7月28日（水） 2010 J1リーグ戦 第15節
大宮 1 - 1 横浜FM　（19:00／ＮＡＣＫ／11,856人）
得点者：86' 村上和弘（大宮）、90'+2 長谷川アーリアジャスール（横浜FM）
スカパー！再放送 Ch183 7/29（木）後05:00〜
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大宮のホームNACK5スタジアムで劇的な幕切れ…かに見えた。だが、86分に生まれた先制点を、ロスタイム4分間を含む残り時間守りきることが出来なかった。「勝てていないから、冷静さを欠いている」と鈴木淳監督はその心理について説明する。外から見ていると、「勝ち方を知らない」そんな印象を抱かせるドローだった。

70分に既に退いていた藤本主税が「あの残りの時間帯、ピッチにいたかった。石原（直樹）やドゥドゥに守備の意識をもっと持たせないといけなかった」と悔しげな表情を見せる。ピッチ内でもっとも激しく、熱く、そして有効に味方を鼓舞しているのが藤本で、その存在は大きい。ただ、たった残り20分の間、彼の代わりを務めることの出来る者がいないことはあまりにも、寂しい。「悔しい。本当に悔しい」とこの日先発復帰した坪内秀介が振り返る。彼も「若くても、だれでもピッチで声をだして引っ張っていかなくては」と試合前に気づき、話していただけに、そしてその欠如ゆえに勝点2を失っているだけに悔しさは倍増したように見えた。
ただ、試合としては、なかなか白熱したものではあった。序盤は攻められ、徐々に盛り返しついに86分に得点。その後はチャンスがありながらも…という展開に平日ながら12,000人の来客のあったスタジアムは沸きに沸いた。もちろん、それだけに、結果がのどから手が出るほど欲しいと痛感させられた試合でもあった。

この日は先発メンバーを若干変更し、FWに市川雅彦、CBに坪内を起用した。だが前半から、横浜の勢いに押された展開となってしまう。開始1分には、中央小椋祥平のミドルシュート。これはギリギリ枠を捉えないが威圧感十分のスタート。9分にはFK、10分にはCKからゴールを狙う。セットプレーでの中村俊輔の存在感は否定のしようがない。一方の大宮はペナルティエリア内に侵入することさえ出来ずに時間が経過する。35分になり、ようやく味方のボール奪取から右サイドバックの渡部大輔がドリブル突破、クロスの選択肢もある中で果敢にゴール前に突っかけていったシーンが前半唯一ペナルティエリア内に入ったプレーとなった。37分、43分には小野裕二がスピードを生かしゴールに迫る決定的な場面を作るが、シュート自体が枠を捉えず。ラッキーな形で前半を終える。

後半に入ると、「前半は中盤でルーズボールを拾われてペースを握られてしまったので、ハーフタイムに金澤（慎）と青木（拓矢）とその部分について話しました」と指揮官は修正を加える。後半の早い時間帯はやはり、横浜FMペースとなるが人数をかけてしっかりとしのいだ。60分に石原直樹、70分には杉山新、80分にはドゥドゥが投入される。杉山が右SBに入ったことで渡部がひとつポジションをあげるとサイドが活性化されチャンスが生まれだした。81分、ラファエルのラストパスにその渡部がエリア内でディフェンダーをかわしてシュートを放つが、これはクロスバーに嫌われる。するとその４分後のこと、待望の先制点が生まれる。ピッチ中央のドゥドゥから、左サイドを全力疾走で上がる村上和弘へとスルーパス。「ドゥドゥと目が合った。ボールは絶対くると思った」と村上が振り返れば「村上が良い動きをした」とドゥドゥが賛辞を送るコンビネーション。村上は左足を豪快に振りぬき逆サイドネットを揺らした。

だが、これで試合が終わらないところが最近の大宮。得点後のチャンスを奪いきれず「それが試合結果を左右した」とドゥドゥが振り返る。一方この先制点の2分後に投入された長谷川アーリアジャスールがダイナミックな動きで前線をかき回す。4分と表示されたロスタイム、大宮は自陣での自分たちのスローインから失点を許すという痛恨のミスを犯し試合は終了。つかみかけた勝点3はするすると逃げていった。「シュートが下手だねえ」と木村和司監督が振り返るほど、横浜FMにはチャンスが幾度もあり、それを形に出来なかった。凌ぎ切ったかに見えた大宮だったが、最終的には勝点1を手にしたのみに終わった。

だが、考えている暇はない。またも中2日で、今度はさいたまダービーだ。「幸い考える時間がない」と選手たちは、前を向いた。自分たちを取り戻すにはこれほどのチャンスはない、そんなビッグゲームが待っている。

以上