スカパー!生中継 Ch181 後00:50〜
☆totoリーグ
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「フレッシュな選手を2〜3人、起用する必要があるかもしれない」
広島・ペトロヴィッチ監督は甲府戦を前に、スタメンの入れ替えを示唆した。4月28日からスタートした静岡遠征は6日間にも及び、中3日での連戦を経験。選手たちの疲労も、心身ともに蓄積されていたからだ。
ただ、広島の指揮官は、清水戦前も同様の言葉を口にしていながら、結果的には同じメンバーを先発に起用した。頑固さにかけてはJ屈指であり、広島のクラブ史上でもトップに位置づけられる名将は、先発の入れ替えを滅多には行わない傾向にある。ただ、清水戦前と今とでは、選手たちのコンディションには大きな落差があることは間違いない。磐田戦から清水戦にかけての内容の落差は、広島の生命線である運動量の差でもある。そこからまだ十分な休養が得られていない中で、体力のある選手を投入する必要は指揮官も感じている。
一方、指揮官は対甲府戦について、強く意識した言葉も口にした。
「甲府とは、相性が悪い」
実は15年間勝利していなかった日本平での試合に臨む前も、10年間リーグ戦勝利がなかったG大阪戦の前も、指揮官は「相性の悪さ」を言葉にしたことはない。よほど、甲府に対するイメージが良くないのだろう。実際、ペトロヴィッチ監督就任後の対甲府戦戦績は、1勝1分5敗。無双の強さを誇った2008年のJ2時代でも、1勝2敗と負け越している。
当時の甲府はショートパスとハイプレスを主体とした攻撃的なサッカーを主軸としていたのに対し、今は三浦俊也新監督の下、堅守速攻型へと生まれ変わっている。ハーフナー・マイクを起点に手数をかけずゴールに迫るスタイルなのだから、以前の甲府戦のデータなどは関係ないはずだ。
だが、そんなことは百も承知で、指揮官は相性の悪さをあえて口にする。それは、対甲府戦では相手のサッカーどうこうではなく、自分たちが考えられないミスから失点し、崩れていくシーンを何度も見ているからだ。論理ではない。「相性」という物理学では説明の難しい言葉で説明するしかない状況。
「甲府は、確かにまだ未勝利だが、きわどい戦いをずっと続けている。しっかりとした守備をベースに、コンパクトなチームだ。明日も必ず、きわどい試合になるだろう」
甲府戦の展望を聞かれた指揮官は、警戒心を露に表現した。実際、甲府の戦いは悪くない。前節も個人能力の高い大宮に1−1の引き分け。ボランチの養父雄仁が負傷交代した後もしっかりと修正し、交代で入った阿部吉朗がゴールという結果を出すなど、粘り強い戦いを続けている。阿部の他にも伊東輝悦・冨田大介・永里源気ら経験のある選手たちがチームに力を与えており、あとは勝利というきっかけがあれば浮上する可能性も秘めている。
もっとも、勝利が欲しい甲府ではあるが、明日の広島戦で攻撃的に出てくることは考えにくい。深い位置でのコンパクトな陣形から速攻を狙う「自分たちのサッカー」を仕掛けてくるだろう。当然、スペースはない。ただ、ペトロヴィッチ監督は、攻撃面よりも「重要なのは守備だ」と語る。
「チームとしてのいい守備が継続できれば自分たちのサッカーを落ち着いて展開できるからね。もちろんそのためには、ハーフナー・マイクの高さは警戒すべきだし、彼をできるだけゴールから遠ざける工夫は必要となるが。守備がうまくいけば、90分の間で必ずウチの攻撃陣はチャンスを創れるだけのアイディアは、持っている」
そのアイディアの部分で言えば、再開後3試合ですべて途中出場ながら、全試合で得点に絡んでいるファンタジスタ=ダビド・ムジリがどう起用されるかもポイントになるだろう。技術と創造力はワールドクラスと言っても大げさではない。だが一方で運動量に乏しく、スタミナにも不安は残る。彼をスタートから起用して後半に走れる選手を投入するのか、それとも今までどおり切り札的な存在として温存するのか。そこは、指揮官の判断次第となるだろう。
ここで勝てば、気は早いが首位浮上も見えてくる重要な一戦。「大切な試合にいつも負けてきたのが、これまでの歴史。自分たちの成長を見せられるかどうか、本当に重要な試合になる」という森崎和幸の言葉を借りるまでもなく、広島のスタートダッシュが本物か、優勝を争えるチームなのか、試金石的な戦いとなるだろう。
「勝利のためには、どうすればいいか」
そんなシンプルな質問を投げかけた時、青山敏弘はシンプルに答えてくれた。
「相手より走って、相手より厳しくいくこと。相手より疲れずに勝つことはできない。勝つためには、喜んで『疲れる』ようなプレーをしますね」。
広島のすべては、この言葉に詰まっている。
以上
2011.05.06 Reported by 中野和也













