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【J2:第13節 鳥栖 vs 札幌】レポート:采配がズバリ的中!狙い通りに試合を運んだ鳥栖が、点差以上の結果を収める。札幌は、終始後手を踏んで完敗(11.05.22)

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5月21日(土) 2011 J2リーグ戦 第13節
鳥栖 1 - 0 札幌 (13:04/ベアスタ/4,248人)
得点者:12' 金民友(鳥栖)
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過去の対戦戦績や相性などは、どの程度選手たちに影響を与えるのだろうか。過去を踏襲しなければ現在はありえないし、結果の中から将来への課題と目標を達成する手段が見つかるのは世の中の常識である。しかし、今起きている現象に対応しなければ、先は開けてこない。今節の鳥栖対札幌は、起きている現象に対応する力が試された試合だった。

こんなおもしろいデータがある。この日のベストアメニティスタジアムの試合前の温度計は30度を超えていた。この時期に30度を越えることは異常といえるが、この30度超の気温は札幌にとって決してビハインドではないデータがある。
過去を振り返ってみると、札幌はJリーグ加入以来で30度を超えた試合が11試合あった。戦績は、7勝4分3敗と勝ち越している。しかも、初戦から9試合は負けなしで戦っていた。
また、札幌は移動のハンディをよく言われるが、この九州でのアウェイ戦も決してビハインドとは言えない。前々節は熊本でのアウェイ戦を行い、前節はホーム戦、そして今節は鳥栖戦と2週間で2度も九州で試合を行うこととなったが、昨季の九州での戦績は2勝3分と負けていない。
よって、今節の30度を超えた鳥栖での戦いの結果は、気候や地域の影響のせいにはできないと言えるのではないだろうか。そして、その過去の戦績は、札幌の選手の健闘もあれば、2009年から指揮を執る石崎信弘監督の戦術眼のなせる業とも言える。ただし、今節の試合に限って言えば、札幌の選手の健闘も石崎信弘監督の戦術も機能する機会が少なかった。

それを導き出したのは、「攻撃的な布陣で、先制点を取るプラン」(尹晶煥監督/鳥栖)だった。この日の鳥栖は、いつもと違う布陣と戦い方を見せてくれた。
キックオフは鳥栖だった。ボールのところにいるのは、FW池田圭と特別指定選手の岡田翔平だった。いつもは、ここに豊田陽平がいるはずだが、彼は左サイドのライン際でキックオフの合図を待っていた。ボールを高さのある豊田陽平に送り、そこを起点に開始早々からゴールを狙う作戦だった。
これだけではない。MF岡本知剛をアンカー位置に置き、4−1−4−1の布陣で札幌にプレッシャーをかける作戦に出たのだ。1トップの豊田陽平が相手DFにプレッシャーをかけ、その下に位置する4人の選手がインターセプトを狙う。こぼれたボールはアンカーに入った岡本知剛が拾い、4人のDFを含めてボトムアップを試みた。正確なフィードを持つ、センターバック木谷公亮や岡本知剛がいるからこその攻撃的な布陣というだけでなく、2列目からスピードを持った池田圭や岡田翔平がDF裏へ飛び出す動きを繰り返すことで、最後まで札幌DFがラインを押し上げることができなかった。
12分には、下がった札幌DFの間でMF早坂良太がシュートを放ち、こぼれたボールを拾ったMF金民友が2人をかわしてゴール右に強烈なシュートを左足で蹴りこんだ。

この日の鳥栖は、この1点で勝点3を勝ち取ることができた。後半には、4−4−2に変更し、「安定をもたらして」(尹晶煥監督/鳥栖)逃げ切ることができた。
札幌はセンターバック河合竜二を中心に鳥栖の攻撃を跳ね返そうと試みたが、「判断や技術的なミスが多く」(石崎信弘監督/札幌)最後まで、主導権を握ることはできなかった。前半のシュートは3本で、後半に至ってはシュートを打つことができなかった。強いてあげるならば、後半開始からMF砂川誠を入れて中盤での起点を作れたことは、今後につながることだろう。

過去の戦績などは、見る側の興味の対象にはなるだろうが、戦う選手たちにとっては、目の前で起きている現象の解決策にはならない。
「悪い流れの中でも、修正することが必要」(河合竜二/札幌)なのは、誰もがわかっているところである。
今節の鳥栖対札幌は、プラン通りに相手をはめた鳥栖と試合中に修正できなかった札幌の差が出た試合だったといえる。

サッカーの試合を取材すると、ボールの位置に対してスペースやフリーの選手がよく見える。
プレス席では、「逆サイドに展開できれば…」や「逆サイドから走り込んだ選手がいるのに…」とついつい監督目線になって見てしまう。時には、審判の判定に「それはファールじゃないだろう…」など、勝手な判定を下している自分がある。
しかし、選手の目線で試合を見ることはできない。ボールを足元に置いた位置からは、選手でしか見えない世界がある。
時に冷静になって試合を見てみよう。選手の立場になって、起きている状況を理解してみよう。審判の位置から、その争点がどのように映るか考えてみよう。
そこでは、全く違うサッカーが存在するはずだ。見方が変われば、判断や手段が変わってくるかもしれない。そこに、それぞれの価値観や歴史があることにあらためて気づくことがある。サッカーが一様ではないことを再認識すると、その魅力と奥深さは増す。
サッカーは、常に判断し続けないとプレーできないスポーツである。

以上


2011.05.22 Reported by サカクラゲン
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