6月27日(土) 2009 J2リーグ戦 第24節
仙台 1 - 1 札幌 (13:04/宮城ス/17,983人)
得点者:51' 上里一将(札幌)、80' 中原貴之(仙台)
スカパー!再放送 Ch181 6/29(月)22:30〜(解説:鈴木武一、実況:松尾武、リポーター:村林いづみ)
☆勝敗予想ゲーム
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公式記録によると、試合時の気温31.1度。石崎信弘監督が「北海道のクラブに来て今日始めて、暑さの中で試合をする上で何に気をつけないといけないか分かった」と試合後に語るほどの灼熱の中で行われた試合。
こうした気候のせいか、開始57秒で仙台がカウンターからチャンスをつかんだことを除けば、立ち上がりから両チームのサッカーは慎重なものとなった。前線からの執拗なチェイシングは両チーム共に極力避け、まずは自陣でしっかりと守る。それによって、ボールを奪う位置は自ずと低くなる。
その状況から、効果的な攻撃を繰り出したのは、アウェイの札幌だった。ボランチに屈強なダニルソン、トップ下には重戦車のようなドリブルで持ち上がってくるクライトン、そして1トップにスピードあるキリノと、中盤より前のセンターラインに馬力あふれる3人の南米選手を並べる札幌は、3人の存在がそのまま、荒野に引かれた高速鉄道のようなものとなった。前へ持ち出すスピードが速いため、どんなに自陣奥深くから攻めを開始したとしても、あっという間に仙台ゴール前へ迫ってくる。同じように低い位置から攻めをスタートさせられ、なかなか前線で起点を作るに至らないどころか、前へつなごうとする中盤の時点でミスを連続して犯した仙台とは対照的に、次から次へと決定機を作っていく札幌。シュートミス、あるいは札幌戦になるとファインセーブを連発してきた仙台のGK林卓人(この日は古巣対決であり、現在も札幌からの期限付き移籍延長中)の好守に遭いなかなかゴールはならなかったものの、暑さの中で快適な試合運びができていたのは札幌の方だった。
そんな札幌に、意外な形で先制点が生まれたのは51分。左サイドの高い位置で岡本賢明からパスを受けた、左SBの上里一将。前半からチャンスを生み出していた左足のセンタリングをこの場面でも試みようとしたのだが、インフロントで蹴ろうとしたボールはアウトにかかりすぎ、意図しない弾道のボールとなる。
だがこれが、ここまで好セーブを見せ、この場面でもセンタリングと思われたボールに反応よく前へ出た林の裏をかくこととなった。弾道が変わったボールは、一歩出た林をすり抜け、隙間の空いたゴールマウスに直接吸い込まれていく。結果的に美しい一発となった上里のゴールで、札幌が3試合ぶりの先制点を奪った。
直後に仙台も、田村直也のセンタリングに平瀬智行が完璧に合わせたヘディングシュートを放つも、今度は札幌のGK荒谷弘樹がワンハンドでかき出し、60分の梁勇基による、枠を際どく突いたFKも、荒谷がわずか触った後にバーに当たって逸れていく。仙台の勢いを削ぐGKの堅守が続いたこともあり、流れは札幌へ…と思われた。
ところが、この時間になって、仙台は前線に起点となり得る部分を見つけた。
これには多分に、札幌のシステム変更という要因もあるだろう。勝ちを決めるためには追加点が必要と考えた石崎監督は、61分に中山元気を投入、キリノと共に身体能力のある2トップを組ませる。
だがそのために3バックへと変更したことで、仙台にサイドでのスペースを与えてしまった。「覚悟の上だった」と石崎監督は語るのだが、仙台にとって高い位置でのサイドのスペースは、のどから手が出るほど欲しかった物。これを得た仙台はここから、特に左サイドを集中して攻め続けた。
梁、そして関口訓充という、仙台自慢の両サイドハーフが左に張り付く。「梁さんと自分が揃っている時は、無理にサイドチェンジをせずに、どんどん預けて欲しい」という関口の思いそのままに、左サイドにボールを集める仙台。ここ数節は精彩を欠く動きも多かったが、この日は復調していた左SB田村も絡み、どんどん攻めが加速していった。
そして80分。ついに仙台は壁を破る。左サイドで受けた関口が積極的に仕掛けるそぶりを見せた後、まだ左サイドの浅い位置から右足で斜めにクロス。そこにゴール前へ、右から斜めに中原貴之が飛び込んできた。DFとDFの間に入り込み、強烈なダイビングヘッドをたたき込んだ。好調の荒谷を破ったこのシュートで、仙台は敗戦の縁から救われることに。ホーム戦の開催はしばらくお預けとなる宮城スタジアムにおいて、とりあえずの「ラストゴール」にふさわしい見事な一発だった。
試合はこのままドローで終了。試合後の会見では、勝ちきれなかったこと、それと暑さとの関係についての質問が、両チームの監督に飛んだ。
ただ、前半からコントロールされた戦いぶりもあって、両チーム共に、必要以上の消耗という暑さ特有の問題は見られなかったように思う。
むしろ別の課題が明らかになったか。札幌はチャンスは作れているのだから決定力を。仙台は最近ペースをつかまれることが多い前半の戦い方の改善を。それさえなれば、夏など怖くないチーム力は双方持ち合わせているはずである。
以上
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第24節 仙台 vs 札幌】レポート:コントロールされた戦い方の中、前半は札幌、後半は仙台に主導権。1−1の結果に見える、手応えと課題。(09.06.28)
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