8月22日(土) 2009 J1リーグ戦 第23節
清水 5 - 1 磐田 (19:03/アウスタ/20,116人)
得点者:2' 岩下敬輔(清水)、10' 枝村匠馬(清水)、24' 兵働昭弘(清水)、44' 前田遼一(磐田)、57' 枝村匠馬(清水)、75' 岡崎慎司(清水)
スカパー!再放送 Ch186 8/24(月)05:00〜(解説:澤登正朗/名波浩、実況:田中雄介、リポーター:小野響子)
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それはある意味本当に衝撃的だった。静岡ダービー史上最多の点差がついた結果のことではない。衝撃的だったのは、中2日、中2日というハードスケジュールの中で見せた、清水の圧倒的なパフォーマンスだ。
その兆しは、キックオフ直後から現われた。いつもなら立ち上がりでは長いボールを多くしながらじっくりとリズムを作っていく清水が、この試合では最初から少ないタッチでテンポ良くパスを回して、厚みのある攻撃を仕掛けていく。その結果として得た2分の右CKから、絶妙な高さでニアの競り合いを越えた兵働昭弘のボールを、ファーサイドに飛び込んだ岩下敬輔が右足ボレーで押し込み、あっという間に先制点を奪った。
これで勢いをつかんだ清水は、さらにボールが滑らかに回り、ゲームを支配していく。局面局面では、磐田の選手たちも熱い闘志と激しいぶつかり合いを見せたが、運動量やボールに対する反応では全体的に清水が上回り、フィフティフィフティのボールは清水が自分たちのものにしていった。
そして圧巻だったのは、10分の2点目のシーン。磐田に前線からプレッシャーをかけられたところで、センターバックの岩下が大きく右にサイドチェンジしてプレスの網を外す。そこから市川大祐が本田拓也に預け、本田→枝村匠馬→兵働→ヨンセン→市川とすべてワンタッチでつなぎ、右サイドを駆け上がった市川がフリーな状態に。速い展開でサイドを深くえぐられた磐田守備陣は、ボールの動きに気をとられてマークがあいまいになり、そこに入れられた市川の速いクロスに、枝村が飛び込んで頭で2点目をゲット。市川に至るまでのボールの流れが非常に美しく、一切のムダがなく、スペースの作り方・生かし方も含めて、清水が理想とするような最高のサイド攻撃だった。
さらに24分には、岩下の縦のフィードから兵働が絶妙なボールタッチで反転して裏に抜け出し、左からシュートを決めて早くも3点目。さすがに清水サポーターでも、30分も経たないうちに3点差がつくとは予想していなかっただろう。
ただ、試合運びでも清水がライバルを圧倒していたことは間違いない。たとえば、同じようにロングボールを前線に入れた場合でも、磐田のロングボールはことごとく清水のセンターバック・青山直晃と岩下が大きく跳ね返し、セカンドボールからの攻めも許さない。一方、清水がロングボールを入れた場面では、ヨンセンがDFに競り勝ってセカンドボールを味方が拾ったり、裏に流して岡崎慎司が飛び出すという場面を何度も作った。
また清水の守備組織は、磐田が2トップにクサビを入れるパスコースをしっかりと消して、たとえ入れられてもDF陣が厳しい対応でキープさせず、磐田のビルドアップの過程に2トップをはさませない。前田遼一とイ・グノは非常に恐いコンビだが、彼らがボールを触る回数を激減させることによって、効果的な仕事をさせなかった。
逆に清水のほうは、ボールをしっかり動かしてコースを作ってからヨンセンにクサビを入れ、そこでの柔らかなキープから岡崎や中盤の選手が絡んで、ボールを効率良く前に運んでいった。
前半は、20分に右から攻め込んで前田がポストに当てるシュートを放った場面以外は、ほとんどの時間で清水が圧倒。そんな中、アディショナルタイムに入ったところで、右CKから那須大亮が決定的なヘディングを放ち、GK山本海人がつかみきれなかったボールを前田が押しこんで、磐田が良い時間帯に一矢報いることに成功した(前田はこれが得点ランク1位タイに並ぶ12点目)。
これで後半の形勢逆転に望みをつなぎ、ハーフタイムでは大井健太郎→加賀健一、村井慎二→船谷圭祐と2人を一気に交代。那須がセンターバックに下がって、船谷がボランチ、加賀が左サイドバックに入って、山本脩斗が2列目に上がるという形にして、再スタートを切った。
その効果もあって、後半に入ってからは磐田が落ち着いてパスをつなぎ、クサビはなかなか入れられないままだったが、サイドで起点を作り、サイドチェンジも織り交ぜながら清水の守備に揺さぶりをかける。しかし、それに対しても清水は対策済み。アーリークロスは許すが、深くサイドをえぐることは許さず、アーリークロスを入れられた時にはDF陣が良い体勢で待ちかまえた状況からほとんど競り勝って、磐田に決定機を与えない。
流れとしては、ある程度磐田に傾きつつあったが、清水の守備を攻略するところまでは行けていなかった。
そんな中で迎えた後半10分、中盤でのハイボールのつつき合いの中から、岡崎が絶妙なファーストタッチでDFを置き去りにして右サイドの裏に抜け出し、深くえぐってクロス。これがファーサイドに入った絶好調男・枝村に通り、冷静にボールを止めて右足シュートを突き刺す。これで再び3点差となり、磐田は完全に出鼻をくじかれてしまった。
さらに30分には、磐田が押しこんだところから、ボールを奪った岩下がしっかりと前を見て前線に正確なフィード。これで岡崎がきれいに裏に抜け出し、GK川口能活の股間を抜いて5点目を決める。それまでも3度はあった決定機を決められなかった岡崎が、最後にようやく決め、通算12ゴールで前田に並んだ。また、これで岡崎はホームで公式戦6試合連続ゴールを達成し、チーム新記録のオマケまでつけた。
これがトドメとなって、磐田の闘志も体力も一気に落ち込んでしまい、その後は清水のほうが余裕のある試合運びを続けて、5-1のままタイムアップ。前回(0-3で完敗)のリベンジもおつりをつけて果たし、清水サポーターにとっては胸のすくような歓喜の瞬間を迎えた。
この試合で清水が見せたサッカーは、長谷川エスパルスの4年半の中でも、最高のパフォーマンスだったと言って間違いないだろう。試合後、清水・長谷川健太監督も含めたベンチ入りメンバー全員でロコロコダンスを踊ったのは初めてのことだが、それぐらい喜びを爆発させても当然のシチュエーションであり、内容であり、結果であった。
もちろん磐田サポーターにとっては、この屈辱はなかなか忘れられないだろうが、次に向けて気持ちを切り替えるためには、今回は台風の直撃を受けたぐらいに思ったほうが良いかもしれない。強い台風が来たときに、備えが十分にできていなければ大きな被害を受けてしまう。この試合での磐田を客観的に見れば、そんな状況だったと言えるのではないだろうか。
ただし、清水としても、これを1試合だけのものにしてはいけない。「今日のような試合が毎回できるように、これをスタンダードにしていきたい」(市川大祐)という部分が、今後の清水に―まずは次の川崎F戦で―求められるところだ。
以上
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2009.08.23 Reported by 前島芳雄















