5月9日（日） 2010 J2リーグ戦 第12節
北九州 0 - 1 札幌　（14:03／本城／4,061人）
得点者：3' キリノ（札幌）
スカパー！再放送 Ch185 5/10（月）19:30〜（解説小野信義実況石田一洋リポーター麻倉ももこ）
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試合終了のホイッスルが鳴った後、座り込んで立ち上がれない選手がいた。北九州にとって重すぎる敗戦。"既視感"というわけではないのだろうけれど、立ち上がりに失点し、焦りの出た後半は決定機を作りながら決めきれなかった。いつか見たような試合を、今日も繰り返してしまった。

警戒していた時間帯だった。北九州の失点シーンは前半に偏り、それも早い時間帯が多かった。出鼻を挫かれた試合は追い付くのがやっと。追い付けないまま敗戦を喫することもあり、それだけに最大限の注意を払って臨んだはず。それでも防ぐことはできなかった。
3分、センターラインそばにいた岩沼俊介からのパスにキリノが飛び出しフリーになると、そのままドリブルで駆け上がって左サイドからゴールに迫り、最後は難しいコースながら落ち着いてゴールネットを揺らした。

ただ、試合全般に目を向けると札幌のチャンスは多くなく、試合そのものは北九州が握っていたと言っても良い。札幌は慣れない3-5-2のシステムで臨んだが、「サイドバックのところで起点を作られ」（石崎信弘監督）、苦戦を強いられた。北九州は特に日高智樹が積極的な上がりを見せ、クロスやスルーパスでFWへとボールを運び、チャンスを演出していた。

ずるずるとラインを押し下げられた札幌は後半、システムを4-4-2に変更。北九州に何度となく攻め込まれるが、前戦からのプレスや高原寿康の好セーブなどで猛攻をしのぎ、1点を守り抜いた。

とはいえ両チームともに決定力不足という課題は残ったままだ。
北九州は試合を通して決定的なチャンスでは札幌を上回っていたものの、クロスボールがずれていたり、トラップが大きかったりして、チャンスを活かし切れなかった。「チャンスは合ったので、そこで決められないとこういう試合になる」と佐野裕哉が話すように、一つのチャンスをものにできるかどうかで試合の流れは変わっていく。
与那城ジョージ監督は悲観してはいない。試合後、下を向いていた選手たちに「なかなか勝てないかもしれないけれど、サッカーそのものは良く、このリーグでこのサッカーで勝てるという確信もあるので、そこは続けながらやっていくように」と声を掛けたという。結果には結びついていないが1年目の今年は続けることが大事。その認識は監督も選手も一致している。自分たちのサッカーが出せるように努力を続けながら、ゴールへの意識を高く持って、次の試合に臨みたい。

札幌はキリノに待望の今季初ゴールが生まれたが、この3分のゴール以降はほとんどチャンスを作れなかった。
キリノは「ほっとした」と安堵の表情を浮かべつつ、「正直なところ、FWとしては物足りない感じもある」とコメント。勝点3を取ったものの、褒められた試合内容だったとは言えず、石崎監督も「点取った後、もう1点目を取りに行くというところがまだまだ足りない」と反省していた。
とはいえ、チームとしては新しいシステムを試している段階。サイドを使われることはある程度想定しながら3-5-2で試合に入ってはいたが、「あまりにもそこを使われて押し込まれ」（石崎監督）、途中で4-4-2に変えざるを得ない状況になってしまった。試行錯誤が続く中では先制点を守り抜く方が勝点3には近いかもしれないが、2点目、3点目が必要となるゲームも当然に出てくる。特に次節は得点力のある大分に当たるため、フィニッシュまでの組み立て方を早めに確立させたい。

連休期間中の連戦が終わり、各チームには立て直しのための余裕が少し出てくる。連戦の疲れを早く癒すと共に、敗戦のショックも、勝利の安堵も引きずらず、練習の中でこつこつと課題点を修正していきたい。重ねた練習の成果を結果として出し、1カ月後に控える中断期間を良い状態で迎えたいものだ。

以上

2010.05.10 Reported by 上田真之介