12月5日(土) 2009 J1リーグ戦 第34節
広島 4 - 1 京都 (15:33/広島ビ/19,303人)
スカパー!再放送 Ch183 12/8(火)00:00〜(解説:川本治、実況:西岡明彦)
得点者:8' 佐藤寿人(広島)、42' 盛田剛平(広島)、52' ディエゴ(京都)、60' 槙野智章(広島)、65' 佐藤寿人(広島)
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中島浩司の縦パスをダイレクトで高萩洋次郎が横パス。そのボールを佐藤寿人が、やはりダイレクトで裏へ出す。そこに走り込んでいた森崎浩司が、見事なボールコントロールからゴールを陥れた。
ため息がでるほどの躍動感。ゴールはオフサイドで取り消しとなったが、広島が誇る自由自在のパス・フェスティバルは、このプレーが序章となった。
7分、盛田剛平が相手ボールをカットしたところから、ショウの開幕。時折ドリブルが混じるものの、ほとんどが2タッチ以内のパス。パス・パス・パス。選手は縦横無尽に動き、幾何学模様を描くようにボールは走る。「相手のボールの回し方、動きの出し入れについていけなかった」と柳沢敦は嘆いた。
縦・横・斜めと動かしたパスの回数が23本を重ねた時、左サイドにいた森崎和幸が牙をむいた。右サイド。走るのは李漢宰。9年間、常に一緒にプレーしてきた二人の間には、言葉をかわさなくてもわかり合える「呼吸」がある。森崎和が放った「勝負パス」は、トップスピードでゴール前に飛び込んだ李にピタリとあった。
右足!ボレー!!
シュートをはじかれても、李漢宰はあきらめない。浮いたボールに身体をぶつける。彼の気迫が、森下俊のクリアを小さく変えた。その落ちどころを読んでいた佐藤寿人が、疾風のように走り込み右足を振る。「枠におさめることだけを考えた」(佐藤寿)ボールは、ポストに当たってそのまま内側にはねた。
広島らしいパスのバリエーションと勝負の勘どころをおさえたこのゴールが、この試合の流れを決定づけたと言っていい。
先制点を演出した李漢宰は、今季限りでチームを離れることが決定した選手。2001年に加入して以来9年間、2度の降格をはじめとした苦境でも必死にチームを支えてきた選手だ。その彼の苦悩や努力を見つめ続けてきたボランチがパスを出し、彼のクロスをゴールする練習を続けてきたストライカーがサポートする。そんなプレーに、チームが燃えないはずがない。
42分、李漢宰のCKを盛田剛平が豪快なヘッドでたたきこむ。J1で2得点目、ビッグアーチでのJ1ゴールは初めてとなる盛田のゴールを、広島での最後の試合でアシストできたことに、李漢宰は喜んだ。
後半、ディエゴのPKで1点差と迫られた8分後、またも李漢宰のCKからゴールが生まれた。60分、ニアに飛んだボールを中島浩司とDFが競り、こぼれを槙野智章が冷静に流し込む。このゴールで彼はマト(大宮)と並び、DF得点王となった。
5分後、その槙野が放った豪快なFKのこぼれを佐藤寿人がゲット。サポーターのもとに走ったキャプテンは、自らキャプテンマークを外し、そこに書かれた「10」のナンバーを高く掲げた。6年連続二桁得点を記録している偉大なタフガイが、今季の広島ゴールショウを締めくくった。
その主役=李漢宰に決定的なクロスを何度もあげられたことに業を煮やし、京都・加藤久監督は前半途中から角田誠と李正秀の位置を入れ替え、4-4-2から3-4-3にシステムを切り替えた。後半開始早々、17歳のストライカー・宮吉拓実をピッチに送り出し打開を図ったが、広島の勢いを止めることはできない。
「戦う気持ちが発揮されていなかった」と加藤監督は嘆く。前節、J1残留を決定づけ、選手たちを達成感が支配してしまったと思われても仕方のない状態。「プレスが甘かったから、ロングパスも出せた」と森崎和が指摘するように球際の寄せも甘く、セットプレーではたびたび広島の選手をフリーにしてしまった。
ただ、京都サポーターの期待を一身に集める宮吉が45分間躍動し、決定的なシーンも演出したことは、一つの光明。もちろん今後多くの経験を積み、謙虚な気持ちでサッカーに取り組む必要はあるが、こういう若者が台頭していくことが京都というチームの未来をつくっていくことになる。
去りゆくメンバーのことを想い、ヒーローインタビューで涙がこらえられなくなったキャプテンに率いられた2009年の広島は、記録尽くめの一年となった。4位という戦績はAFCチャンピオンズリーグ出場権に片手をかけるだけでなく、J1復帰初年度のチームとして最高順位であり、広島にとっては1994年ファーストステージ優勝以来の好成績。勝点56・得点53はいずれも1ステージ制導入以来最高。見る者を楽しませたサッカーの内容も含めて、広島は確かに「J1で旋風を巻き起こす」という佐藤寿人の前年度の誓いを実現した。
「もし、ACL出場になれば、厳しいシーズンが待っている。コンディションだけはしっかりとつくりたい」と高萩洋次郎は冷静に語る。どれだけの選手が残り、あるいはどんな選手が広島にやってくるのか、それはまだ不透明だ。しかし、来季も再び、この美しくも楽しい広島のサッカーがサポーターを喜ばせてくれることを祈って、今年最後の広島戦レポートとしたい。
以上
2009.12.06 Reported by 中野和也













