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【J1:第15節 京都 vs 浦和】レポート:細かな綻びを見逃さなかった浦和に後手を踏んだ京都、大敗を喫する(10.07.29)

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7月28日(水) 2010 J1リーグ戦 第15節
京都 0 - 4 浦和 (19:04/西京極/10,530人)
得点者:53' サヌ(浦和)、64' ポンテ(浦和)、75' エジミウソン(浦和)、88' 宇賀神友弥(浦和)
スカパー!再放送 Ch183 7/29(木)後08:00〜
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秋田豊新監督(Jリーグの承認が完了するまでコーチとして指揮を執る)の初陣は、無得点、4失点という結果に終わった。
秋田体制としての準備期間が1日ということもあり、京都は、ヤマザキナビスコカップ予選リーグで結果を出していた3−4−3というフォーメーションとその際のメンバーで臨む。

前半は、守備をコンパクトにして、カウンターを狙う意図が現れ、また、14分エジミウソン、23分サヌ、42分に田中達也が決定機を決められなかったというのもあり、0−0で折り返した。
後半、京都は怒涛のゴールラッシュを受ける。後半8分に平川忠亮が起点となり、ポンテ、阿部勇樹とつながれ、マイナスに入ったボールをサヌに豪快に決められ0−1とされると、同19分には京都がワンバウンドしたボールに対しヘディングクリアの目測を誤り、後ろへ抜けると、ゴール前で3対2の数的不利を作られ、エジミウソンからポンテとつながれて0−2とリードを広げられる。同30分には相手のクリアボールをGKが処理しきれずにエジミウソンに奪われて0−3とされ、終了間際の43分、京都は前がかりになったところをカウンターで攻められ、右サイドのポンテから左サイドへ、途中出場の宇賀神友弥にエリアの外からきれいに右隅へ流し込まれ、宇賀神のJ1初ゴールで0−4とされ試合終了。0−4という大敗を喫した。

京都は硬さが目立った。京都の左サイドと浦和の右サイドの攻防で遅れをとったのはその典型のように観えた。
京都のディフェンスは3バックに、ワイドに配置した5人での守備陣形。この形と、4バックにアンカーを配置する同じ5人での守備とは、どこが違うのかという点である。アンカーを配置することでバイタルを埋められる、というのはプレビューでも書いた。
では3バックの利点は?となると、様々な視点はあるだろうがこれまでの京都の守備だと、3バックの方がワイドの選手の後ろのスペースをカバーしやすい、という点がある。「サイドの選手を少し前に置きたかった」とは加藤久前監督の言葉だが、ワイドの選手の後ろのスペースを3バックのサイドがすぐに対応できるため、ワイドの選手は前に向かって行くことができる。

そして、今節の京都の左サイドの守備だ。浦和の右サイド中盤のポンテの動きにつられて前に行くことができなかったのだ。ポンテに裏のスペースに走られれば、ワイドの選手が下がり、ポンテが中に入れば、その動きに気を取られる。ポンテの動きにつられることで左サイドにスペースが生まれ、平川がそこで余裕を持って仕掛けられる様になったのだ。これで、浦和に攻撃の起点を作らせてしまうことになる。

ワイドの選手がポンテの動きではなく、ボールに向かうことができれば、平川に対してプレッシャーをかけることができただろう。それが出来れば、ドゥトラはさらに前に出ることが出来る。そうなれば平川は下がるようになったのではないか。
加藤久前監督のもとではそういうゾーンディフェンスをしていたはず。そうしたこれまでやってきたことが抜け落ちてしまったのは、負けられないというプレッシャーが余裕を失わせたからだろう。

ボールに対してプレスをかける時も前に向かって奪いに行くという原則は忘れられていた様にも観えた。横に、あるいは戻りながら、という形も多く、ボールを奪いに行くためのスタートの位置で疑問符をつけたくなるものも多かった。しかし、こうしたことはチーム全体ではなく、数人の限られた選手で、若い選手や外国籍選手に見受けられた。ギリギリの戦いの中で余裕を失っている証しになるだろう。

前半、柳沢敦が左サイドでボールを持った時、中村太亮が前線に走り抜け、チャンスになりかけたがオフサイド、というシーンがあった。
この時、柳沢には、中村太にボールを出す選択肢しか無かった様に観えた。サイドでボールを持って、詰まれば戻して逆サイドに展開、というのは基本の選択肢だ。だが、3バックの左側はその時、積極的にフォローに入っていなかった。
浦和のFWエジミウソンの守備の出足も早く、京都守備陣に対し積極的にプレスに来ていたので、それで、ディフェンスが積極的にボールをもらいに行くという意欲を落としていたのかも知れない。
試合後、角田誠は「中盤の構成上、相手の方が多かったからどうしても後手、後手という風に入ってしまう」と話していたが、判断の遅れという部分もあったように見えた。
練習では、狭い地域で人数を多くして判断を早くするボール回しをしていたはずだ。早くボールを動かして、人も早く動き出すというトレーニングの意味はこういう試合でこそ出すべきではないのか。詰まればシンプルにつないで広いスペースを使う。ボールを持って考えるのではなく、ボールを動かしながら状況を判断していく。その中で勝負どころでは積極的にチャレンジする。これまで出来ていたことが、浦和の強いプレッシャーにあって出来ない場面が徐々に多くなっていったのは、疲労が大きいとはいえ残念な点だった。
今節はディフェンスラインの増嶋竜也、水本裕貴がボールをつなぐシーンが少なく、逆に中盤、バイタルの所でミスが多発したのは、相手の薄いところを探る余裕が無かったからだろう。後半、ディフェンスラインでボールを持ち、浦和の前線の守備が前へ来た時に、中盤の安藤、角田に入ると展開がし易くなっていたが、こうした判断をゲームの中で出来るようにしなくてはならないだろう。
特に、失点してからは前線に入れるボールがことごとく狙われていた。京都の「とにかく前へ」、という攻撃は相手にとって分かりやすく、守りやすいということになる。

守備ブロックを作る相手に対してディフェンスラインでのポゼッションが重要になることは、ヤマザキナビスコカップ予選リーグのF東京戦で出てきたテーマであったはずだ。

今節の敗戦を、問題を整理する糧にしなければならない。
ディフェンスでは、これまでやってきたことの確認が必要だろう。さらに、次の広島戦に向け、広島の攻撃特性と京都の守備の弱点を選手が責任を持って理解すること。そうすれば守備面で少しでも心に余裕を持つことができるはずだ。
攻撃では、守備陣形を整えた相手をどう攻略するかという点。ディフェンスラインと中盤でのボールのつなぎよりも、そこから先である。スピードアップのタイミング、ダイレクトプレーのアイデアが求められる。
逆に、そこにサッカーの面白さもある。今の状況で難しいかもしれないが、各自のアイデアとチャレンジを駆使することでサッカーの楽しさを再確認してもらえるのではという気持ちもある。

角田は「全て(速攻で)前線の3人に任すというのは不可能」と話していたが、速攻という武器があるということを自覚しても良いはずだ。速攻という武器をしっかり磨きつつ、今の攻撃の課題をチームで明確にしていくこと。速攻だけじゃダメだ、と思うのは余計自分たちを追い詰めることになる。

気持ちが重要だ、とするのは大切だが、気持ちだけに走ると物事を整理する余裕がなくなる、という側面も理解するべきだ。リーグはまだ残り半分以上あるのだ、今節で出来たこと、出来なかったこと、さらに、なぜ出来なかったのかを、個人で、チームで整理することが必要だろう。それをして、ゲームに集中、気持ちを入れていけばいいはずだ。

以上

2010.07.29 Reported by 武田賢宗
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