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【J2:第51節 仙台 vs 愛媛】レポート:終了間際の失点で一時は凍りついたユアスタ。しかし鳥栖からの知らせを受け一転沸騰。ハラハラな記憶と共に、仙台が初戴冠。(09.12.06)

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12月5日(土) 2009 J2リーグ戦 第51節
仙台 1 - 1 愛媛 (12:34/ユアスタ/18,835人)
得点者:65' エリゼウ(仙台)、89' ジョジマール(愛媛)
スカパー!再放送 Ch182 12/6(日)16:00〜(解説:鈴木武一、実況:松尾武、リポーター:村林いづみ)
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初タイトルの喜びに免じて、このような軽口をたたくのもお許しいただきたいのだが、優勝決定の瞬間には、多分にこれまでの仙台の苦労を象徴するかのような紆余曲折が含まれていた。こうして笑える今だから冷静に振り返ることができるものの、失点の瞬間のまさに「無感」というべき心境は、思い返すだけでも身の毛のよだつものだった。

だが、この試合の結果は反省として記憶しつつも、それが今季全体の評価を揺らがせるものとはならない。
仙台、クラブ初のタイトルであるJ2優勝を達成。7シーズンぶりのJ1へ、チャンピオンとして乗り込むこととなった。

自らが勝てば優勝決定。悲願達成の条件が自らに完全に委ねられている状況ゆえに、仙台のこの試合におけるキーワードが「普段どおりやること」であったことは間違いない。
しかし試合は立ち上がりから、若干戦前の予想とは異なる形で進む。愛媛は守備時にしっかりと3ラインのブロックを組んで仙台を待ち構えたのだが、中央を固めるあまりにサイドは空きがちとなり、そこで仙台は容易に起点を作ることができた。そこまでは良かったのだが、攻勢がなかなか決定的なチャンスへと結びつかない。ゴールを脅かすフィニッシュは、ペナルティーエリア外からのミドルかセットプレーとなり、エリア内で勝負できるようなボールを供給できずにいた。「普段どおり」を意識しすぎるあまり、焦りを押さえたいという思いからか、早いタイミングでのクロスなどフィニッシュへ結びつくダイナミックな展開は明らかに減っていた。

それでも前半は0−0で終了。いつもならばここから、仙台がカウンターでさらにゲームの流れをつかんでいくはずなのだが、この日の愛媛は簡単にその流れに乗らなかった。後半開始からジョジマールを投入すると共に、4−3−3へとシステム変更。3トップの右に入ったジョジマールは、DFラインと中盤の間に空くスペースで上手くボールを受け、馬力あふれるプレーで仙台の守備につっこんでいく。通常ならばこの時間では安定した守備を続けているはずの仙台に、少々不安な場面が見られ始める。
しかし65分、1つのゴールが、苦しんでいた仙台に歓喜をもたらす。前半から多く得ていた仙台のCK、右コーナーから放たれた梁の高い弾道のボールに、ゴール正面で柴小屋雄一に高さで競り勝ったのはエリゼウ。叩きつける感じのヘッドではなかったが、ボールはゴール左へ吸い込まれた。この時間、C大阪がリードしていたため、このままでは優勝はC大阪のものとなっていたのだが、ひとまず仙台は優勝獲得の権利を取り戻すことに。

ところが仙台はここ数節のように、リードと共に試合を終わらせることができなかった。先制点の後に何度もあったカウンターからの決定機をものにできなかったことも大きな要因だが、それ以前に愛媛の反撃に対し、落ち着いて守ることができなかった点も無視できない。最終ラインは前述の3トップに手を焼き、一方で中盤においても、はやる気持ち分かるのだがボールに対する「無理追い」が目立ち、プレスをかわされ背後にボールを出される上に体力も消費していった。中盤の底で文字通り仙台の布陣を引き締めていた千葉直樹の負傷退場も、この悪い流れに影響をあたえていたか。さらに左サイドバックの朴柱成は、久しぶりに足が限界に来ているのが誰の目にも明らか。満身創痍の状態で、仙台は祈るような時間を過ごしていた。
こうして迎えたロスタイムだが、待っていたのは最悪のシナリオだった。プレスがもはやかからない中盤から、愛媛は右サイドにいた赤井秀一へ展開。つくべき朴は寄せきれず、容易にセンタリングを上げさせてしまう。ファーサイドへ飛んでいったボールの先には、エリゼウに競り勝ったジョジマールが頭で待ち構えていた。そらすようなヘッドからのボールが、ゴール左下へ、林卓人の横をスローモーションのようにすり抜けていく。
残りロスタイム、仙台は全員で慌てて攻めにかかるものの、そのまま試合終了。ピッチに、仙台の選手が倒れ込んでいく。クラブ史上初めてホームで迎えた大一番は、悲劇的な結末を迎えたのか…。

だが、昇格を決めたアウェイの水戸戦同様、スタンドの一角がざわつき始める。喧噪は伝搬し、やがてスタジアム全体を包む大きなうねりに。それに気がついたベンチが、倒れている選手に叫ぶ。そしてスタジアムに、C大阪のまさかの敗戦を告げるアナウンスが。

その瞬間、スタジアムは沸騰した。選手、監督が後ほど語るように、ちょっとかっこ悪い決め方だったかもしれないが、一度点火された盛り上がりにとって、そのようなことはもう関係ない。
スタンドの全ての場所で、笑顔と感涙の花が咲く。はじめはちょっとばつの悪そうだった選手たちも、スタンドにほだされるように笑顔を取り戻した。さらに相乗効果で、増す盛り上がり。 
ホームで何かを成し遂げるというのは、こうも美しい光景なのか。初タイトルと共にやってきた、仙台というクラブにとって最も美しい瞬間。いつまでも忘れられない光景として、12月5日という日が、この街の歴史に刻まれた。

以上
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