12月5日(土) 2009 J2リーグ戦 第51節
鳥栖 2 - 1 C大阪 (12:33/ベアスタ/8,466人)
得点者:8' 船山祐二(C大阪)、89' 高地系治(鳥栖)、89' 高地系治(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch183 12/7(月)深夜2:00〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
勝敗予想ゲーム | 皆の投稿で作るスタジアム情報
★スカパー!×ELGOLAZO×J's GOAL J2シーズン表彰2009★
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筋書きのないドラマほど、観ている人を飽きさせることはない。
まさか、ロスタイムに入った4分間にこんな結末があるとは誰が予想をしただろう。
鳥栖は岸野靖之監督のラストゲーム。C大阪は優勝がかかったゲーム。
両者、万感の思いを込めたゲームは、肌寒いベストアメニティスタジアムで鳥栖のキックオフで始まった。
開始早々からC大阪は、MF乾貴士を中心に鳥栖のゴールに襲い掛かった。
8分には、中央からMF石神直哉が左サイドの乾につないで起点を作った。
この瞬間にできた鳥栖CB前のスペースに飛び込んだMF船山祐二が、左足で簡単に決めて先制点を奪った。
しかし、優勝のかかったC大阪の得点はこれだけ。
この得点を守りきって、仙台の結果次第ではJ2での逆転優勝も可能だったが、敗れてしまってはその可能性も消えてしまう。勝利を目指して、全員が今季のC大阪が見せた細かなパスワークと速い展開で鳥栖ゴールに迫っていった。前半に11本のシュートを放ち、ゲームを優位に進めていた。
先制された鳥栖は、岸野監督のラストゲームであり、5年間(コーチ2年、監督3年)の集大成を見せないといけないゲームだった。
『負けたらアカン!』の精神は、全選手に叩き込まれているはずである。後半開始から、中盤からもC大阪へのプレスをかけてボールを追う作戦に出た。
もともと、鳥栖のサッカーは前線から早いプレスをかけて、DFラインを押し上げるスタイルである。
岸野監督が5年間で培った『無失点で耐え、先制点で勝つ』サッカーは、この高い位置からのプレスがあってからこそ。
このプレスが効いて、後半は鳥栖のペースで時間は流れていた。
この流れが決定的になったのは73分、乾が立て続けに警告をもらい退場となってしまった。
C大阪の前線での起点が消えてしまうと、鳥栖に勢いが増すのは必然。後半のC大阪は、66分に乾がGK室拓哉と1対1となったのが唯一のチャンスだった。
そして、この日の誰もが予想できない結末がロスタイムに入って起きた。
鳥栖の攻撃を耐えていたC大阪だったが、ロスタイム1分(公式記録は89分)に中央のMF野崎陽介からパスを受けたMF高地系治が、左足でGKキムジンヒョンの股間を抜いて同点ゴールを決めた。
この瞬間にC大阪の優勝の可能性が消えただけでなく、鳥栖の勝利への執念に火がついた。
その2分後には、再び高地系治の左足から放たれたシュートで鳥栖が勝ち越し、劇的な勝利となった。
2005年に鳥栖のヘッドコーチに就いた岸野康之。
初日の練習場で筆者に語った言葉は、「何でこんなに弱いんですか?」だった。
選手個々の能力や戦術を指しての意味ではないことを、今節の逆転勝ちを見て再認識した。
『負けたらアカン!』は、岸野監督の座右の銘である。この“アカン”には、試合だけでなく試合に至るまでの過程で“負けたら”いけないことを指していたのである。
練習でも、食事でも、そしてオフの間でも、何に対しても『負けたらアカン!』姿勢を貫いてきた。
選手だけでなく、スタッフにもフロントにも、そして監督自身にも、課した課題であり、最低のノルマだった。
「最後まであきらめずにやり抜く」(飯尾和也/鳥栖)ことこそが、岸野サッカーの真髄であった。
そんな岸野監督の監督就任初試合は、0−5で福岡に完敗を喫した。
今季も3連敗からのスタートだった。それでも、『最後まであきらめずにやり抜く』姿勢でクラブ史上様々な記録を打ち立てた。
J2リーグの全チームから勝ち星をあげた。5連勝も記録した。初めて勝点が80を超えた。
得点も最多ならば、得失点も+20となった。こんな記録は、今までの鳥栖にはなかった。
リーグ戦だけでなく、天皇杯でも3年連続J1チームを破っている。
そして、観る人すべてをひきつけるサッカーをしてくれた。
これだけの魅力を構築した岸野監督は、今節で鳥栖を去る。
彼の意志は、スタッフ・選手・サポーターたちに引き継がれているはずだ。
本当に実力が備わったのかが試されるのは、岸野監督が去り行ったあとに分かる。
2009年に色々と魅せてくれた岸野監督にJ`s GOALを借りてお礼を申し上げたい。
ありがとうございました。
1点を取り合うサッカー。1回のシュートで1点しか上げることができない。
だからこそ、1点の重みがあり、逆転するためには最低2本のシュートが必要となる。
1本のシュートを放つために全力でプレーし、ボールを追い、激しくぶつかり合う。
そこに競技が生まれ、試合が成立する。気持ちの強いほうに運が向き、流れを引き寄せる。
だからこそ、サッカーでは『負けたらアカン!』のである
以上
2009.12.06 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第51節 鳥栖 vs C大阪】レポート:『負けたらアカン』と最後まで岸野サッカーをやり遂げた鳥栖が、ロスタイムに2得点で逆転勝利。先制するも、乾の退場で鳥栖に勢いを増したC大阪は優勝を逃す。(09.12.06)













