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前節、熊本は岡山を降して勝点３を加えたが、昇格の可能性はなくなった。しかしまだ、戦いは終わってない。過去最高の成績を手にするためにも、残りの３試合、全勝して締めくくりたい。しかも最終節の札幌戦の直前は「バトル・オブ・九州」の連戦。「バトル・オブ・九州」における熊本の成績を振り返ると、１巡目では１勝もできなかった（３分１敗）が、２巡目に入って福岡、鳥栖を相手に連勝中。今節は大分銀行ドームに乗り込むが、ホームラストとなる北九州戦（１１／２８＠熊本）へ弾みをつける意味でも、結果を手にしたいところだ。
前節（ /jsgoal_archive/result/2010/1120/20100200030920101120_detail.html ）はロスタイムに余計な失点をしてしまったが、内容的には岡山にチャンスらしいチャンスをほとんど作らせなかった。勝因としては、その前の富山戦で発揮できなかった球際やセカンドボールの拾い合いで優位に立ち、その原動力となる“勝ちたいという思い”が相手を上回ったことが挙げられる。まさしく今シーズン開幕前から取り組んできた原点の部分を思い出し、ピッチで表現できたからこそ勝利を手にできたと言えるが、今節もそうした部分がひとつのポイントになろう。
特に大分は、シーズン終盤を前にシステムを変え、選手個々が持つ本来の能力や、コンビネーションの部分でチーム全体がフィットしてきた印象がある。今節までチェ・ジョンハンが出場停止、さらに前半戦でも韓国代表で不在だったキム・ボギョンと、東慶悟がそれぞれアジア大会を戦う代表に招集されており、決してベストの布陣とは言えないものの、やはり個の能力は高い。前半戦（ /jsgoal_archive/result/2010/0529/20100200030320100529_detail.html ）の対戦では、熊本も狙いを持った形からボールを動かしてチャンスを作ってはいるが、最後の部分で決めることができずにスコアレスドローに終わった。あれから半年、熊本にも新たな戦力が加わったが、お互いに前回とは違うチームとして再戦を迎えることになる。
「前節良かったアグレッシブな部分を継続して、立ち上がりの15分を集中して入りたい」と福王忠世が言うように、熊本がペースを掴む上ではまず失点しないことが必須条件。高さと強さのある森島康仁をしっかりと抑え、スペースを狙って飛び出してくる２シャドーをケアしなくてはならない。システム的に噛み合わないため、前線のそうした流動的な動きをどれだけ捕まえることができるかが守備におけるポイントとなるが、逆に攻撃では、３バックの両サイド、あるいは、真ん中とサイドの間を衝くことが、チャンスを作るためのカギ。
22日の午前に行なわれた練習でも、そうした部分を意識したボールの動かし方と出入りを確認していたが、どれだけピッチで表現できるか。また、大分の前節の試合の失点場面からもわかるように、守備陣形の整わない段階で積極的にクロスを入れて揺さぶることで、得点には至らずも綻びを生じさせる可能性はある。単調な攻撃に終始せず、そうしたチャレンジを辛抱強く繰り返すことも有効だろう。
もうひとつ、ゲームの流れに関わりそうなのは、ひとつひとつのプレーの精度。柏や千葉と対戦しても感じたことだが、やはりJ１での経験があるチームとそこに在籍する選手達のプレーは、J２のそれと比べて精度が高く、ミスが少ない。トラップひとつ、キックひとつの精度が、ポジショニングや走る距離、パスの距離、さらに言えば消耗度合いにも影響し、ひいてはそれが得点、あるいは失点につながる。ボールタッチはもちろん、判断や動きも含めて、いかに高い精度でプレーできるかにも注目したい。
半年前の水前寺競技場の光景とは反対に、今回は熊本から多数のサポーターが乗り込み、青く染まるスタンドの一角で美しく映えるであろう赤が、チームを後押しするはず。昇格の可能性が消えても、プライドを懸けて戦う気持ちは消えない。
以上
2010.11.22 Reported by 井芹貴志
