11月6日(土) 2010 J1リーグ戦 第29節
F東京 1 - 1 G大阪 (15:06/味スタ/27,816人)
得点者:20' 大黒将志(F東京)、82' 中澤聡太(G大阪)
スカパー!再放送 Ch181 11/9(火)後09:00〜
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F東京はリーグ第29節、味の素スタジアムでG大阪と対戦し、1-1の引き分けに終わった。F東京は試合序盤から主導権を握り、20分にリスタートから大黒将志のヘッドで先制してゲームを折り返した。後半は、息を吹き返したG大阪がF東京ゴールへと迫った。辛抱強く守り続けたが、82分、遠藤保仁の右CKをDF中澤聡太に頭で合わされて失点。試合終盤はカウンターの応酬になるも、スコアは動かず、ドロー決着となった。
「予想はしていましたが、FC東京はボールを奪取する力を生かしてかなり厳しくプレッシャーをかけてきた。最終ラインもそうですが、遠藤と明神のところをターゲットにされてしまった。前半は平井がほとんどボールを触っていない状況が続いてしまった」(西野朗監督/G大阪)
大熊清監督は「守るではなく、ボールを奪う」と言い続けてきた。試合開始から、F東京の前進守備がG大阪の心臓部を“攻撃”し続けた。球際で激しくぶつかり、G大阪にボールを保持させない時間が続いた。高い位置でボールを奪いきることが、有効なカウンター攻撃に繋がった。そして、それが攻撃のテンポを加速させた。前への意識が高まることで、視線がゴールへと向き、縦パスや動き出しが増えていった。
先制点はこの意思が生んだ得点だった。ゴールを決めた大黒のヘッドも、それを演出した羽生直剛のクロスも技ありだった。しかし、それに繋がる一連の攻撃も見逃せない。得点のきっかけとなった深い位置でのスローインは、平山相太が積極的にボールを運んだことによって奪ったものだ。また、羽生と大黒が、平山の仕掛けの後を追いかけたことによってすばやいリスタートに繋がった。ボールを奪うという前進守備と、その副産物である攻撃姿勢が、G大阪を封じて先制点も生み出した。
「前半は非常にコンパクトでした。大黒のコース限定であったり、平山の守備への切り替えも速かった。それによって中盤にスペースと時間をなくす状態を保ち続けることができました。ただ、それがガンバ相手に90分続くとは思っていませんでした」(大熊監督)
指揮官が危惧していたとおり、G大阪はこれで終わらなかった。後半、宇佐美貴史と、ルーカスが途中出場して攻勢に出ると息を吹き返した。彼ら以上にF東京が手を焼いたのは、遠藤の存在だった。「後半に関してはダブルボランチではありませんでした」と西野監督。遠藤はポジションを捨てて両サイドに開くと、そこを起点に攻撃を仕掛けた。
「ヤット(遠藤)は左右に張ってくるときと、そうでないときのポジションを上手く使い分ける。そういうところがあいつは上手いので掴みきれなかった」(大熊監督)
G大阪は前半、起点が作れず、攻撃のテンポを変えることができなかった。だが、彼がサイドにポイントを作ることでF東京のサイドバックの攻撃参加を抑え、攻撃のタレントをも生かした。遠藤のクレバーな働きはレバーに突き刺さるボディブローのように効いた。結果、F東京陣内でのサッカーを続け、CKから自らのアシストで得点を奪って同点にこぎつけた。試合終盤は、F東京もカウンターから何度か得点機を作ったが決めきれずに1-1でゲームは終わった。
F東京は、試合時間の経過によって、徐々に前線からの守備機能が低下した。後半、遠藤がポジションを空けたことでG大阪の中盤にはスペースが存在した。それを上手く利用してマイボールを保持する時間が作れていれば、違った結果になったかもしれない。また、ゴールへの意識の高さから浅い位置でのミドルシュートも目立った。前半の自分たちの時間帯により深い位置まで侵入することを意識できれば、さらに攻撃時間も延びて相手の体力を削ぐことができたはずだ。裏腹だが、縦への積極性が生まれてきた今だからこそ、もう一度、見つめ直したい部分だろう。
しかし、勝点1は積み上げることができた。危機的状況は何も変わっていないが、悲観すべき試合内容ではなかったはずだ。成長の証と、伸びしろはある。試合を観にスタジアムへ足を運ぶ楽しさが、このチームにはまだまだある。
以上
2010.11.07 Reported by 馬場康平
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