9月5日（日）第90回天皇杯2回戦 町田 vs 東京Ｖ（19:00KICK OFF/西が丘）
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チケット情報 ｜天皇杯特集
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第84回大会優勝以来、東京Ｖの天皇杯は5年連続初戦敗退と、不名誉な成績が続いている。だが、川勝良一監督は「過去は過去。それに、自分が（指揮して）いたわけでもないしね」と、一蹴する。選手たちも「そういえばそうですね」と、苦笑するものの、まるで意に介する様子もない。川勝監督の下、地道な積み重ねによって、ようやくリーグ戦でも成果が出始めている今の東京Ｖにとって、過去のデータは、ただの数字ということだろう。目指すものは、リーグ戦でも天皇杯でもまったく変わらない。「自分たちのサッカーがどれだけできるか」（土肥洋一）の追求だけだ。

リーグ戦とは違い、日頃あまり対戦しないチームと戦うところが、天皇杯の面白いところでもあり、難しいところでもある。特に、カテゴリーを越えた対戦となれば、「下の（カテゴリーの）方は、負けても当然だと思ってがむしゃらにくる」と、経験豊富な土肥が口にするように、上の立場の方がやり辛さを感じるものだろう。「相手がJFLだと思って戦うとやられる」と土肥は続け、警戒を強めていた。

とはいえ、東京Vには、相手を軽視するという傾向はまったくない。それは、今季はじめから川勝監督が続けてきている、毎週中に行う練習試合の成果の１つと言えるのかもしれない。カテゴリー、強弱、タイプにかかわらず、毎回違う相手と、何のインフォメーションも無しで戦い、内容と結果を求めることで「どんな状況・相手でも、絶対に力を落とさず、どれだけ自分たちのサッカーをやれるか」（川勝監督）を鍛えている。それが、相手の出方、想定外の展開などに対しても、慌てることなく自分たちで判断し対処できる、というチームの適応能力にもつながってきているようだ。
この試合でも、ポイントはズバリ「自分たちのサッカーがどれだけできるか」その一点だろう。「東京Vの戦い方がしっかりとできれば、簡単には負けない」と、飯尾一慶も胸を張る。町田ゼルビアとは、開幕前の練習試合で戦い、敗れている。あれから約7カ月。東京Vの成長を、はっきりと示したいところだ。

そして、この試合に勝てば、「次はJ１と戦える（可能性がある）。J１チームとやって、今の自分たちの力がどの程度なのか。J１で戦うためには何が足りなくて、課題はどこなのかを肌身を通して知るなど、上をみることができたら、特に若い選手には励みになる」と、土肥は語る。
ようやくJ１昇格が本格的に視野に入りつつある今、J１チームと対戦することの価値は大きい。今後のチーム強化のためにも、非常に重要な意味をもっているのではないだろうか。

その意味では、町田にとっても意義ある一戦となりそうだ。2009年にJFL昇格、Jリーグ準加盟を果たし、今季は本気でJ２参入を狙っている。そのJ２チームである東京Vとの対戦は、現在の力量を測る上でも格好の相手と言えよう。また、勝てば前述の通り、J１のチームと対戦する可能性も広がる。Jリーグ参入を目指している以上、最終的なヴィジョンは、東京V同様J１での優勝争いにあるはずである。モチベーションを上げるには十分な条件だろう。

ただ、それらの条件を抜きとしても、町田にとってはこれがクラブ史上初、念願の天皇杯初出場なのである。モチベーションが上がらないわけがない。まして相手は、同じ東京都に本拠地を置く東京V。東京Vといえば、相馬直樹監督はじめ、エースの木島良輔、藤田泰成、久利研人（ユース）など、在籍経験のある顔ぶれも多いのだ。自ずと「負けたくない」の思いは高まっているに違いない。

その彼らとの対戦を楽しみにしているのが、東京Vの高橋祥平だ。「知っている選手がいっぱいいて楽しみ。特に、キジくん（木島）はユースの時にやっていて、いろいろ教えてもらった。速くて、本当に良いFW。でも、全力でぶつかって、必ず止めたい」と、意気込みを語っていた。

『町田ゼルビア』の名を世間に広めるべく、町田は相馬監督が浸透させている攻撃サッカー全開で挑んでくるだろう。当然、東京Vも川勝サッカーをぶつけるのみ。互いに引くことのない、面白い試合が見られそうだ。

3日に行われた天皇杯1回戦で、残念ながら東京Vの下部組織・ヴェルディユースが敗退してしまった。勝てばFC東京との“東京ダービー”とあって、ユース選手はじめ東京Vのスタッフたちも非常に楽しみにしていただけに、悔しさは大きかった。
だが、こちらも正真正銘の“東京ダービー”。
東京ヴェルディ ｖｓ 町田ゼルビア。独特の雰囲気漂う『聖地』西が丘サッカー場での“新・東京ダービー”誕生の瞬間は、必見だ。


以上

2010.09.04 Reported by 上岡真里江