7月25日(日) 2010 J2リーグ戦 第19節
柏 2 - 2 千葉 (18:04/柏/10,768人)
得点者:6' 倉田秋(千葉)、9' オウンゴ−ル(柏)、71' 田中順也(柏)、89' 茶野隆行(千葉)
スカパー!再放送 Ch183 7/26(月)後02:00〜
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試合開始早々、千葉の最終ラインから出たクリア気味のボールに対し、柏守備陣の背後を抜け出したネットとGK菅野孝憲が交錯した。このプレーで菅野は退場。それに伴い柏は澤昌克に代えてGK桐畑和繁を投入したが、倉田秋にPKを決められ、いきなりビハンドを背負う形になった。
1人少ない柏は、中盤左に田中順也、右にレアンドロ・ドミンゲス、そして1トップに工藤壮人を置く4−4−1へ変更した。ただ、ネルシーニョ監督が「こちらからの指示は細かくは伝えられなかったが、彼らがやるべきことをしっかりやった」と語ったように、ピッチ上の選手たちがこの状況で何をすべきかを考え、それをプレーで示した。
数的に有利な千葉が低い位置からボールをつなごうとするのは常套手段である。となれば、柏は1トップの工藤が、ボールが入った時に相手のセンターバックを見るのか、1列下がってアンカーを見るのか、体力が続く限り両方をケアさせるのか、いくつかの選択肢が発生する。ここで大谷秀和は「センターバックは見なくていい。アンカーを消せ」と工藤に指示を出した。その場合はボールを持ったセンターバックがフリーで攻め込んでくることになるが、クサビのパスが入った後やサイドへ展開されたところで、DFライン4人とボランチ2人が組織的な守備を見せ、バイタルエリアへの侵入を阻止した。
また、攻撃面では田中とレアンドロ・ドミンゲスが個人技を生かして1対2の数的不利な状況でも仕掛けて高い位置まで運ぶ、あるいはタメを作ってカウンターの起点となった。9分、レアンドロ・ドミンゲス、田中、工藤とショートカウンターを仕掛け、一度は千葉DFがタッチラインへ逃げたが、さらにそのリスタートから得たFKを、田中の速いファーを狙った弾道が千葉DF茶野隆行のオウンゴールを誘い、同点とした。
ハーフタイムに「ここからは消耗戦になるので頭を使っていこう」とネルシーニョ監督は指示。さらに大谷も「このままでは後半はもたない。10人でもボールを動かしながらやっていこうと話した」と言う。千葉もサイドを起点に攻撃の手を強めたため、攻め込まれる場面は増えたが、それでも柏は両サイドバックの小林祐三と橋本和が粘り強い守備を見せ、中央の近藤直也、酒井宏樹が外からのボールを跳ね返し、栗澤、大谷が変わらず献身的なプレーで数的不利の劣勢を打破しながら、ボランチを経由して丁寧につなぐ場面と、千葉の選手がプレスに来るなど状況次第では無理をせずにシンプルに蹴るといった、つなぐところと攻め急ぐところのメリハリを効かした。
71分、まさに千葉の前線がプレスに来たところで、酒井がフィード気味のクリアボールを前線へ送った。これに反応した田中が千葉DF青木良太と競り合い、体が入れ替わる。田中は得意の左足の前に流れたボールをボレーでゴールへ叩き込んだ。
柏は千葉の攻撃を流れの中からは封じたものの、唯一とも言うべき綻びはセットプレーにあった。柏のセットプレーはゾーンディフェンスであることに加え、数的に不利な状況であるため、必然的にマーカーが足りないことになるが、千葉は空いたファーサイドの1人を、セットプレーでは何度も狙い続けていた。それまでは千葉のシュートミスなどにも助けられ事なきを得ていたが、89分、アレックスのFKに対し、ファーサイドから走り込んできた茶野のヘッドが決まった。2−2とされ、勝利が柏の手からすり抜けていった。
2試合連続、試合終了間際に追いつかれてのドローも、この千葉戦は前節の横浜FC戦とは意味合いが大きく異なる。「質の高い相手に、1人少ない状況で、しかも前半の早い状況から追い込まれて、体力的にも精神的にも乗り越えられた。技術、体力、精神というところは我々の身に付いてきている。今日は選手たちを祝福したい」と称えたネルシーニョ監督の言葉がすべてではなかろうか。もちろん、菅野の退場につながった近藤のプレーや、セットプレーの際のマーキングなど、いくつか修正ポイントがあったのは確かである。しかし10人でも示したチームの成熟度の高さ、そして桐畑と酒井が見せた新たな若い力の底上げ。後半戦を戦う上で、手応えと収穫が多い試合だったことも、また事実である。
以上
2010.07.26 Reported by 鈴木潤
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