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【J2:第14節 横浜FC vs 熊本】プレビュー:あの名コンダクターが帰ってくる。安定感ある強敵・熊本戦の勝利の鍵は、信頼感を共有し力を出し切ること。(11.05.28)

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5月28日(土)J2 第14節 横浜FC vs 熊本(16:00KICK OFF/ニッパ球チケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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横浜FCがなかなか勝てない。積極的な補強を行い優勝を目標と掲げたシーズンで、その期待感と勝利の間には大きな谷が横たわっている。昨シーズンの後半の快進撃に、走れる、戦える、上手い選手を加えても、そのままうまく足し算のようにならないことを痛感させられている。選手が噛み合えば、難しいJ2というリーグの中でも主導権を持った攻撃サッカーで勝てるだけの戦力なのは間違いない。しかし、ピッチの中の選手が、勝利への橋の渡り方を忘れてしまっている。

勝てない要因は様々あるだろうが、最も問題なのは一度流れが悪くなった時に立て直しができなくなっていることだろう。前節の岡山戦も最初の15分は、岡山を完全に圧倒、点を奪うのは時間の問題かと思われた。しかし、試合後に岸野靖之監督が「途中から中盤でミスが起きるようになって、みんなが動く距離、前に行く強い部分が消えた」と振り返ったように、サイドへの展開でミスが出始めると急激にプレーからダイナミズムが失われるようになった。試合中に声を出す選手は沢山いる。しかし、この声が1つの方向でまとめらないうちに90分が終わっているのが実情だ。

勝利のための最大の鍵は、ピッチ上のメンタル面での交通整理。この仕事のスペシャリストが、熊本戦で帰ってくる。その男の名前は、八角剛史。自ら「自分にゲームを決めるようなテクニックはない。だから、守備のオーガナイズによりチームを変えることで勝負したい」と語る。駒澤大学ではキャプテンを務め、2008年に横浜FCに加入してからも、ピッチ上でキャプテンシーを遺憾なく発揮。岸野監督となった昨シーズン、今シーズンと副キャプテンを務める。今シーズンは、シーズンオフに行った手術の影響で、やっとゲームに復帰できるようになった。

「怪我については問題ないし、プレーでの躊躇も全くない。ゲームでは、俺が主導権を握るつもりだし、(練習試合のあった)今日『俺の声を聞けよ』と言った。守備の部分では、絶対に俺が主導権を取るので、攻撃の部分は出来る人がやるという信頼感が重要だし、それを確立したい。去年も(怪我で出遅れて)僕が出始めて、守備をオーガナイズしてからチームは勝ち出した。今年は簡単にいかないかもしれないが、同じことをできればと思う。現状を変えられたら、この上ない喜びだと思う。あとは、口だけでなくてこの言葉に説得力を持てるようなプレーをしたい」(八角)

もちろん、八角の存在だけがチームを良くする魔法というわけではない。しかし、ピッチ上で交錯する選手のメンタルを束ねてリードするコンダクター(指揮者)が加わることが触媒となり、全ての選手の力を90分間出し切る状態になれば、自然とサポーターの期待に沿ったサッカーとなってくるだろう。勝利への谷に掛かる細い橋の入口で谷底を見てしまうようなメンタルではなく、谷にかかる他の橋を探すぐらいのメンタル的余裕を持てるかどうか。力のあるブラジル人選手が戻り、そして名コンダクターが戻ったこの熊本戦が、チームのターニングポイントとなる。

対戦相手の熊本の状態は対照的だ。横浜FCサポーターなら身にしみて理解しているように、高木琢也監督らしい守備での安定感は抜群。エジミウソンが核となりDFとMFが組織的に機能する守備は、前節の千葉戦でも遺憾なく発揮された。そして、身長のある長沢駿を中心として、横浜FCにも在籍した根占真伍、片山奨典が有機的に絡む攻撃は、自信を持ったはっきりとしたプレーをしてくるだけに、根負けすればゴールに繋がる。7試合で得点5失点3ながら、3勝3分1敗、勝点12で6位につけているのは、偶然ではなく合理的な結果だ。前節の千葉戦も「パーフェクト」と指揮官が述べたように、首位千葉を相手に、プレー的にもメンタル的にも優位に立つプレーを展開した。この横浜FC戦でも、その充実ぶりを遺憾なく発揮してくるだろう。

試合のポイントは、非常にシンプルだ。安定した守備を誇る熊本に対して、横浜FCはボールを繋ぎながら攻撃を仕掛ける。熊本が横浜FCのミスを見逃さずゴールに結びつけられるか。それとも横浜FCがミスを恐れず自らのスタイルを貫き、守備的なチームを打ち破る本来の姿をピッチに表現できるか。その意味で、先制点が非常に大きな意味を持つゲームとなる。試合を決するポイントが、横浜FCへのミスへの対応や、熊本の守備組織にあるだけに、特に両チームのボランチ、八角とエジミウソンの出来が大きな意味を持つことになるだろう。

今年のJ2は、本来の力が発揮できずに順調にいっていないチームが多い。それだけに、いち早く立て直すことができればまだまだチャンスがはある。今の熊本は難敵なのは間違いないが、そのきっかけになるか。この試合は、シーズン全体で見ても重要な試合となる。

以上

2011.05.27 Reported by 松尾真一郎
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