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【J2:第33節 甲府 vs 岐阜】レポート:岐阜が教えてくれた危機感というモチベーション。上位4チームが横並びで、危機感が足りない甲府は最悪の勝点1で何を学ぶことが出来たのか。(09.08.10)

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8月9日(日) 2009 J2リーグ戦 第33節
甲府 2 - 2 岐阜 (18:33/小瀬/11,987人)
得点者:50' 佐藤洸一(岐阜)、64' 佐藤洸一(岐阜)、69' ダニエル(甲府)、76' 大西容平(甲府)
スカパー!再放送 Ch181 8/10(月)12:30〜(解説:外池大亮、実況:深沢弘樹、リポーター:桜井和明)
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「僕らは来年のことを考えられる状況じゃないから、今必死にやるしかないんです」

公式記録を見て甲府のシュートが6本(前半1本・後半5本)、岐阜のシュートが12本(前半4本・後半8本)だったことに驚いたが、それ以上にショックだったのが試合後に岐阜の橋本卓(ボランチ)から聞いた言葉。「岐阜は第2クールの結果を見れば、来年に向けて上位争いが出来る可能性があるいい流れになっているんではないか」という質問に対する答えだった。
新たにスポンサー企業が見つかったとはいえ、岐阜の経営環境は依然厳しいと聞く。この状況で、クラブも選手もサポーターも必死になって戦っている。ゴール裏の岐阜サポーターは「飛騨、美濃」の文字を大きく書いた旗の下で応援しているが、岐阜県の飛騨地方と美濃地方が一緒になってFC岐阜を応援する、して欲しいという願いが込められているのだと思う。岐阜県内には全国的な有力企業も少なくないが、地方や地域の壁があって全県でのスポンサード体制を作ることが難しいという話も聞く。そのなかで選手は強い危機感を持って一戦ごとに戦っている。この現状は残念なことだが、それが危機感になって、第2クールの成長と躍進の原動力になっているのだろうということがよく分かる試合だった。

立ち上がりの数分間はお互いにシュートが打てないものの、攻守の切り替えが速くて形になっていた。しかし、甲府陣内でボールを持った岐阜の選手がゴールに向かって積極的にドリブルで仕掛け始めると、ボールに行ってもパスを出されて後手を踏む甲府の選手からはイライラした雰囲気が漂い始める。コーナーキックでは田中秀人、秋田英義、朴俊慶、野垣内俊、佐藤洸一の5人がニア付近で縦に密集して、キックと同時に散って甲府のマークをかわそうとする。最初の頃はこの姿を「愚直にゴールを狙う」というふうには感じ取れなかったが、最後は愚直にゴールを狙い続ける岐阜の戦い方に共感するようになった。

前半の甲府は、パスを出しても動き出さない選手が多く、味方がドリブルをしたり、ボールを持ち替えたりしてもそれに合わせて動き直すことも少なかった。だから狙われている味方の足元にパスを出しては詰まって、上手く行かないからイライラする。ここまでミスがほとんど無かったGK・荻晃太ですらミスの連鎖に巻き込まれた。荻からすればボールの出し所が無かったのかもしれない。

観客が試合の途中でもトイレに行ったり、ビールや焼き鳥を買いに行ったりしてもピッチでは何にも起こらないような、前半を0-0で勘弁してもらった甲府。ハーフタイムにベンチメンバーがピッチでボールを蹴っていると、片桐淳至がロッカーに呼ばれた。後半は岐阜県出身の現役至宝Jリーガー2人(荻、片桐)が甲府のピッチに立つことになり期待したが、その期待が形になる前に甲府は失点する。スローインのボールがバウンドし、それを菅和範がワンタッチでゴール前に入れると佐藤もダイレクトでシュートして先制点を挙げた。前半で森田浩史を下げ、55分に國吉貴博を入れてガウボンを下げた甲府は、前線の高さを犠牲にして、「動き」を求めた。しかし、その「動き」が形になる前の64分にコーナーキックから再び佐藤に決められてしまう。名門の四日市中央工業高ではなく、四日市西高から四日市大というサッカーでは無名といっていい学校を経てプロになった佐藤の2ゴールは、多くの選手に「やれば出来る」というモチベーションをもたらせる素晴らしいゴールでもあった。ゴール裏で密集して応援していた約400人の岐阜サポーターは、千切れそうなくらいの勢いで旗を振って喜びを爆発させた。

「家で寝ていた方がよかった」と思った人がいたのではないかというような展開だったが、安間貴義監督は金信泳を69分に投入して、2トップにシステムを変更する。この変更で金やマラニョンに岐阜の選手が引き付けられ、甲府は同点に追いつくことが出来た。記者会見で「采配や特効薬であと18試合を勝ち抜くにはあまりにも難しい(リーグ)。最低限、自分たちのベースを引き上げていかないと駄目だと思う」と安間監督は話した。69分のダニエルのゴールと76分の大西容平のゴールで、同点に引き戻したことに対する満足感は全くなかった。前節のアウェイ鳥栖戦で手にした勝点1と今節の岐阜戦で手にした勝点1は全く意味が違うということを、会見で訥々と話した安間監督。もし、3-2で逆転勝ちをしていたとしても「収穫は勝点3を取れたことだけ」という感じのコメントをしただろう。

安間監督は「楽をするようなサッカーをしてしまった」理由を聞かれて「(戦術的なことだけではなく)とても難しい」と話したが、上位で順位が安定し、残り試合が多いという現状では危機感を持つことは難しい。レギュラーが揃っている湘南が4連敗するなど上位が苦戦する理由のひとつは、上位4チームがほぼ横並びで残り試合が多いということにあるのではないかと思う。過密なスケジュールで選手が疲労していることも考えられるが、相手チームも同じだし、ダニエルのゴールが決まってからの甲府は活力が戻って動きが出てきた。疲労を最大の理由に挙げることは出来ないだろう。高校サッカーの強豪チームなら、カリスマ性のある監督がガツンと一喝して、気合と危機感を植えつけたりするのかもしれないが、安間甲府はそういうスタイルではないし、プロ選手にそういう手法は通用し難い。

今の順位で残り試合が1桁になれば自然と危機感は強くなってくると思うが、ここからの8〜10試合は凄く難しくなる。岡山(H)、徳島(A)、富山(H)と難しい相手が続く勝負の8月。選手を入れ替えることで刺激を与えて「動き」を引き出すのか、動けなかった選手自身が変わることができるのか。フロントから危機感を押し付けられる前に、選手が「チームがJ1に昇格したとしても、このままでは自分に来年はない」という気持ちで戦うことが出来るのか。それとも、去年の広島のようにJ1での戦いを常に意識して、高い意識と目標を持って戦うことが出来るのか。J1に昇格することだけが目標のチームは上がっても定着できない。昇格したことで満足してしまうからだ。8月は本当に正念場になりそうだ。

以上

2009.08.10 Reported by 松尾潤
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