8月29日（土） 2009 J1リーグ戦 第24節
神戸 3 - 2 浦和　（19:04／ホムスタ／19,094人）
得点者：0' 吉田孝行（神戸）、29' 吉田孝行（神戸）、41' エスクデロセルヒオ（浦和）、57' 高原直泰（浦和）、61' 河本裕之（神戸）
スカパー！再放送 Ch183 8/30（日）14:00〜（解説：水沼貴史、実況：田中雄介、プレーヤー解説：和多田充寿、リポーター：林智美）
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「鹿島戦のシナリオも先制点を獲ることだったが、とにかく大事なのは先制点。それを獲れるか、獲れないかで９割方、試合が決まるといっても過言ではないと思う」
試合前そう話していたのは神戸・三浦俊也監督だったが、この日の勝利も、その先制点が大きく明暗を分けたと言ってもいいだろう。立ち上がり、わずか２０秒にも満たない時間帯。MF金南一からのパスを受けたMF朴康造が前線へ通そうとしたパスを相手DFがカットしきれず、そのボールを拾ったFW吉田孝行がドリブルでゴールににじり寄り落ち着いて決める。本人も「早い時間帯で、自分でも何が起きたか分からないくらいのゴールでした（笑）」と振り返った値千金の先制弾。
「すごくいい立ち上がり。みんなの出足も良くて早い時間帯に入って、いい精神状態で試合が進められた」と話した神戸DF宮本恒靖と、浦和DF平川忠亮の「ただ立ち上がりの失点が痛かったですね。最初の１プレーでの失点でしたら。あれで少しプランとは違う形のゲームになってしまった」という対照的なコメントを見ても、『先制点』が与えた影響がどれほど大きかったかが見てとれる。
しかも29分にはルーズな守備が目立つ浦和を尻目に、再びFW吉田孝行。今度は左サイドのMFボッティからのドンピシャのクロスをゴール前中央で頭で合わせ、浦和を突き放す。

対する浦和はDF田中マルクス闘莉王、MFポンテが出場停止となる中、公式戦６連敗中というチーム状況を踏まえても重い立ち上がりとなったが、０−２とされてからは神戸のDFラインが下がり始めたこともありイニシアチブをとった展開に。神戸の中盤、MF金南一、DF宮本恒靖のダブルボランチに攻撃の芽を潰されるシーンも多かったものの、スペースを巧く使うことで徐々にリズムを掴んでいく。反撃の狼煙をあげる１点目は41分。FWエジミウソン、MF原口元気と縦に繋いだボールを最後はMFエスクデロ　セルヒオ。一度は相手DFに当たったボールを再び拾って泥臭く右足で流し込む。
２−１とスコア的には僅差で迎えた後半。立ち上がりから共に『１点』を目指した展開に。だが開始早々の50分に浦和MFエスクデロ　セルヒオが負傷交代。調子の良かったMFエスクデロ　セルヒオだけに「できれば最後まで使いたかった」と浦和・フィンケ監督は振り返ったが、代わってピッチに立ったMF梅崎司も動きはよく、浦和の攻撃を勢いづける。実際、浦和が57分に挙げた同点ゴールもそのMF梅崎が左サイドからあげたクロスをFW高原直泰が頭であわせて生まれたもの。しかも、ここ数試合得点力不足に苦しんでいた浦和にとっては７試合ぶりとなる『２ゴール目』を決められたことで、応援に駆けつけていたたくさんの浦和サポーターも盛り上がりを魅せる。

これで浦和優位に試合が運ばれるかと思われたが、ホームサポーターの後押しを受けた神戸も負けていない。負傷交代のMF金南一に代わって、DF小林久晃が左サイドバック、左サイドバックだったMF松岡亮輔がボランチにポジションを変えながらも落ち着いて試合を運び、6１分にはセットプレーからDF河本裕之が泥臭く右足で決め、追随する浦和を突き放す３点目を奪う。以降は、時間の経過を見ながら守勢にまわる神戸と、何としてでもゴールが欲しい浦和が、それぞれの『狙い』を結果に繋げようと試合を運ぶが、最後まで『狙い』を貫けたのは神戸。三浦体制になって４試合目を迎える中、負けなしの戦いを続けている自信も支えになったのだろう。ピッチ上の全員が最後まで集中力の感じられるプレーを続けて、勝点３を手に。対する浦和はアウェイの地で２点差を追いつく意地をみせたものの、またしても白星を手にすることはできずに、7連敗目を喫して神戸の地を後にした。

以上

2009.08.30 Reported by 高村美砂