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【J1:第7節 甲府 vs 神戸】レポート:今日はこれで充分。甲府と神戸が、Jリーグという舞台で得体の知れない不安感に立ち向かう第一歩を記したことが素晴らしい(11.04.24)

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4月23日(土) 2011 J1リーグ戦 第7節
甲府 1 - 1 神戸 (14:04/中銀スタ/6,893人)
得点者:41' 大久保嘉人(神戸)、65' ダニエル(甲府)
スカパー!再放送 Ch185 4/24(日)後10:00〜
totoリーグ中断期間を振り返るJ1編
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中断期間のトレーニングマッチが散々だっただけに、試合後には2月20日の名古屋とのトレーニングマッチ後(アウェイ)に感じた、「何とかなるかも」という気持ちに似たものが心の中にぽつんと浮かび上がってきた。だが、最初に湧き出た感情は、結果に関係なくJリーグが再開したことの嬉しさ。試合中はチャンスやピンチの度に感情が動き、記者席のテーブルの下で選手と一緒にシュートを打って、トレーニングマッチと公式戦の違いを充分に楽しめた。試合前は甲府のゴール裏から「ニッポン」コールが起こり、神戸のゴール裏も「ニッポン」コールを返し、お互いにJリーグという舞台から気持ちを伝えた。神戸サポーターが三浦俊也監督をブーイングで歓迎してくれたのも公式戦だからこそ。

立ち上がりから暫くはお互いに縦に蹴ることが多く、ボールが落ち着かずシュートもなかったが、9分の石原克哉のスライディングに気持ちを感じた。イエローカードを貰ってしまったが、ボールを失ったときに球際を厳しく奪い返しにいく姿勢を見せ付けた。これが今日の基準だというように石原は泥臭くボールに喰らいつき続けた。試合後には、「(トレーニングマッチとは)頭を切り替えて出来た。さすがに公式戦。メンタル面も出せてプレーできた。雨の中でも多くの人が来てくれていい雰囲気を作ってくれた。その中でプレーできたことが嬉しい。これを当たり前のことだとは捉えずに、毎日感謝しながらサッカーに取り組みたい」と淡々と話したが、これも成熟したプロサッカー選手としての姿勢だろう。

甲府は神戸の速攻・カウンターを警戒していたが、ダニエルのカバーリング能力の高さなどでそれを防いだ。神戸はミスで助けてもくれたが、フリックやワンタッチで決定機の匂いはさせていた。逆に、甲府にはこういう意外性のあるプレーで相手のゴール前を崩す場面は無く結果的に試合は膠着したまま。この状況を崩したのは大久保嘉人のミドルシュート(41分)。甲府のディフェンダーに当たって少しコースが変ったように見えたが、裏だけではなくミドルシュートという選択肢を持っている部分が、彼が持つゴールへの嗅覚なのか。試合後のカコミでは柑橘系のいい匂いで記者の嗅覚を楽しませてくれたが、神戸というチーム・戦力のなかで自分がどう生きるのか、手応えを少しずつ掴みながらザックから電話が掛かってくるのを待っているのだろう。

甲府が先に交代カードを切ったからなのか、神戸の運動量が落ちたからなのか、その両方なのか分からないが後半の途中からは神戸のプレーの質が少し落ちてきた。甲府には流れの中からゴールを奪う力はないと感じていたが、徐々にそれも否定できそうな雰囲気になっていた。65分にコーナーキックからダニエルが右足で決めると、その雰囲気は活力を得て流れに変った。三浦監督も言ったが、この流れでもう1点取ることが出来なければならなかった。そのチャンスはあったが、76分のハーフナー マイクのシュートは決まらず。スタンドからも「ワァー」と声が湧き出た。これが決まっていれば4月の雨降りの日の甲府のビール販売量が新記録を達成したはずだが、Jリーグを見て「ワァー」って声を出して頭を抱えて、スタンドでマイクと一緒にシュートを打って感情を大きく動かすことで日常と活力が少し戻ってくるのかもしれない。神戸は3枚目の交代カードで、甲府の選手にとってJ2時代の友人(草津時代に対戦)で、嫉妬したくなるほど生粋の陸の王者・都倉賢をピッチに立たせた。三浦監督も神戸の監督時代に重用した選手で、終了間際に三浦監督の寿命を縮めそうなシュートを打つが、甲府の肉弾ディフェンスが恩返しゴールを防いだ。アディショナルタイムはお互いにミスをミスで助ける場面もあったが、展開は面白かった。Jリーグが当たり前にあると思っていたときなら「決め手のなかったアディショナルタイム」と思ったかもしれないが、サッカーの勝ち負けを巡って感情を動かせることの素晴らしさを感じた。

甲府は福岡と共に降格候補のツートップと目されているが、神戸もその記事を他人事のように読むことは出来ない立場だろう。つまり、お互いに「この相手には勝たないと駄目」という思いは強かったはず。しかし、結果は引き分け。甲府の危機感は、「ここ(引き分け)で満足すると厳しい状況になる。今日のような試合を拾っていかないといけない」(三浦監督)、「これからは神戸よりも強い相手と戦わないといけない。つまり、決めるところで決めることが課題」(マイク)というコメントに出ている。このままでは『何とかはならない』のだ。J1残留という目標を達成するには厳しい状況に居ることには違いない。しかし、今日はJリーグが再開できて、仲間の一人である特別なクラブ・神戸と戦えたことを喜びたい。神戸はチームがまさに今日から始動するという日(95年1月17日)に震災に遭ってそこから立ち上がってきたクラブ。本当は試合前、中銀スタジアムで神戸サポーターと一緒に神戸賛歌を歌いたかったが、小さく聞こえてくる神戸賛歌を記者席で聞いていた。仙台が川崎Fに逆転勝ちし、横浜FMが鹿島に大勝、水戸が徳島に勝った日だけに注目はされない試合だったかもしれないが、甲府と神戸は得体の知れない不安感に立ち向かう第一歩を記した。「徐々によくなればいい」と言っている余裕はないが、今日はこれで充分。お互い、次は勝とう。次は今日の相手よりは強そうだけれど…ね。

以上

2011.04.24 Reported by 松尾潤
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