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【J1:第11節 清水 vs 神戸】レポート:神戸の戦略が見事にはまって予想外の大勝劇。清水は高原の初ゴールが唯一の救いとなったが、今回も決定力を欠く。(11.05.15)

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5月14日(土) 2011 J1リーグ戦 第11節
清水 1 - 5 神戸 (14:04/アウスタ/14,350人)
得点者:18' 大久保嘉人(神戸)、34' 都倉賢(神戸)、57' 大久保嘉人(神戸)、75' 都倉賢(神戸)、77' 高原直泰(清水)、90'+1 ボッティ(神戸)
スカパー!再放送 Ch180 5/16(月)深03:00〜
totoリーグ
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1-0の試合が続いていた両チームの対戦が、5-1という予想外の大差で終わったきっかけが、神戸にとってはラッキーな、清水にとってはありえない1点目にあったことは間違いない。しかし、その1点目が入る前から、そこに至る布石は着実に用意されていた。

ホームの清水は、岩下敬輔をアンカーの位置に戻し、ルーキーの岡根直哉をセンターバックとして先発起用。システムも4-3-3(あるいは4-1-4-1)に戻して、この試合に臨んだ。一方、神戸のほうは、ベテランのFW吉田孝行と右MF朴康造を先発させた以外は、前節と同じメンバーで4-4-2の布陣も同じ。
前半は清水にとって追い風となる強風が吹き荒れる中、両チームとも慎重にボールをつないでいったが、その中で目立ったのは、風下の神戸が思った以上に前から積極的にプレッシャーをかけていったこと。それによって、和田昌裕監督の狙い通り清水のセンターバックがなかなかロングボールを蹴れなかっただけでなく、短い距離であっても縦パスを思うように出せなくなっていた。
これがプロデビュー戦となった岡根は落ち着いて試合に入ったが、4分に思い切って狙ったクサビのパスをインターセプトされ、カウンターを食らったあたりから雲行きが怪しくなってくる。その後は、プレッシャーをかけられるとGKにバックパスするシーンが目立つようになり、それが隣のボスナーや辻尾真二にも伝染していく。バックパスを受けたGK山本海人も、結局大きく蹴るしかなくなり、その競り合いでは神戸が優位に立っていたため、清水はボールを保持する時間を長くすることができなかった。
ゴトビ監督のサッカーでは、DFラインから確実にパスをつないでいくことができなければ、なかなかチームのリズムは上がってこない。したがって、神戸が前からプレッシャーをかけたことは、自分たちのペースで試合を進めるうえで非常に大きな役割を果たしていた。

また、その中でも神戸は、清水DFラインの右側(神戸から見て左側)―つまり岡根と辻尾のところを重点的に狙っていた。「新人選手が出ていたし、そこを中心にボールの奪いどころを狙うとか、攻撃もしようということは、試合前にみんなで話し合った。やっぱりデビュー戦というのは難しいと思うし、それを突いていくのもサッカーだと思う」(神戸・北本久仁衛)という意図でロングボールも左サイドに集め、そこでマイボールにできなくても、2トップや大久保嘉人が厳しく追い込みをかけていった。

その中から生まれたのが、18分の先制点だ。辻尾へのバックパスがズレて、辻尾もプレッシャーをかけられてGKに戻すしかなくなり、そのバックパスが大きく左にそれてしまう。CKを避けかったGK山本海がそのボールをスライディングでクリアするが、これもミスキックになって大久保に渡してしまい、左足のダイレクトで放った大久保のシュートだけは、コロコロとだが正確にゴールマウスに転がりこんだ。清水サポーターも唖然とするしかない、ミスの連続による失点シーンだった。
先発の平均年齢24.0歳の清水は、これでチーム全体が気落ちしてしまい、神戸はますます自信を持って狙い通りのサッカーを仕掛けていく。その流れを加速させた34分の2点目も、左サイドの大久保がカウンターの起点となった。
前半は、清水が落ち着きを取り戻すことができないまま終わり、ゴトビ監督は気落ちの目立つ辻尾をハーフタイムで交代させることを決断。試合後の大久保のコメントは、辻尾や岡根にとっては少々残酷だが、勝負の世界ではよくあること。もちろん、これで落ち込んでいるようでは困る。この屈辱をバネにして、次に戦うときにリベンジするための力をつけていくことこそ、彼らに求められるプロフェッショナリズムだ。

後半は、ゴトビ監督が辻尾に代えて小野伸二を入れ、練習でもやったことのない3バック(3-2-4-1のような形)にシステムを変更して、捨て身の姿勢で逆転を狙いにいく。「結果的に2-0で負けたとしても5-1で負けたとしても負けは負けなので、私のメンタリティーとしては攻撃に出て追いつくことを目指した」(ゴトビ監督)。チームの意識改革を図る指揮官は、自身の考え方と姿勢を明確に示した。
その大胆な采配によって後半はまったく別のゲームとなり、清水が立ち上がりから中盤を支配して、ゴール前のシーンも多く作った。とくに後半11分の決定機を決めていれば、1点差になって流れも大きく変わっていただろう。しかし、伊藤翔が決定的なシュートをバーに当ててしまい、ここでも流れをつかみきれない。
逆に、その1分後にカウンターから大久保に決められて3-0。これで守りを固めてカウンターを狙うという神戸の姿勢がより明確になり、勝敗はほぼ決まった。結果的に3バックに変えたことも裏目に出て、終わってみれば5失点。ただ、だからといって清水の守備が崩壊したというわけではない。立て直しは可能なはずだ。
また、清水にとって唯一の救いとなったのは、後半30分からピッチに入った高原直泰が、移籍後初ゴールを決めたこと(後半32分)。それまで清水の選手たちは、チャンスにシュートを打ち上げてしまう場面が多かったが、経験豊富な高原は、大前元紀の右クロスをしっかりと頭で叩きつけて、GKの足下を抜いた。本人も「個人としては次につながる1ゴール」と語っており、次への期待感は高まってくる。

神戸にとっては、見事に狙いが当たった胸のすくような2連勝。逆に清水にとっては、屈辱的なホームでの連敗。だが、シーズンはまだ28試合ある。とくに清水にとっては、これで自信をなくしてしまうのか、逆に悔しさをバネに大きなエネルギーを発揮できるのか、選手1人1人の“芯の強さ”が問われることになる。

以上

2011.05.15 Reported by 前島芳雄
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