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今節のニンスタで対戦する愛媛も鳥栖も、ワールドカップによる中断期間明けの成績は1分1敗。ともに、公式戦では勝利から遠ざかっている。そして、愛媛に関していえば中断期間直前のアウェイ・札幌戦から3試合続けて先制しつつも、追いつかれる試合展開。さらにいえば第15節のホーム・甲府戦以降、5試合中4試合で先制しながら白星がなく、ピリッとしない。バルバリッチ監督の言葉を借りるなら「フラストレーションが溜まる状態」が続いている。
この原因を監督は「毎試合、自分たちのミスで相手に勢いを与えてしまっている」と指摘。その上で「中盤でボールを失う場面が多く、勢いを失っている」ことを繰り返し強調した。この点に関してはMF赤井秀一も「点を取ってからもっと落ち着いてポゼッションをしなければ。縦に急ぎすぎてカウンターを食らったり、奪われ方が悪い。勝ってもおかしくない試合が続いているけど、勝っている時のサッカーがまだまだ甘い」と課題を口にする。前節の岐阜戦に関しては赤井がPKを与えたことで同点に追いつかれたが、もちろんそのプレーが全てではなく、PKを与えるような状況にしてしまったことが問題。時間の運び方や、ゲームを終わらせる状況判断が愛媛には不足していた。
その課題を改善するために、特に今節の入り方に関しては「シンプルに、安全に、そしてリスクを負わず確実なパスをつないでペースをつかむ必要がある」とバルバリッチ監督。シーズン当初から一貫して、最終ラインからしっかりとボールをつないで攻撃を組み立てることを目指している愛媛だが、受け手が窮屈になるパスやリスキーなパスに関して監督は注意を促す。連日、真夏日が続く愛媛は今週末の気温も上がることが予想されるが、その中でミスを減らすためには、90分間を通じて集中力も保つことが当然ながら必要。「無理なパスをするよりも外に出して、時間を稼ぐくらいシンプルにしなければ」とバルバリッチ監督は言葉を変えながら、状況に応じた判断の必要性について語った。
このように暑さの中でも集中力を保ち、そして的確な判断で勝利への道筋をつけなければならないのは、もちろん鳥栖も同じ。前節の草津戦を踏まえるなら、同じように前線から連動したプレスをかけてくる愛媛の守備をどうやって崩し、勝点3に結びつけるか。ただ、前節の草津戦で鳥栖はゴールを奪えなかったが、決定的なチャンスは少なくなかった。ペナルティエリア内で、振り向きざまに鋭いシュートを放ったFW萬代宏樹や、MF衛藤裕のチャンスメークなど、内容を見れば鳥栖にとってはむしろ勝点2を失った草津戦だったのかもしれない。8月11日のナイジェリア戦で、韓国代表に選出されたMF金民友や第4節の愛媛戦でJ初ゴールを決めているFW早坂良太やMF藤田直之など、前線には愛媛にとって警戒すべき若い才能も多くそろえる。
同じく、愛媛もその第4節でMF越智亮介がJ初ゴールを記録。シーズン途中に怪我で戦線離脱を余儀なくされたが、目下は2試合連続スタメンとして復帰。「次の試合は出られるかどうか」と慎重だが、高卒2年目にして副キャプテンに指名され、バルバリッチ監督の期待も大きい。「しゃべって解決できることなら、声をかけていきたい」と精神的にもたくましさを増す。こうして、改めて第4節の対戦を振り返ってみると両チームともフレッシュなメンバーの活躍が、中断期間後の初勝利をもたらすキーマンになるのかもしれない。
今節はその第4節で今季初勝利を飾っている鳥栖が、今回も愛媛戦をきっかけに昇格争いにさらに食い込んでいくのか。それとも鳥栖戦は1分7敗と分が悪いホームで、愛媛が初勝利を奪うことができるか。「まずはホームで勝って、自信を得た上でアウェイでもポジティブな結果を残していきたい」と意気込みを語るバルバリッチ監督。現在の愛媛は13位だが、今季の目標とする8位の栃木との勝点差は5。そこに少しでも近づくために、まずはホームで4月29日の福岡戦以来となる3ヶ月ぶりの勝利をつかみたい。
以上
2010.07.31 Reported by 近藤義博
