スカパー!生中継 Ch180 後00:50〜
☆totoリーグに投票しよう!
----------
前節、広島がアウェイで神戸に敗れた一方、仙台は同じくアウェイで山形に勝利したことで、開幕からの無敗を継続するクラブは仙台だけとなった。
こうした「いつまでも続いてほしい記録」が継続している中では、ゲン担ぎの類の話として、「試合に行く日はいつも一緒の服」、「毎試合同じスタジアムグルメを食う」、「記録が続く限り髭を剃らない」など、サポーターの中でも可能な限りの「努力」を続ける方もいそうな感じがする。と、書いている筆者は、震災発生直後に切って以来伸び放題だった髪を26日にスッキリ短くしてしまったのだが、それはそれで「こんな些細なことでは、今の仙台の記録は止まらないだろう」という信頼に基づいた行動である。
そんな駄話はさておき、さらなる負けなし記録継続に挑む仙台(J1での仙台における最長記録は、開幕から5戦負けなしだった2002年。現時点で記録更新中)は、前節0-1で勝利した敵地でのダービー山形戦、その内容によって、自分たちの戦い方への自信を取り戻している。
ペースを握られかけながらも耐え、先制。そのまま後はスマートに守りきるという戦いは、第7節からの3連勝の中の浦和戦、福岡戦で見せた戦い方。さらに付け加えるならば、「スマートに守りきる」という面でもろさを見せたことで、C大阪戦と磐田戦の2試合で合わせて勝点4を落としていただけに、山形戦で「勝ちパターン」をもう一度体験できたのは大きい。
その象徴と筆者が考えるのが、関口訓充だ。
元来、細かなステップからクイックネスを活かしたドリブル突破が自慢の選手だったが、ここ数年はスタミナを活かした献身的な守備でチームを助ける場面も多くなっていた。だが今季は昨季以前にも増して、守備での貢献が増している。
彼自身、今季はまだゴールだけでなくアシストも記録していない。しかしその関口は「今は勝っているから(個人成績に関して)焦りはない。チームとしてやっていることが間違いではなかったことが、山形戦で再確認できた」と語る。
彼を筆頭に、チームの全員がこうした献身的姿勢を見せていること。一つ挙げるとすれば、これが今の仙台に好成績をもたらしている点だ。
だが、今節その仙台が迎える横浜FMは、生ぬるい献身など木っ端みじんに粉砕しかねない爆発力がある。
前節はホームで甲府を、前半一気の4得点で文字どおり蹴散らした。後半も追加点こそなかったが、甲府のGK荻晃太のファインセーブがなければ、5-0、もしくは6-0でもおかしくないほど、あの試合の横浜FMは終始リズムに乗り続けた。
その要因として明らかに指摘できるのが、中盤の組み替えによりトップ下へ配されることになった、谷口博之の存在である。もちろん、細かな約束事はあるのだろうが、率直な印象で言えば、こんなにも「フリーロール」な役割の選手を久しぶりに見た気がする。フィジカルと上背(182センチ)を持ちながら、豊富な運動量で前線を前後左右ワイドに漂い、かと思えばゴール前で決定的な仕事もこなす。前節に移籍後初得点を決めているが、仙台としては忘れもしない昨年のJ1第16節アウェイでの川崎F戦、一時は0-2とリードを奪いながら同点とされ、最後は後半終了間際(84分)に、投入されたばかりのこの男に決められた経験から、谷口の得点力はすでに痛いほど知っている。
また、谷口によってかき回された守備陣の亀裂に、復調著しい渡邉千真、大黒将志の2トップが入り込み、さらにそこに後方から中村俊輔の正確なフィードが飛んでくるわけで、現在リーグ最多の16得点を攻撃陣がたたき出している理由がわかる気がする。
そして谷口の効果は、攻撃面だけに収まらない。本来はボランチを務めているだけに、ボール奪取技術も確か。彼が高い位置で相手ボールを引っかけることで横浜FMの素早い攻撃はさらなる脅威を発揮する。この点は仙台・手倉森誠監督も「谷口がキーになって、マリノスは前からの守備が始まる」と警戒を隠さない。
そんな横浜FMを、仙台はホームでどう迎え撃つか。前節同様、横浜FMがアウェイでも前から積極的に仕掛け、主導権を掴もうと襲いかかってくることも考えられる。立ち上がりからペースを握られては、いくら堅守を取り戻しかけている仙台でも厳しい展開となる。
しかし「相手がそう来るなら、うちはドン引きします」と冗談ではぐらかすそぶりを見せた手倉森監督は、「マリノスもきっと、前からかかるのがいいのか、まず自陣でブロックを組むべきか迷っているはず。受け身にはらなずに、状況を見て対応を考えたい」と、変に動じることはない様子。
ただ「相手が仙台を崩そうと布陣を大きくいじってきたりする中、それに付き合って、オープンな(打ち合い的な)ゲームにならないようには気をつけたい」とも付け加える。そこには、山形戦で取り戻した感覚を忘れた戦いを余儀なくされるのを回避したいという心境ものぞく。
「ハードワークを怠ると、勝てない。能力の高いチーム相手ならなおさら、そこで頑張ることで埋めないと」(関口)、「走らないと勝てないと思うので。勝つために、走りたい」(梁勇基)。仙台は選手たちも、自分たちの今のストロングポイントを意識しつつ横浜FMに抗しようと考えている。
「マリノスを叩ければ自信にもなって、連戦も乗り切れそう」と梁は話す。無敗記録の継続も含め、今季の仙台の試金石となりそうな、2、3位直接対決の行方が楽しみだ。
以上













