11月17日（水）第90回天皇杯4回戦 川崎Ｆ vs 山形（19:00KICK OFF/等々力）
-試合速報はこちら-
チケット情報 ｜天皇杯特集
----------
リーグタイトルの可能性が消えた川崎Fにとって、この天皇杯は今季最後に残されたタイトルへの挑戦の舞台となる。カップ戦ではヤマザキナビスコカップで近年コンスタントに決勝戦の舞台を踏んでいるが、その一方でこの天皇杯の元日の決勝戦は未経験である。昨季も、当時まだJ2で、昇格を決めたばかりの仙台に準々決勝で対戦し、延長戦で涙を飲んだ。

この4回戦で対戦する山形は、その仙台と同じ東北地方のクラブである。山形のサポーターも、仙台のサポーターも一括りに語られるはたまらないかもしれないか、寒冷になり行く気候と、かの地のクラブとの戦績に一定の相関関係があるとして、それは不思議ではない。そういう点で、川崎Fとすれば昨季の二の舞にならないよう気をつけねばならない。

先週の話だが、高畠勉監督は鹿島戦から始まる連戦に向けメンバー選考についての見解を述べていた。曰く、「コンディションを考えて、フレッシュな選手を見極めたメンバーをセレクトしたい」。リーグ戦も終盤である事を考え、選手の疲労を見定めてもっともいいパフォーマンスを発揮できる陣容で試合に臨みたいという意気込みの表れであろう。

原稿執筆時点でどのような布陣になるのかはわからないが、選手の入れ替えがあるのだとすれば、指揮官自らがベストだと判断する選手である。若い力が入ってくるのだとすれば、それはそれで楽しみである。

川崎Fが等々力に迎え撃つ山形は、C大阪とリーグ戦で対戦した前節、3点を畳み掛け攻撃陣の勢いを見せている。ちなみに3得点は今季最多タイ。侮れない状況である。そんな山形の戦いは、自陣の前に築く強固な守備ブロックが思い浮かぶ。しかし、攻撃時にはしっかりとリスクを取り、前線に人数を掛ける攻撃を見せている事を忘れてはならない。ポイントになるのは、トップに入る長谷川悠である。持ち前の体の強さを生かした長谷川が起点となり、ペナルティエリア内により多くの選手が入る攻撃は、十分な怖さを持っている。

また、その長谷川を起点とする攻撃を意識するあまり、彼をケアする人数を増やしてしまうと、それはそれで危ない。リーグ第30節のC大阪戦の北村知隆の先制点は、長谷川に守備意識が集中してしまい、ぽっかりと空いた穴を突かれたものだった。もちろん長谷川をフリーにするのはもっと危険で、C大阪戦では浮きダマをコントロールし、そこから見事なシュートをねじ込んでいる。そういう点で、彼への対応には注意が必要であろう。

そんな山形の攻略ポイントがあるとすれば、高い守備意識を持つため守備ブロックが形成されるポイントが低くなる点であろう。ゴール前に壁を作るのはいいのだが、それによって押し込まれる時間が長くなっており、川崎Fのボール支配率自体は高まるはず。ただし中央へのクサビのボールに対してはかなりしっかりとした対応をとっており、彼らにとってボール奪取の狙い目となっている。アンカーのファーストディフェンスに連動した分厚い守備をかわすのは簡単なことではない。だからこそ、この試合ではサイドを効果的に使いたい。ボールサイドに人数をかけて守る一方、逆サイドの守備はかなり手薄になる。またサイドライン際では必然的に1対1になる場面が増える。1対1になれば、そこで1枚剥がすだけの攻撃力を川崎Fは持っており、サイド攻撃は積極的に狙いたいところだ。

リーグタイトルは逃したものの、今季最後に残されたタイトルのチャンスである。等々力で試合ができる点も含めて、勝ち上がって行きたいところである。もちろん、天皇杯を獲得出来れば、ACLの出場権も手に入ることになる。そういうモチベーションを含めて、力を出したい試合である。

以上

2010.11.16 Reported by 江藤高志