスを上げると、ファーでフリーになっていた後藤がヘディングで合わせて2点差へと広げる。後藤の決定力だけでなく、フリーでシュートを打てる状況を作る決定的チャンス力との融合が図られた得点だった。その後も、横浜FCは八角、須藤右介のダブルボランチを中心にビルドアップに腐心するが、奪った後の決定的チャンス力を欠き始め、ストライカーがフリーになる場面を作り出せない。終了間際に、途中交代で入った加藤大志のクロスに中田健太郎が飛び込んだプレーが、後半で一番可能性のある場面だと言って良かったが、ビルドアップ力の発揮に終始してしまった横浜FCが、肝心のゴールに結びつけることができず、ホームでの連勝を逃す敗戦となった。
監督や選手のコメントでは「プレーの精度を高めるしかない」と短く集約されてしまうが、横浜FCに不足しているゴール力は、決定的チャンス力と決定力。樋口サッカーのキーワードである「早い切り替え」は、シュートしやすい場面を作り出すための武器であるはず。中盤でのボール奪取とビルドアップの安定感は非常に高まっており、第1クールよりは進歩している。だからこそ、決定的チャンス力をどのようにつけていくか。試合後スタジアムに充満した消化不良の雰囲気を打開するためには、この課題の解決が急務だ。そして決定力。「練習なら決められている。それをゲームのプレッシャーの中で出せるようにならないと」(八角)というように、個々のプレーヤーの成長も待たれる。
一方の草津にとっては、会心の勝利。選手のコメントからは、やってきたプレーが実を結んだことに対する手応えを感じる。この試合で復帰した都倉が攻撃のアクセントとなり、後藤が5試合連続ゴールと好調であることが大きいが、それ以上にチーム全体でゴール力に対する意識統一ができていることが大きい。そして、チームとしてホームで勝てていないことに対する意識は強い。この試合のプレーをそのままホームに持ち帰ることが求められる。
ゲームを通せば、両チームとも攻撃意識が高い積極的な展開が続いた。それだけに、ゴール力に対する差が浮き彫りとなったゲームだった。
以上
2009.06.28 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第24節 横浜FC vs 草津】レポート:「ゴール力」の差。チーム全体のゴールへの動きに勝る草津が、鮮やかな2ゴールで横浜FCに勝利(09.06.28)
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