スカパー！生中継 Ch182 後01:50〜
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昨季J2を戦った柏にとって、ほとんどの相手が２年ぶりの対戦になる中、神戸とＧ大阪の２チームだけは昨年の天皇杯で相まみえている。北嶋秀朗の「神戸のイメージは天皇杯の時と変わらない」との言葉を踏まえれば、試合展開自体は昨年１０月の対戦時と比較的近いものになるだろうか。
このところの柏は、強固な守備と切れ味鋭いカウンターがクローズアップされているが、試合の状況に応じてポゼッションやカウンターを使い分けられる柔軟性にこそ柏の強みがある。昨年の天皇杯は、まさしくそれを象徴する戦いであり、前半は柏がスムーズにパスを回しながらサイドを効果的に使い、神戸陣内で試合を進めた。後半、近藤直也の退場後は守備ブロックを形成し、そこから鋭利なカウンターを発動させて勝ち切っている。
ただ、あの試合は参考にはなっても、それが全てではない。北嶋はこう付け加える。
「神戸のイメージは一緒だけど、あの時の神戸はリーグでは残留争いの最中にいた。でも今の神戸は上位にいる。彼らも自信を持っていると思う。天皇杯で勝っているから有利ということはない」
現在４位につける神戸。前節の広島戦で見せた戦いぶりは見事と言うしかない。立ち上がりからコンパクトかつ組織化された守備陣形を敷き、独自の彩りを見せる広島のパスアタックに対して連動したプレスをはめ込み、ビルドアップで後手に回る広島を尻目に神戸のショートカウンターが際立った。
負傷の三原雅俊に代わり、途中から出場した田中英雄が交代直後に鮮やかなミドルシュートを決めたところにも神戸の強さが表れていたようにも思える。負傷交代の痛手を感じさせずに交代選手がしっかりと穴を埋め、それも怪我から復帰したばかりの田中が殊勲のゴールを決めてしまうあたりにチームの上昇ムードが漂っている。しかもその田中がゴールを決めた後、和田昌裕監督のもとへ駆け寄り、ベンチメンバーを含め多くの選手から手荒い祝福を受けた様からもチームの一体感が感じられた。こういうチームは強い。
もちろん、高い身体能力とダイナミックな動きでＤＦとのマッチアップを凌駕する都倉賢、古巣対決となるシューターのポポ、そして日本を代表するアタッカー大久保嘉人。柏と並ぶリーグ最少失点の守備が多く取り沙汰されるが、攻撃陣のタレントも実に煌びやかだ。
柏はそんな好調・神戸に対し、どう戦うのか。先述したとおり、ボール支配率では柏が上回るだろうが「ボールを持たされる」のではなく、自分たちでイニシアチブを握り、神戸のプレスをいなしながらサイドチェンジを織り交ぜ、強固なブロックとマーキングにズレを生み出す展開へ持ち込みたい。そして先に１点を奪えれば、柏は巧みな試合運びを進めることができる。
守備面に関しては、ここ数試合で浦和のエジミウソン、名古屋の玉田圭司、永井謙佑を完璧に封じた近藤の好パフォーマンスは特筆に値する。その近藤とセンターバックを形成する増嶋竜也とのコンビは相性が良く抜群の安定感を誇るため、そう簡単に失点を許すとは思えない。となると、やはり神戸の大久保をどう抑えるにかかってくるだろう。大久保は左サイドのＭＦを担うが、ポジションに捉われないフレキシブルな動き、そこから攻撃の起点を作ることもフィニッシャーになることもできる。マッチアップする酒井宏樹は「大久保さんを抑えれば勝てる可能性は高くなる。クリさん（栗澤）、マスくん（増嶋）とのマークの受け渡しに注意して、みんなで守れば抑えられない相手ではない」と語る。U-22日本代表候補に名を連ねるこの若者が、日本を代表するアタッカー相手にどう対峙するかにも注目だ。
ネルシーニョ監督の説く戦術は日に日に成熟度を増し、新戦力もフィットしている。若手の成長も著しく、円熟味を増した北嶋はここまでの４ゴールという数字が物語るとおり好調だ。前節の名古屋戦で、体調不良により欠場を余儀なくされた大谷秀和は、今週火曜日のトレーニングでは元気に顔を出し、試合では問題なく舵取りを任されるだろう。おそらくスターティングメンバーは浦和戦、新潟戦と同様になる。さらに、月曜に行われたF東京との練習試合では兵働昭弘、安英学、水野晃樹、澤昌克、工藤壮人らも好パフォーマンスでネルシーニョ監督へのアピールに成功した。普段から良いポジション争いが繰り広げられ、今後の上位戦線へ向けて柏の戦力の底上げは着々と進んでいる。
約１カ月ぶりの日立台での試合、いかなる天候であろうと太陽王は眩い輝きを放つ。
以上
2011.05.27 Reported by 鈴木潤
