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【J1:第31節 仙台 vs 清水】プレビュー:共に前節に大勝した両クラブ。ラストスパートに向けさらに加速するのはどちらか。仙台は今節、残留を決める可能性も。(10.11.19)

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11月20日(土)J1 第31節 仙台 vs 清水(14:00KICK OFF/ユアスタチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
スカパー!生中継 Ch181 後01:50〜
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仙台にとっての前節、仙台vs磐田のプレビューで、私はこういう目線を提示した。「後半戦リーグ最強クラブの一つ磐田に、今季ワーストの試合を演じた直後の仙台はどう立ち向かうか」。
そうした目線を踏襲して今節を表すならば「現在、最も『良い気分』で試合を迎える同士の対戦」とでも言うべきか。

好調の磐田をホームで3-0と撃退した仙台(余談だが仙台は2002年のJ1、1stステージ第14節、ジュビロ磐田スタジアム(現・ヤマハスタジアム)で、高原直泰(現・水原三星)のハットトリックを含む4-0の大敗を喫していた。先日の試合直後は快勝に酔いしれたが、あと1ゴール何とかして奪えれば、あの時の悔しさを晴らせたのにという思いが翌日辺りから強くなってきたのは、いささか欲張りすぎなのだろう)。しかし一方、2連敗で前節を迎えた清水は仙台のさらに上を行き、同じくホームで湘南ベルマーレに5-0の大勝。J1残留へ湘南に残っていた万に一つの可能性を無残かつ清々しいばかりに打ち砕いた。さらにその勢いのまま17日に臨んだ天皇杯4回戦、横浜FM戦では、敵方での戦いながら0-3の完勝を収め、今季限りでの退任がクラブからアナウンスされている長谷川健太監督とコーチングスタッフらにとって可能性の残る最後のタイトルである天皇杯獲得へ向け、一つ階段を上っている。

そんな復調著しい両クラブの対戦だが、実は前回対決もまた、今思えば共に良い状況での激突だった。第6節、アウトソーシングスタジアム日本平での一戦時、ホームの清水は開幕5戦を3勝2分の負け無しで乗り切り、首位に立っていた。一方の仙台も、5戦で3勝1分1敗と、清水と勝点1差での3位。土曜日開催の2位(当時)鹿島が引き分けに終わったことで、日曜日開催だったこの一戦での勝者が文字どおり単独首位に立つというシチュエーション…こんなことを書くと両クラブのサポーターから怒られてしまいそうだが、その後訪れる夏の苦難を前に、共に最も夢を見ていた時期の対戦だった。
そしてこの試合は、仙台の側にはまさに「夢から覚まさせる」敗戦になってしまった。それまで5試合で6失点と、ステップアップしたJ1でも及第点を見せていた前年度から培っていた堅い守備が、まさかの大量5失点。この5-1の敗戦から、仙台はリーグ14戦勝ち無しの泥沼にはまることになる。

ということで仙台にとって今節はまさに「リベンジマッチ」。間違っても、前回と同じ形での敗戦は許されない。前回対決で5点もの大量失点を喫した要因は、清水自慢の3トップにかき回されると共に、それと連動した中盤からの飛び出しに、DFラインとボランチの守備ユニットがまるで対応できなかったから。
これに関わってしまった選手の中で、おそらく最もリベンジ燃えているのは、スタメンに再び返り咲いた前節、日本代表FW前田遼一にほとんど仕事をさせない素晴らしい守備を披露した渡辺広大だろう。自ら、清水との前回対決を「初めて『J1の壁』を感じさせられた」と振り返る渡辺はこの日まさに「火の車」のど真ん中で混乱に身をさらすこととなった。ライン裏をロングパス一発で突かれ、永井雄一郎にスピードで振り切られた末に決められた5失点目など、プライドを切り裂く失点の数々はその後のプレーに明らかな影響を及ぼし、徐々にトップフォームから遠ざかっていった彼はやがて、一旦ポジションを失うことになってしまった。
だが手倉森誠監督が「あの清水戦から、チームも、そして選手個々も這い上がってきてくれた」と、今のチーム状況を讃えるように、渡辺もまた見事に、自身のプレーを修正して戦線に復帰した。「清水は攻撃にかけてくる枚数が多いが、その分、奪った瞬間はチャンスになることを意識しながら、攻撃をどう受け止めるか考えたい。前回は相手も好調で、非常にやりにくいタイミングで当たったが、今回はホーム。サポーターやみんなの力を感じて、みんなで勝ちたい」と意気込んでいる。
もちろんこの渡辺だけでなく、天皇杯も含めればこの1週間の2試合で8得点を奪っている攻撃陣を抑えるため、仙台には全選手に、前節磐田戦で見せた球際の強さが再び求められるのは言うまでもない。ボールテクニックに全くサビが見られない小野伸二を筆頭に、簡単にボールを奪える相手ではないことは百も承知だが、奮闘の末に得たマイボールの先に「ご褒美」があることは、前節の大勝で仙台の選手に感覚として染みついているはずだ。

また、前節は前半からリードを奪った展開だったため、披露する機会がなかったが、攻撃のオプションとして取り組んでいる4-3-3が、紅白戦では面白いくらいにはまっていた。監督は「トレーニングで、清水(のサッカー)のイメージを持たせた。それを、頭で選手たちが処理できれば…」と語っていたのだが、相手の攻撃への対策というより、むしろ自分たちが「清水流の」4-3-3を体得したかのようなフィットぶりに「一人一人の勝負で勝っていると感じたら、相手と同じフォーメーションにすれば、撃ち合いに持ちこんで、相手をはめ込むことが出来る。勝点3を取りたい時にはぜひ使いたい」と、監督は前節時以上の手応えを掴んでいる様子。試合展開によってはこの点も注目したい。

最後に、仙台の残留決定の可能性について。今節それが決まるのは「仙台勝利」と「神戸敗戦」が重なった時のみ。だが仙台は昨年、これよりも可能性の小さい条件ながら一発で昇格を決めた過去があるだけに、こればかりはわからない。もっとも、手倉森監督は「清水戦に勝てれば残留が決まるくらいの気持ちで」と、この試合の重みを評しているし、どちらにしろ、目指すものに変わりはない。それは、前回の屈辱を帳消しにする勝利である。

以上
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