11月17日（水） 第90回天皇杯4回戦
Ｇ大阪 4 - 1 柏　（19:00／万博／3,327人）
得点者：50' 茨田 陽生（柏）、81' 佐々木 勇人（Ｇ大阪）、94' 遠藤 保仁（Ｇ大阪）、114' 宇佐美 貴史（Ｇ大阪）、119' ルーカス（Ｇ大阪）
チケット情報 ｜天皇杯特集
----------


ガンバ大阪にとってはここ数試合の中で一番といっていいほど、安定した立ち上がり。直近の広島戦と、多少のメンバーの入れ替わりは見られた中で、全体をコンパクトに保ちながらポゼッションをとり、優位に試合を運ぶ。

一方の柏はやや受けの展開にまわり、押し込まれる時間が続いたものの、元G大阪のDFパク・ドンヒョク、DF近藤直也を中心に大崩れなく試合を進めていく。
実際、G大阪がポゼッションこそ奪ったものの、最終ラインを崩しきる展開がほとんど見られなかったのは、J2最少失点数を誇る柏の守備が安定していたからこそ。
また、G大阪の攻撃もバリエーションが少なく…というよりは、広島戦でも課題とされたのと同様、前線にボールがおさまりにくく、最終的にボックス内に侵入していけないという状況が続き、結局前半はスコアレスで折り返す。

「ボックス内に厳しいボールを入れて、単発ではなく連動してねじこんでいけ！」というG大阪・西野朗監督のゲキに背中を押され、攻勢に仕掛ける立ち上がりを目指した後半だったが、勢いをみせたのは柏だった。

49分、縦に崩した展開から放ったFW林陵平のシュートはGK藤ヶ谷陽介に阻まれたが、前半以上にスピードアップした攻撃でG大阪ゴールに襲い掛かる。しかも、その勢いのままに50分には、柏の19歳、MF茨田陽生が先制点。３回戦の神戸戦同様、またしてもJ1クラブから先制点を奪う。

この状況にすぐさまG大阪・西野監督が動き、57分にFW宇佐美貴史、FWルーカスの２人を同時投入。ドリブル、突破力がある２人に前線の活性化を求めるが、ボールは支配し、攻守のバランスは安定しているものの、相変わらず『ゴール』に繋がる攻撃が少ない。
更に75分にはMF佐々木勇人を投入。個人技で状況を打開できる選手を次々と投入することで柏の守備陣に揺さぶりをかける。
そうしてジワリジワリと流れを引き寄せながら、同点弾を決めたのはMF佐々木勇人だった。
ゴール前でMF遠藤保仁、MF二川孝広と繋がれたパスを受けたMF佐々木がうまく柏DFラインの裏を取る形で前線に抜け出し右足で決める。
「天皇杯だということを特に意識している訳ではないのに、なぜかいつも天皇杯は調子がいい」とはMF佐々木勇人の言葉だが、昨年の天皇杯で活躍を見せたのと同様、今年も２回戦（vs大阪体育大学）で先制弾、３回戦（vs栃木ＳＣ）は全得点に絡む活躍を見せてきた“天皇杯男”がチームを勢いづける。

その後もなんとか90分で決着をつけようと再三にわたって柏ゴールに詰め寄ったG大阪だったが、追加点は奪えず、決着は延長戦に持ち越される。

その延長戦に突入してすぐ、３分のことだった。MF宇佐美の仕掛けが柏DFパクのエリア内でのファウルを誘い、G大阪がPKのチャンスを得る。キッカーはもちろんMF遠藤保仁。
“コロコロ”ではなく、強い弾道で放った右足でのシュートは柏ゴールを突き刺し、幸先よく追加点を奪う。
リードを奪われても、我慢強く試合を進めていた柏だったが、101分、MFレアンドロ・ドミンゲスがこの日２枚目となるイエローカードで退場に。
数的不利、ビハインドを負った状況と、柏にとっては苦しい展開になったが、３回戦の神戸戦も同じく退場者を出して数的不利になった中で延長戦の末に勝利した自信もあったのだろう。大崩れなく試合を進めていくが、G大阪が握っていたゲームの主導権を取り返すほど勢いは見られず。
しかも114分にはMF明神智和の絶妙なスルーパスに合わせて抜け出したFW宇佐美によって３点目を奪われ、試合終了間際の119分にもMF佐々木の右サイドからのクロスをMFルーカスに頭で合わされて４−１とされ、万事休す。

数的不利になった状況も災いしたとはいえ、全体的に見ても明らかに個人、組織力の両方で柏を上回っていたG大阪が浦和との準々決勝へと駒を進めた。

以上

2010.11.18 Reported by 高村美砂