8月30日（日）J2 第36節 仙台 vs 岐阜（18:00KICK OFF/ユアスタ）
スカパー！生中継 Ch183 17:50〜（解説：鈴木武一、実況：松尾武、リポーター：村林いづみ）
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　第２クール終了時の上位３クラブが揃って足踏み。そんな中、４位甲府と５位水戸がそれぞれ勝点３を得たことで、４強という流れから、５クラブによる昇格争いの開始を予感させられるような大混戦へと状況が変わりつつある、今季のＪ２。
　しかし、当事者の一つである仙台には、この状況に対しての忸怩たる思いがある。「うちが前節（湘南戦）、勝点３を奪えずに、この混戦となった」と手倉森誠監督。そしてこう続ける。「上位に引き分けた以上、下位には絶対に取りこぼせない」。これまで、下位との対決を前にその事を尋ねられても、相手の順位を元にした発言はあえて避けてきた感のある監督からこうした言葉が出たことに、改めてシーズンが佳境に入ってきたことを思い知らされた気分である。

　今節の岐阜戦に向けた仙台のチーム状況は悪くない。徳島、湘南と続いた大事なアウェイ２連戦で負傷を抱えながら先発出場したサーレスは、前半で退いた徳島戦後よりも負傷の具合が良くないということで、今節の出場見送りがすでに明らかになっているものの、ある意味入れ替わる形で、FWには多くの駒が集うこととなった。
　おそらく、中島裕希とのスタメン2トップの座を得たのは、前節の湘南戦で貴重な同点ゴールを決めて仙台を救った中原貴之。35試合が終了した時点で、全45節42試合だった昨季にマークしたキャリアハイのシーズン６ゴールに並んでいることからも明らかなとおり、好調の波の中に彼は居る。
　ただ、もしスタメン出場となったとしたら、彼にとっては一つの「壁」を超えるための戦いが待っている。実は今季の６ゴールはすべて、途中出場でピッチに入ってから生まれたゴール。今季スタメン出場した３試合ではまだゴールを決めることが出来ていない。相手守備陣に疲労が溜まったタイミングで投入し、ゴール前で脅威をまき散らす「スーパーサブ」としての活躍もそれはそれで評価できるのだが、本人の希望はやはりスタメン。
　中原の台頭は、チームに高さという明らかな武器をもたらしている。今節を前にしたトレーニングでは、中原の頭をめがけた朴柱成のロングスローを練習メニューに入れて本格的に試してみるなど、チームも彼の高さを無駄なく活かすべく動き始めた。中原としては自分への「追い風」をさっそく活かし、岐阜戦で試合の長い時間にわたって貢献を見せたいところだ。

　さて、一方の岐阜だが、こちらはチームとして明らかに上向きである。第27節からの４連勝の後は４戦勝ち無しと少し苦しんだが、前節の横浜FC戦ではホームで逆転勝利。CKから管和範の決勝点が決まった際の長良川の沸騰ぶりは凄まじかった。
　クラブ得点王の佐藤洸一が出場停止（余談だが仙台は今季、相手主力選手の出場停止が自分たちの試合と重なることが本当に多いという印象があるが、気のせいだろうか）ではあるが、高さという面（佐藤は184センチ）だけを見れば、今節の２トップ候補である西川優大が187センチ、片山真人183センチ、朴俊慶181センチと、ツインタワーを継続することが可能な面々は揃っている。ここ最近、シーズン序盤からの力強い守備を取り戻しつつある仙台の守備陣だが、体を張ってボールを跳ね返す場面の連続も考えられる。
　とはいえ、そんな岐阜に対して、仙台は崩しへの明確なイメージを持っている。仙台の紅白戦に参加したある選手が語る。「岐阜の両サイド、高木和正選手と嶋田正吾選手は、ボールに触れたいがために中に入ってくる傾向があって、それによって空いたスペースに、サイドバックが上がってくるのが岐阜。自分たちはそうやって岐阜を攻めさせてから、逆襲に出るという手もある」。実際、宮城スタジアムでの第２クールの戦い、仙台は攻め上がってきたサイドバックの裏をロングパスでシンプルに突き、そこからの２ゴールで勝利している。
　ボランチの管がトップ下気味に前へ張り出し、ダイヤモンドに近い中盤を形成するなど、過去２試合共に仙台が２−０で勝利していた当時の岐阜とは、戦い方も勢いも異なっている。だがそんな上り調子のチームに勝利出来れば、１節を終える毎に佳境に入っていく第３クールの戦いにむけて、仙台も意気を上げることができる。
　３連戦の初戦となる一戦という意味も含め、今後に与える影響は決して小さくないのが、今節である。

以上