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「見ごたえのある試合になるのは間違いない」。岸野靖之監督はそう力を込めて試合への展望を語った。それは周囲から見ている人にとっても同感だろう。残り8試合という緊張感が増すタイミング。そして1年でのJ1復帰を至上命題としている千葉は福岡と激しい3位争いを演じている最中。同じく昇格をスローガンにしている横浜FCは数字上は苦しいが、J1のクラブさえ敗戦寸前に追い込む地力と強さを身に付けている。昇格すること、強いチームになること、そのためには常に「目の前の1勝」を積み重ねる以外にないが、この試合における1勝は両チームにとって高いハードルであると同時に、大きな意味を持つことになる。
第14節以降の15試合で、わずか2敗(8勝5分2敗で勝点29)。この数字だけ見れば、横浜FCは当然、昇格争いの真っ只中にいるのが当然に思える。しかし、それでも現在7位に甘んじているのは、序盤の4連敗と5連敗があったから。前回の千葉との対戦(4/11、第6節)は、その序盤の大ブレーキを象徴する試合だった。序盤からハイペースな戦いの中、千葉の強いプレスとコンタクトに負ける形でずるずると4失点。J1クラスのチームとの差をまざまざと見せつけられただけでなく、後手を踏んだ時に立て直せない地力のなさを露呈した。「あの頃があるから今がある」と岸野監督は語るが、改めて振り返れば、その頃の横浜FCは、目の前の一戦をきちんと勝つことすらおぼつかなかったと言える。
第14節以降に勝ちはじめるようになっても、岸野監督の記者会見でのコメントは「1回勝ったぐらいでは喜べない」と、強気で前向きな指揮官には似合わないものだった。それが、前節の鳥栖戦の記者会見では「横浜FCは進化している」、「横浜FCは近いうちに昇格する」と力強いものに変わっている。そのくらい手応えを感じているのだ。10/13に行われた天皇杯・川崎F戦では、全くの格上相手に、自らの目指すサッカーをピッチ上で表現し、互角以上に渡り合い試合終了間際のゴールで一度はリードを奪った。前節の鳥栖戦では、前半受けに回ってしまい0-3で折り返すものの、後半4点を奪う奇跡を見せた。チームが連動してハードな守備を続け、攻撃に結びつけるスタイルが、どんな相手でも、どんな逆境でも出し切れるチームになっている。ただし、勝てていないのも事実。目の前の一戦を勝ち切るという、昇格を語るチームに必要な本当の強さを身に付けないといけない。ホベルト加入以降、チームの姿と先行逃げ切りの勝ちパターンを獲得した状況を「岸野横浜FCver.2」とすると、どんな相手でも確実に勝ちを積み重ねられる強さを持てる状況は「岸野横浜FCver.3」と呼べるかもしれない。川崎F戦と鳥栖戦は、さしずめ「岸野横浜FCver.2.9」。次のバージョンアップの相手として、今の千葉との対戦は試金石となる。
この試合を迎えるにあたっての横浜FCの問題点は、カイオを出場停止で欠き、キャプテンの柳沢将之を怪我で欠くことだろう。それぞれ、決定力、試合の中でのキャプテンシーは千葉に勝つのに貴重な存在に違いない。「代わりに出る選手が、自分の色を出して上回るものを出せるかが重要」と岸野監督は述べたが、こういう状況こそ、チームの地力が試される。
対戦相手の千葉も、福岡との激しい3位争いを勝ち抜くためには、残り試合全てで勝利を目指すだろうが、まず大事なのは「目の前の1勝」。昇格の2文字が頭の片隅にないと言えば嘘になるが、まずは目の前の試合に集中しないといけない。第25節(福岡戦)、第26節(柏戦)の連敗は痛かったが、その後リーグ戦は3連勝、天皇杯を入れると4連勝と、再び目標に向けてエンジンが掛かりはじめている。岸野監督は「特にネットが帰ってきてから、勢いが戻ってきている」と述べているが、天皇杯の京都戦でハットトリック、前節の水戸戦でも貴重なゴールを挙げたネットを中心とした攻撃陣にしっかり守備ができるかが大きなポイントとなる。
その意味では試合は立ち上がりが重要なポイントとなる。横浜FCが前節のように受けに回ってしまうと、千葉に勢いを与えることになってしまう。接戦になれば、千葉の層の厚いリザーブ陣がモノを言うことになる。さらに、すでにアウェイのゴール裏のチケットは早々に売り切れ。千葉から横浜に駆けつけるサポーターの後押しも大きい。横浜FCとしては、ホームの利を生かして立ち上がりから千葉を上回る勢いを出していきたいところ。阿部巧は「チャレンジャーとして戦うことが重要」と述べているが、立ち上がりから激しい戦いになることは必至だ。
リアルタイムで暫定順位が表示されるJ's Goalのリアルタイム速報の新しい機能がより面白くなる季節。頭の中での皮算用もあるが、目の前の1勝をめぐる熱い戦いは、間違いなくサッカーの面白さを伝えてくれるはず。目が離せない一戦となる。
以上
2010.10.22 Reported by 松尾真一郎













