8月29日（土） 2009 J1リーグ戦 第24節
Ｆ東京 2 - 0 大分　（19:04／味スタ／18,320人）
得点者：70' カボレ（Ｆ東京）、89' 米本拓司（Ｆ東京）
スカパー！再放送 Ch185 8/31（月）21:30〜（解説：柱谷幸一、実況：倉敷保雄、リポーター：日々野真理）
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F東京が、味の素スタジアムで大分と対戦し、2−0で勝利した。F東京は、勝点36で7位に浮上。大分は勝点を10から伸ばすことができなかった。

F東京は前半、大分の「従来よりもさらにコンパクトな守備」（城福監督）に手を焼いた。中盤で囲まれてボールを奪われると、そこから何度も鋭いカウンターを浴びた。互いの陣地を行き交う展開が続くが、両チームの守備陣が耐えて0−0でゲームを折り返した。
後半、先に決定機を作ったのは大分だった。56分、FWフェルナンジーニョが右サイドを突破して中央に送ると、MF高橋大輔が抜群のタイミングでボックス内に侵入してフリーであわせる。だが、ボールはGKの正面に収まってしまう。すると、主導権は徐々にF東京へと傾いていった。大分陣内でのプレーが続くと、指揮官はMF羽生直剛に代えて攻撃のカードを切った。
「羽生が守備に穴を空けてなかった。大竹は諸刃の刃というか、羽生と同じように大竹が穴を空けずにできるかというと…。そこと、点を取りにいくかのせめぎ合いは僕の中にありました」（城福監督）

待望の先制点は、途中出場の選手がアクセントとなって生まれた。70分、その代わって入ったMF大竹洋平が仕事をやってのける。MF石川直宏からボールを預かると、僅かな時間を作って自分を追い越していった石川の足元へ再びボールを託す。そして、最後は石川からパスを受けたカボレが、GKを交わしてゴールへと押し込んだ。大分は、序盤から縦へ急ぐ攻撃が裏目となって後半は失速してしまった。「前半は試合を支配していたが、集中力と体力が一時落ちた時間帯にゴールを入れられてしまった」と、ポポヴィッチ監督は悔やむ。アップテンポな攻撃の中にボールをキープして落ち着かせる時間帯も必要だったのかもしれない。

そして、この試合のフィナーレを迎える。終了間際のロスタイム、中盤でパスを受けたMF米本拓司が視界にゴールを捉えた。「打とうとしたとき、周りは打つなと思っていたらしいです（笑）。得点シーンは無我夢中で打ったので、距離とかは気にしていなかった。感触はよかったし、気づいたら入っていた」（米本）。全身のバネを使って力を伝えると、右足から放たれたボールはノータッチでゴールネットを揺さ振った。「最後の2失点目に関しては、非常に美しいゴール。お客さんも美しいゴールを見ることができて満足して帰ることができたのでは」（ポポヴィッチ監督）。米本は敵将も脱帽のリーグ初ゴールに飛び上がって「ヨッシャー」と喜びを爆発させた。感嘆の声に包まれたまま、味の素スタジアムには試合終了の笛が鳴り響く。F東京は、公式戦未勝利を６で止める勝利を飾った。

指揮官の狙いは「横に揺さ振りながら縦へのタイミングを図る」攻撃だった。それを可能にした石川の存在はやはり大きかった。
「ナオも外から見ていた何が足りないか、自分がもう一度、このチーム、このメンバーで何をやらなければいけないのかをしっかり準備して入ってくれたのだと思う」（城福監督）
石川がもたらした縦へのスピードと、ゴールへの迫力がカボレの２試合連続ゴールを呼びこんだ。また、途中出場で入った大竹も得点に絡んだ。けがで苦しんだ石川、2年目の壁を乗り越えようとしている大竹。地道でいい。遠回りしながらも、目の前のハードルを越えていく。その繰り返しがF東京の歩みを強くする。

以上

2009.08.30 Reported by 馬場康平