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【東アジアサッカー選手権2010 SAMURAI BLUE(日本代表) vs 香港代表】レポート:ピッチ上で状況に対応した日本代表が、3得点で香港代表に快勝。優勝への望みをつなぐ。(10.02.12)

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2月11日(木) 東アジアサッカー選手権2010
SAMURAI BLUE(日本代表) 3 - 0 香港代表 (19:15/国立/16,368人)
得点者:41' 玉田圭司(JPN)、65' 田中マルクス闘莉王(JPN)、82' 玉田圭司(JPN)
東アジアサッカー選手権を10倍楽しもう! | チケット情報
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香港戦が行われた試合会場に、その日試合のなかった韓国メディアが大挙して訪れていた。彼らは0-3で中国に敗れた前夜の試合の感想を日本人メディアに求めていたのである。まさか負けるはずはないだろうと思っていた相手に対する失態について、冷静な意見を欲していたのだろう。

その一方で、その韓国を下した中国国内で徐々に東アジアサッカー選手権に対する報道が出つつある。今現在、中国サッカー界はリーグ戦での不正問題が噴出しており、この東アジア選手権も試合自体の放送がなされていない。そんな中、日本に引き分けた試合がまずは報じられる。日本は4大会連続ワールドカップ出場中のアジアの強豪国でFIFAランキングで言えば、40位の日本と87位の中国との対戦である。力の差があるチームとの対戦をアウェイで引き分けに持ち込んだ事に対し、まずは驚きの声が出つつあった。そこにさらに、史上初となる韓国戦での勝利である。徐々に東アジア選手権がニュースとして報道されはじめているという。国内のサッカーを取り巻く悪環境を払拭するに足るインパクトを韓国戦の結果はもたらしているのである。

香港戦のレポートの冒頭に日本とは無関係のこの話題を紹介したのには訳がある。中韓のメディアが日本と同じように目先の勝敗で一喜一憂している事を伝えたかったのである。この香港戦が行われるまでの日本代表は2試合続けて0−0と、結果を出せなかった。しかし、Jクラブがそうであるように、チーム作りには過程がある。その過程の中、ばらつきのあったコンディションが徐々に高いレベルで安定しはじめ、コンビネーションも復活しつつある。狭いレンジでのパスワークに関してはすでにある程度の形は作れている。だからこそ、チーム作りの過程を十分に考慮した報道がなされるべきだと考えていたのである。ということで、この試合ではチーム熟成の過程の中にある事を前提にひとつのテーマを持って取材しようと考えていた。それが、広い展開であり、FWのタイプに合わせた崩しの形を取れるのかという点である。

広い展開については、これまで取り組んできた練習がエリアを狭く限定しハイプレッシャーに慣れるものだったこともあり、そもそも実現の難しい項目だった。ただ、ここまでの国内の2試合である程度のプレッシャーの中でもパスワークは出せており、だからこそ狭い局面を打破するには逆サイドに振るのが一番だろうという状況にあった。そしてそれはプレビューでも言及した大久保嘉人(神戸)の言葉からも明らかだった。大久保は「パスを繋ぐことで逆サイドが空く。そういう時に、ここで出てくればという場面が沢山あった」と引き分けた中国戦を振り返っていた。

ベネズエラ戦を経て行われた中国戦以降、サイドチェンジをこのチームの熟成過程の指標の一つにしているのだが、そうした点に注目する中、香港戦が始まる。

韓国戦を中2日後に控えるこの香港戦は当初、試合出場の機会の少ない選手で戦う事が予想されていた。しかし岡田武史監督は中国戦後にその方針を変更。いくつかのポジションで入れ替えは行われたが、要所、要所のポジションで核となる選手を起用している。そんな中、注目の一つの4選手が並んだ中盤である。ボックスに並んだ中盤の形はベネズエラ戦と同様のもので、違いは稲本潤一(川崎F)が今野泰幸(F東京)と入れ替わっていた部分のみだった。件のベネズエラ戦では、相手のサイドバックの手前の位置にスペースがありながら有効に使うことができず、岡田監督からの修正の指示を待たなければ局面を打開できなかった。中村憲剛(川崎F)、小笠原満男(鹿島)の両サイドハーフの、中へと絞る動きとそれに対応するサイドバックの上下動が連動しきれなかったからなのだが、この試合ではそれがどうなるのか、注目してみた。

日本代表を語るためには香港の陣形を説明する必要がある。彼らは4−4−1−1の陣形を敷いており、トップ下のオーヤン・イウチャンも守備に戻っていた。つまり日本が使えるスペースは限定的だったのである。例えば前半をベンチで過ごした稲本は「前半は詰まった感じでした。攻めの形が作れなかった」との印象を口にしている。ただ、そんな中でも日本代表は局面でのパスワークには冴えを見せており、じわじわと香港代表を押し込んでいた。また相手が人数をかけて守るスタイルを取っていた事もあり10分に田中マルクス闘莉王(名古屋)が最初のオーバーラップを見せる。元々攻撃参加が持ち味の選手ではあるのだが、続く14分、25分、36分と次々に攻撃参加し、日本の攻撃にアクセントを付けていた。香港はトップにチャオ・ペンフェイ1枚が残る形であり、中澤佑二(横浜FM)を中心に十分に対応できるとの判断があったのだろう。ベネズエラ戦では岡田監督の指示を待たねば動けなかった事を考えれば、闘莉王の攻撃参加は状況を判断して行われた的を射たものだった。

その一方で、サイドを大きく使う攻撃は思いのほか見られなかった。前述の通り香港代表がブロックを作っていた事もあるのだが、その点について中村は次のように答えている。

「逆サイドのサイドバックに相手のサイドハーフの選手がついていた。それならば人数の多いところでパスをつないだ方がいいと判断しました」

つまりサイドチェンジしてもかならずしもフリーになるわけではない状況があるならば、相手は人数をかけているが、日本代表もそれなりに揃っているサイドで崩そうとの判断をしたのである。そしてこれはこれでピッチ上の選手の判断としては誤りではないと考える。タフに守る香港の守備をなかなか崩せず、日本代表の先制点は41分の玉田圭司(名古屋)のゴールまで待たなければならなかったが、2試合連続で0-0の結果を残していた代表にとっては、心の重荷を取り去る得点だった。

「香港は徹底して守備を作っていましたが、90分間は続かないと思っていました」との中村の予想通り後半に入って香港の守備は緩み始める。冒頭にも記した通り、この試合ではFWのタイプに合わせた攻撃ができるのかを確認しようと考えていた。その点については、後半開始から投入された平山相太(F東京)をうまく使う攻撃も出来ていたように思う。これはプレビューにも書いたのだが、練習試合では、平山がターゲットであるにも関わらず、早いグラウンダーのアーリークロスが次々と用いられていたのである。しかしこの試合では平山の高さを生かす高さのあるクロスボールが用いられており、FWのタイプに応じた崩しが出来ていた。

平山と玉田が2トップを組み、大久保がサイドハーフへ。さらに交代した今野のポジションに小笠原が下がりスタートした後半は、62分にその小笠原に代えて稲本を投入し、中盤をダイアモンドの形へと変更する。これにより、交代直後から稲本が中盤の底を一人でケアすることになったが、前述の通り香港は1トップの布陣を敷き、さらに全体的に守備偏重の戦いを取っているため、これで十分に対応することができていた。遠藤保仁(G大阪)のポジションを前に出したこの稲本の投入以降、日本は香港を圧倒し、65分にはCKから闘莉王がヘディングで2点目。さらに82分には玉田のこの日2点目となるゴールが決まり、3-0で快勝する事となった。

この香港戦の勝利により日本代表は東アジア選手権初優勝に向けて望みを繋ぐ形となったが、それにしては試合後の選手たちの表情は決して明るいものではなかった。まずしっくり来ていなかったのは中村である。奪った3得点はもちろん評価すべきなのだろうが、それ以上に外した決定機が多すぎると悔しさをにじませていた。無得点に終わった大久保も「勝ったのは良かったが、しっくりきた感じではないですね」と口にしていた。

その大久保が「もっと当ててほしかったですね。サイドに散らすと動き直さないとダメになるので」と話す一方で、中村は「人が揃ったら、もう一度ボランチから展開し直すのも必要だと思います」と述べて、作り直しの必要性を口にしていた。大久保にとっては、周りを囲まれていながらもほしいタイミングがあった事を示しており、それに対し、リスクテイクよりも安全を重視した中村との意識の違いが浮かび上がってくる発言だった。

ピッチ上での判断や、試合運び。そして結果が出ているという点でこの試合の成果は十分だと考えるが、その一方でまだまだ埋めなければならない意識のギャップがあることが明らかになったという試合でもあった。ただ、この時期に出る課題は大歓迎である。そうやって意識の違いを認識し、改善して行けばいいのである。大きな目標を6月に置きながら、まずは中2日で行われる韓国戦に向け、調整をしてほしいと思う。目の前の試合に集中できるという点で、この香港戦は雑音を払拭できたという点で勝点3以上に意味のある試合になったと言えそうだ。

以上

■東アジアサッカー選手権2010 決勝大会/東アジア女子サッカー選手権2010決勝大会
いよいよ最終戦!
2月13日(土)味の素スタジアム
12:30 チャイニーズ・タイペイ女子代表 vs 中国女子代表
15:10 なでしこジャパン vs 韓国女子代表

2月14日(日)国立競技場
16:30 香港代表 vs 中国代表
19:15 SAMURAI BLUE vs 韓国代表

★チケット情報
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2010.02.12 Reported by 江藤高志
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