スカパー！生中継 Ch183 後01:50〜
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前節・ガンバ大阪戦に勝利し、約３ヶ月ぶりとなる白星を手にしたヴィッセル神戸。同ゲームより早い時刻に行われた同節の試合で『残留』を争うＦＣ東京が勝利していたこともあり、プレッシャーのかかる一戦だったが、FW大久保嘉人、FWポポの不在をものともせず。3位・G大阪から今季最多得点の４ゴールを奪い、意地を見せた。だが、だからといって16位の降格圏にいる、という現状は変わっていない。15位の大宮アルディージャは同節が台風の影響で中止となったため、１試合少ない状況で勝点２差で上をいくし、先に述べたF東京も勝点３を積み上げたことで、同じく神戸に勝点２差をつけて14位にいる。それでもMF田中英雄は胸を張る。
「悪く考えればG大阪に勝っても何も現状は変わらなかったけど、この勝利は本当にチームとして大きな一勝になったと思っている。それは選手はもちろん感じているし、観ているファンの人たちにも伝わったと思う。だからこそ、大事なのは今節の仙台戦。チームメイトみんながそれを分かっているからこそ、今週はオフ明けから、誰もが口癖のように『仙台に負けたら意味がない』と言って練習に取り組んで来た。その思いをしっかり仙台戦にぶつけて、更にチームがいい方向に進むような結果を掴みたいと思う」
『仙台に負けたら意味がない』という言葉には二つの思いが込められる。１つは今季未だに一度も実現できていない『連勝』をすることで残り試合に向けて勢いづきたいということ。そしてもう一つは、勝点34で13位にいる仙台もまだ『残留』を意識した状況にあり、その直接対決を制することで残り試合で自分たちが浮上するための足がかりにしたいということ。以前「直接対決は勝点6の重みがある」と話していたのは、今節出場停止のMFボッティだが、その言葉を踏まえても、今節が神戸にとって残留争いを勝ち抜くためにどれほど大事な試合になるか、お分かりいただけるだろう。
その仙台戦に向け、チームを率いる和田昌裕監督は勝負のポイントを『攻撃』にあると断言する。「仙台は守備力が高いチーム。いかにそれを崩して得点するか。点を獲らなければ勝てないからこそ、攻撃に拘りたい。ガンバ戦のように、誰が獲るということではなく、全員がチャンスで必ず決めてやるという意識で戦うことが大事になる」と。そのためには前線からのプレスを怠らず、全体がコンパクトさを保ちながらビルドアップを行い、ゴールに向かう姿勢が必要だろう。実際、G大阪戦では個々がいい距離を保てたことで前線の動きも多く、連動性がみられた中でゴール量産となったが、同じ戦いを堅守が売りの仙台相手でも実現できるか。そうなれば、前節の勝利が『自信』という武器になって、ゴールに繋がっていくはずだ。
だが、直接対決を制することでより『残留』を確実にしたいのは仙台も同じだ。仮に今節、仙台が勝ち、神戸が敗れれば、16位の神戸との勝点差は11に広がり『残留』はより現実味を帯びてくる。仙台はこの神戸戦以後、ヤマザキナビスコカップ覇者の磐田、清水、新潟、広島、川崎Fとの対戦が待ち受けており、順位が仙台以下のチームとの対戦は残していない。このことからも、ここでしっかり勝点を積みあげ、差を広げたいというのは言うまでもないこと。現在、３戦負けなしの勢いを繋げるべくホームズスタジアムに乗り込んでくることだろう。前回のホームでの対戦では、J1リーグでは一度も負けていなかった神戸に敗れた仙台だが、当時とは違ってチーム全体が右肩上がりにある状況の今、その借りを返す準備はしっかり整っている。
余談だが、神戸は今週の11月3日（水）、明石市・明石市教育委員会主催による『ヴィッセル神戸inあかし』に参加。サッカースクールや親子サッカー教室をはじめ、地元明石の人たちとのサッカーを通じたふれあいを楽しんだ。その中ではトップチームの公開練習も行われ、約3500名もの人たちがそれを観戦。練習後には、多くの子供たちから「ヴィッセル神戸！」の大声援を受け、新たなパワーを手にした。
「普段とは違う中での練習になったが、たくさんの人の前で逆にいい意味での緊張感を持って練習をすることが出来たし、たくさんのパワーをもらった。残り６試合全てを勝ちゲームにするための力になったと思う」（和田監督）
全ての人たちの声援を力に変えて――。神戸の巻き返しは、ここからだ。
以上
2010.11.05 Reported by 高村美砂
