スカパー!生中継 Ch183 前11:50〜
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このままでは終われない。これが水戸に携わるすべての人の思いだ。現在8試合勝利がなく、順位も16位に低迷。前回のホームゲーム(第34節札幌戦)も不完全燃焼のドローとなってしまった。このまま殻を破れずにシーズンを終えるわけにはいかないのだ。
今季の水戸は可能性の塊であった。荒田智之や高崎寛之、菊岡拓朗、小澤雄希など昨季の主力が抜けたものの、大卒7人を含む将来有望な若手を多く獲得。シーズン前には「昇格」という目標を掲げ、意気揚々とシーズンに臨んだ。その後、順風満帆とまではいかなかったが、三歩進んで二歩下がるといった具合で緩やかながらもチームは前進してきた。昇格争いからは早々と脱落してしまったが、それでもチームは確実に成長してきたのである。
しかし、まだ“可能性”は“可能性”のままで、“力”になりえていないと言わざるを得ない。天皇杯3回戦では清水に、リーグ戦では千葉や柏といった上位陣に対して、敗れはしたものの、攻撃的な姿勢を全面に出した戦いで挑み、互角の展開に持ち込んだことは選手たちにとって大きな自信となった。だが、勝つことができなかったことを直視しないといけない。「決して悪い内容ではないけど、勝ちきれない試合が多い」と木山隆之監督が言うように、「いい試合」で足踏みしてしまっており、「あと一歩踏み出せないのが課題」(木山監督)なのである。
残り4試合、水戸にとって決して消化試合ではない。ここで勝ちきることができなければ、今年やってきたことは無駄だと言っていい。木山監督は3年間常に勝つことに主眼を置いて戦ってきた。攻撃的なサッカーをするのも勝つためであり、そこにこだわらなければ、チームとして成長しないという考えをチームに植えつけてきたはず。その集大成を見せてこそ、未来への希望となる。いいサッカーではなく、勝つサッカーをすることが今節の使命なのである。
勝つために必要なこと。それは相手より多くのゴールを取ることだ。ここ数試合続く“チャンスはできているけど、ゴールを決められない”という状態を打破しなければ先には進めない。だが、絶対にこの状況は自分たちの意識で変えられるはず。木山監督は言う。「質の問題もあるけど、点を取るというスタンスをもっと出さないといけない」。勝利に対して、ゴールに対して、気持ちをむき出しに、泥臭くても、格好悪くてもいいから、ゴールを奪おうという姿勢を90分見せ続けることで、必ず状況は変わるはずだ。荒田や高崎といった選手たちがなぜゴールを量産できたのか。技術があったのはもちろんだが、誰よりもその部分にこだわっていたからである。それを見せることが殻を破るために必要なことだろう。
「勝ちたい気持ちは僕も選手たちも強い。それをぶつける試合にしないといけない」と木山監督は今節に向けての思いを強い口調で語る。あとは選手たちがプレーで体現するだけだ。水戸は「若くて可能性のあるチーム」でとどまるわけにはいかない。「勝つチーム」へと成長を遂げなくてはいけないのである。残り4試合で絶対に殻は破れるはず。まずは徳島戦、ここで勝ちきることで希望の扉が開くこととなる。水戸の選手たちが強い姿を見せてくれることを信じたい。
徳島にとっても気持ちを見せなくてはいけない一戦である。前節横浜FCに勝利したが、その勢いが1試合で終わってしまっては何の意味もない。続けてこそ、前節の勝利の価値があると言えるだろう。今季掲げた「5位以内」という目標は厳しくなってしまったが、少しでも目標に近づいてシーズンを終えることが、今後につながることとなるはず。だから、今節の勝利が重要なのである。そのためにも、アグレッシブな姿勢を取り戻さないといけない。「最近は主導権を握られる試合が多い」と木山監督が分析するように、以前のように中盤で主導権を握ってアグレッシブに攻める戦いではなく、シーズン終盤に入ってからは守備的な戦いが続いている。前節も勝利こそおさめたが、今季の徳島が標榜したサッカーではなかった。徳島らしいサッカーで勝利を手にすることができるか。そこが最も重要なポイントとなるだろう。
自分たちのサッカーを貫き、そして勝利を手にした先に、希望が待っている。残り4試合で今季は終わるが、チームの戦いが終わるわけではない。いつか笑える日が来るために、死ぬ気で今を戦わなければならないのだ。両チームにとって未来を懸けた一戦。勝利への渇望が、前のめりでぶつかり合う。
以上
2010.11.19 Reported by 佐藤拓也













