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【J2:第51節 甲府 vs 熊本】レポート:勝点1差でJ1昇格を逃した甲府。安間監督が残した重い言葉を受け止め、「夢のある甲府」へ向かって歩を進めよう。(09.12.06)

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12月5日(土) 2009 J2リーグ戦 第51節
甲府 2 - 1 熊本 (12:33/小瀬/13,104人)
得点者:2' 金信泳(甲府)、23' 金信泳(甲府)、28' 小森田友明(熊本)
スカパー!再放送 Ch183 12/7(月)17:00〜(解説:外池大亮、実況:前田真宏、プレーヤー解説:堀井岳也、リポーター:横内洋樹)
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特別な5年間は輝かしい過去になった。

甲府の選手は最後の試合を全力で戦った。熊本がよかっただけに、ボールにプレッシャーを掛けに行ってもワンタッチパスを2本3本と繋がれて後手を踏まされることがあった。しかし、それでも誰も手を抜かず次々にプレッシャーを掛け、かわされれば全力で戻って防ごうとした。この闘志と頑張りは素晴らしかった。ここまでやり切るチームは他にない。本当に素晴らしかった。

ただ、悔やまれるのは「何でこれをリーグ戦でもっとやれなかったのか」ということ。勝点1ポイント差で昇格を逃した代償は大きい。シーズンが終わった今、契約のことなどで選手の心に屈託があるのは分かるし、最後の2試合は難しい状況でキッチリと責任は果たした。しかし、振り返ってみれば、ときにはチーム全体で、ときには個人で、ときにはリーダーシップを発揮しないで傍観者になることで、手に出来たはずの勝点を逃したのも選手。安間貴義監督は出来ないことを「やれ」とは言ってこなかった。「安間監督とサッカーをしたい」、「自分たちのサッカーをJ1の舞台でやりたい」と選手は言ってきた。しかし、それを果たせず、今は心に屈託を持つ選手が少なくない。自分たちがやるべきことをやってこなかったことがあったことを忘れたかのように。安間監督はチームを去る決断をし、多くの選手がチームを去ることになり、林健太郎と阿部謙作は引退を決意し、何人かの選手は大幅なダウン提示を受けて、「チームに残るかどうか分からない」と言う。昇格を逃し、J2リーグ4位という結果を受け入れるしかないチームは、時代を終わらせバラバラになる可能性でツケを払おうとしている。

プロサッカー選手でなくても、やるべきことをやらなければ大抵の人や組織はツケを払わされる。公の場で批判されることがないだけで、仕事を失ったり、女にフラれたりしてツケは払っている。記者会見で安間監督は「選手にはこの勝点1差をどう受け止めるか考えて欲しい。この差を補うチャンスは出場した選手にあり、得点の場面でミスをした部分でもある。1つのミスがその人の人生を変える」と話した。まさに、多くの選手の人生が変わる。期待した方向とは違う方向へ。

「思い起こせば、上に行くチャンスは沢山あった。それに選手が気付いてくれればまた発展していくと思う。1つのプレーの大切さを伝えて退きたい」

安間監督の言葉。口下手な男が残した重い言葉。こんなことになったのは安間監督の指導力不足ではないと思う。阿部は「大木武監督(現・日本代表コーチ)は人の心を震わせることが出来る指導者で安間監督はサッカーのスペシャリスト」と言う。安間監督の下でサッカーをする選手はサッカーが上手くなれる環境を与えてもらう代わりに、吸収したことを咀嚼(そしゃく)して自分で考えて発揮する自覚が必要。それが無いのなら「強要」する監督の下の方が能力を発揮できるだろう。安間監督が与えた「自由」には判断ミスをする自由も含まれている。

甲府が金信泳の2ゴールで2-0とリードし、湘南が水戸に0-2でリードを許していることを知ったときは浮かれた。このまま早く終わってほしいと思ったから前半が長いと感じた。しかし、湘南が追いつき逆転すると後半は物凄く短く感じた。自分が見ていた携帯サイトのJリーグ速報は5〜6分遅れて更新されるから、小瀬の4分間のロスタイムが終わったときは水戸対湘南のスコアは2-3のままで水戸が同点に追いついたのかどうか分からなかった。暫く待っても誰も喜ぶ素振りを見せないから察した。ピッチの選手も察した。

林は「後半、残り10分になったあたりで『もう終わるのか』」と思った。阿部は「時間を見てあと少し」と思った。引退する2人は、「最後の試合が注目されない試合よりは、注目される試合で幸せだった」と言う。引退を前夜に公表した林は「今日は勝たないといけない大事な試合。そうじゃなかったら『引退する選手のために』みたいになったかもしれないけれど、そうなるのは嫌だった。だからラストゲームが大きな試合で嬉しい」と話してくれた。阿部は「でもね、試合に出ていると気持ちが揺らぐ。小瀬で大勢のサポーターに応援してもらってピッチに立てるのは本当に幸せ。『まだやりたい』って思うよ」と、付け加える。阿部の引退を知ったのは前日練習のあと。第44節まで不動の正GKだった荻晃太はリハビリを終えて、ピッチでひとりストレッチをやっていた。そこにGK練習を終えた阿部が近寄り、荻の横に座った。珍しいと思った。ライバルにはライバルの距離感があると思っていたからだ。引き上げてきた阿部に「何を話してたん?」と聞いた。

「俺、明日で引退するんです。晃太は手術やリハビリでいなかったから、それを伝えようと思って」

荻がヘルニアの手術をすることになって阿部は正GKの座を取り戻した。それだけに随分やりにくかったと思う。耳を塞ぎたいことも言われたと思う。
「なかなか勝てなかったからね」
天皇杯の4回戦を挟んで3連敗もあった。
「引退するけれど、サッカーと離れるわけじゃない。もっとサッカーに関われる。免許を持っているから、教員になってサッカーを指導したいんです。自分で下した決断だから後悔はしない。大丈夫」
林と阿部の引退だけでも一つの時代が終わったことを感じる。

夢のかけらをポケットに入れて帰ろうと思ったけれど、5日の夜はそれを見つけることが出来なかった。湘南の選手や関係者には、2-0から2-3に逆転した凄さを称える気持ちを伝えたいけれど、夜のニュースでは喜ぶ姿を直視できなかった。まぁ、スポーツニュースのサッカーコーナーの殆どは鹿島の選手と日本代表の岡田武史監督が映っていただけだったが…。来年はJ2で競った仲間がJ1で怯むことなく戦う姿を見たい。ただ、それまでに甲府の夢のかけらを見付けて、みんなで持ち寄って大きな形にすることが出来るかどうかが心配。酔っ払ったら、「あの頃はよかった」なんて本当に言ってしまいそう。フロントも選手も、次の時代を作るために冷静になって5年間を振り返ってほしい。僕らは夢のある甲府が大好きだったんだ。

以上

2009.12.06 Reported by 松尾潤
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