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【J1:第18節 仙台 vs G大阪】レポート:本意ではない戦いながら、要所で決定力を見せたG大阪が4連勝。仙台はそろそろ、結果を示すべき時に来ている。(10.08.15)

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8月14日(土) 2010 J1リーグ戦 第18節
仙台 1 - 3 G大阪 (19:04/ユアスタ/17,651人)
得点者:21' 中澤聡太(G大阪)、59' 菅井直樹(仙台)、62' 橋本英郎(G大阪)、78' 平井将生(G大阪)
スカパー!再放送 Ch183 8/15(日)深01:00〜
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勝てない日々が続くものの、それでも仙台は何か、次節に向けての光明を何かしら見いだせる戦いを続けてきた。それは今節も同じ。F東京から獲得の赤嶺真吾が起点となり得る動きを披露するなど、以降の戦いへの明るい兆しは見えた。
だが、今節からはリーグも後半戦。光明を結果へとつなげて行くためのチャンスは、刻一刻と少なくなっていく。何かが改善するものの、その一方で何かが欠落して、結局は勝点を拾えず…ということを繰り返している時間は無くなってきている。

仙台は前節の横浜FM戦後半で手応えを得ていた、梁勇基のボランチ起用という策を、キックオフの時点から使ってきた。さらにスタメンに赤嶺の名があることを告げられた時には、スタンドからどよめきも上がった。
だが梁のボランチという策は、G大阪の序盤からの攻勢を前に、すぐには効果を発揮しない。ポジションチェンジを繰り返す中盤4人に加え、加地亮、安田理大の両サイドバックも常に絡んでくる攻撃を繰りしてくる上に、ボールを失った際には前から積極的にボールを奪いにくるG大阪に対し、仙台は立ち上がりから押し込まれ、低い位置から攻めの起点となることを託された梁も守備に追われる結果に。元々、リードされて相手がゴール前に引いた状況、もしくは互いに間延びし、中盤にスペースが空き始める試合後半の切り札として考えられていたはずの策だったが、この状況ではそのデメリットが強調される結果となった。
それでもいつものように、カウンターからはチャンスを生み出せる匂いはあったのだが、仙台はそのカウンターの遂行ミスから失点を喫してしまう。21分、G大阪のCKを仙台は跳ね返し、こぼれたボールは仙台の数的優位となっていた前線に渡る。だがセンターサークルで残っていたフェルナンジーニョが、シンプルに拾って前を向けそうな場面で出した奇をてらったヒールパスが相手に引っかかり、一転G大阪の逆襲を受ける形に。G大阪は右サイドに素早く展開すると、受けた宇佐美貴史がドリブルでペナルティーエリア右サイドから田村直也に1対1を仕掛ける。ここで宇佐美は「この間合いだったらシュートは自分に当たる」と考えていた田村の想定を上回る、枠を突いた鋭いシュート。GK林卓人は何とか触るが、ゴール正面に跳ね返してしまったボールは、セットプレー崩れで残っていた中澤聡太の元へ落ちてきた。中澤はヘッドで押し込んで、G大阪先制。

リードを奪われたことで攻めに行く必要性が出てきたこともあるが、皮肉にもこの失点の後から、仙台の新布陣は徐々に機能してきた。中央からサイドに球を散らし、高い位置でボールが収まると、ワンテンポ遅れて梁が絡みにやって来る。またもう1つの新要素である赤嶺も、崩しきらないタイミングでの動き出しに対し、菅井直樹から鋭いアーリークロスが入るなど、アクセントとして効果を見せる。早い時間の失点としては前節の横浜FM戦と同じ状況ながら、反撃の可能性は前半から見せることが出来ていた点で、仙台は前節の反省を活かしていたといえる。

そしてそれが後半に入り、一度は実ることになる。59分、仙台はまだ自陣の左サイドタッチラインでスローインを得るのだが、田村のタッチラインに沿ったロングスローに対し、赤嶺がDFを上手く身体を入れ替えて、自身の頭の上を越えたボールに追いつき、左サイドから一気にG大阪ゴールに迫る。そこからグラウンダーのセンタリング。ゴール正面に詰めた太田吉彰を経由したボールは、ペナルティーアークのフェルナンジーニョに渡りシュート。このシュートはDFに当たりコースが変わった後、バーに跳ね返るのだが、右ポスト付近に詰めていた仙台の選手がそれを拾い蹴り込んだ。決めたのは…なんと右サイドバックの菅井。待ちわびたJ1リーグ戦での初ゴールという同点弾に、スタンドは揺れる。この試合だけでなく、シーズン全体を通じた「反攻」の香りが、仙台を包んだ瞬間である。

ところが、この試合で仙台の最大の反省点となる場面はすぐにやってきた。そのわずか3分後の62分、こういう局面こそ慎重になるべきところ、G大阪の左サイドでの細かなパス回しに仙台の多くの選手が気を取られ、二川孝広からペナルティーアークに入ってきた橋本英郎の足元にパスが入った際、対応できたのは絞っていた田村だけ。橋本は上手いトラップで田村を一発で置き去りにすると、ゴール左に、自身4試合連続となるゴールを流し込む。
そして前がかりとなり、バランスを崩した仙台から、G大阪は決定的な3点目を奪う。攻めに出てG大阪ゴール前に詰めた菅井の脇をボールがすり抜けると、3対2となっていたG大阪の前線にボールが渡る。中央、遠藤保仁からのパスを受けた平井将生が、ペナルティーエリア外から強烈なミドルを叩き込み、試合を決めた。

G大阪としては、西野朗監督の会見での言葉でも分かるとおり、まだ本意の戦いとは言えないようだ。だがそれでも手堅く4連勝。
一方仙台は、これで13試合勝ちがないことに。ただこの試合で感じられたのは、冒頭の通り、何か1つ進歩する一方で、以前感じたはずの反省が忘れられていくという様だった(思えば先制され、後半同点、しかし熱狂の中で直後に突き放されるというのは、昨年の天皇杯でのG大阪戦と全く同じ展開である)。
光明だけでサポーターへの求心力を得られる時期は、そろそろ過ぎる。手にし忘れてきた「結果」は、次から埼玉でのアウェイ2連戦という厳しい状況の中でも、もはや待ったなしで求められている。

以上
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