スカパー！生中継 Ch183 後02:20〜
試合速報一覧 | クラブサポーター対抗totoリーグ
☆J2シーズン表彰 投票受付中！！
----------
Ｊ１昇格争いは総力戦。それを福岡が自らの手で示したのが、17日に行われた天皇杯４回戦・大宮との戦いだった。第34節の大分戦から数えて14日間で５試合を戦わなければならない福岡は、フィジカルコンディションを考慮して、普段はリーグ戦への出場機会がない選手たちを中心にチームを編成。若い力に勝利を託した。
試合は、ボールを支配され、常に先手を取られる苦しい戦い。しかし、選手たちはアグレッシブに、そしてチャレンジャー精神溢れる戦いを展開し、ＰＫ戦の末、クラブ史上初の準々決勝進出を果たした。
この試合は非常に重要な試合だった。Ｊ１昇格を目前にしながら２試合連続で勝利を逃した福岡にとっては、勝って勢いを取り戻すことが至上命題。しかしながら、同じメンバーにこだわって戦い続ければ、疲労が貯まってチームとしてのポテンシャルは落ちる。篠田善之監督は、チーム状況を総合的に判断して、リーグ戦とメンバーを入れ替えての戦いを選択したが、もし敗れるようなことがあれば、一気に流れが悪くなる危険性をもはらんだ試合だった。その試合で最高の内容と結果を残した若い選手たち。それは、チームに力と勇気を与えるものだった。そして福岡は、レベルファイブスタジアムに東京Ｖを迎える。
福岡がやるべきことは明確だ。昇格に向けての勝点を計算することでも、昇格争いのライバルである千葉の動向を気にすることでもない。ただ、目の前の試合で勝点３を取ることだけに集中し、そのためだけに100％の力を発揮すること。それは、この１年間、篠田監督と選手たちが言い続けてきた言葉。それは大詰めを迎えても変わることはない。
そんなチームを後押しするために、サポーターは自主的にレベルファイブスタジアムを満員にする計画を立案。ブログやツイッターを使って多方面に呼びかけている。ピッチの上を走る選手たちと、スタンドのサポーターが一体となって戦うのは、いつもの福岡のスタイル。サポーターも選手たちとともに力の限りに戦う構えを崩さない。
Ｊ１昇格の権利は簡単には手に入らない。そして試されているのは、チームだけの力ではなく、クラブ職員、サポーター、メディア、そして福岡に関わる全ての人たちの力。ならばすべての力を結集して自分たちの力で手に入れればいい。福岡に関わる全ての人たちの視線は、Ｊ１に続く扉を捕えて離さない。
しかし、迎える東京Ｖは強敵だ。序盤戦での成績が響き、前半戦は６勝６分６敗の９位で折り返したが、後半戦はここまで９勝１分５敗の成績を挙げて昇格争いに食い込んできた。中央のラインに、土肥洋一、土屋征夫、佐伯直哉らベテランを配し、その周りに若手、中堅を置いた布陣はバランスがいい。そして、高い個人技をベースにした軽快なパスワークは伝統のヴェルディスタイル。前節の千葉戦で見せた12本のパスをつないで奪った先制ゴールは、まさに東京Ｖらしいゴールだった。そして、守っても30失点は、柏、愛媛に続いてＪ２リーグ３位の成績。攻守にバランスの取れたチームで、Ｊ１昇格争いに顔を出すにふさわしいチームだ。
前節の千葉戦に敗れたことで、数字の上では昇格の可能性は極めて厳しくなったが、最後の最後まで何が起こるか分からないのがサッカー。そして、それを手にするだけの地力を東京Ｖは持っている。「可能性がある限りはチャレンジしたい」という川勝良一監督の言葉は、チーム全員の思いでもある。東京Ｖが逆転昇格を手にするには全勝することが最低条件だが、それを成し遂げるべく乗り込んでくるチームのモチベーションは高い。
そんな相手との試合は拮抗した展開になるだろう。チャンスもあれば、ピンチもある。最後の一瞬まで気が抜けない戦いになることは間違いない。どの試合でも、いかに自分たちのサッカーを表現することができるかが勝利への道だが、ギリギリの戦いでは、互いに自分たちの特徴を出すのは難しく、最終的に、どれだけ気持ちで相手を上回れるかが勝利への鍵になる。それはピッチに立つ11人だけに求められるものではない。チームに関わる全ての人たちの総合力が上回ったチームが最終的に勝利を手にすることになる。
そして、あらゆる力を結集して戦うのが今シーズンの福岡スタイル。この試合も、いつものように、レベルファイブスタジアムを包む熱狂とともに戦えばいい。
以上
※文中で「降格」「昇格」と表記していますが、正式な決定はJリーグ理事会で行われます。
2010.11.19 Reported by 中倉一志
