6月5日(日) 2011 ヤマザキナビスコカップ
浦和 2 - 0 山形 (15:00/埼玉/23,275人)
得点者:45' エジミウソン(浦和)、89' 原口元気(浦和)
☆ヤマザキナビスコカップ特集ページ
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待ちに待っていた瞬間がついに訪れた。浦和は山形を2−0で下し、実に公式戦7試合ぶりとなる白星を飾った。ホームの埼玉スタジアムでは5試合ぶりの勝ち星。久しぶりに勝利の美酒を味わうことができた。
浦和はGK加藤順大が指揮官の宣言通りに今季初スタメンを飾り、オーストラリア代表に招集されたスピラノビッチの代わりに山田暢久がDFラインに入ったが、残りのメンバーは前戦を踏襲。高崎寛之、エジミウソンを2トップに置く、4−4−2の形も継続した。
「前半は素晴らしいプレーをしていた」とペトロヴィッチ監督は振り返ったが、実際はどちらも攻め手不十分という時間帯が長かった。浦和の方がボールをキープする展開は多かったかもしれないが、山形は引いてブロックを作って待ち構えるのが基本形なので、当然と言えば当然の流れ。後方で多少つなげても、中盤から前でボールが効果的に回ることは多くなかった。
ただ、そういったなかでも随所に光るプレーを見せていたのが高崎寛之だ。DFラインの裏、サイドバックの背後のスペースにタイミングよく動いて後方からパスを引き出し、守りを固める山形に対してほぼ唯一の脅威となっていた。実際、浦和が前半に作ったチャンスのほとんどは高崎の飛び出しから生まれていた。
先制点も高崎の鋭い動き出しが呼び込んだものだった。宇賀神友弥の縦パスに反応し、ペナルティエリア内でボールを受けた際に倒されてPKを獲得。「常に裏を狙っていたし、いいところにパスが出てPKをもらうことができた。ああいうところは狙っている」と本人も胸を張る“アシスト”で、エジミウソンの先制PK弾を演出した。
高崎は後半に入っても動き出しの良さでチャンスに絡んだ。54分にはトラップさえ決まっていればビッグチャンスという場面を作り、その7分後には裏への飛び出しで惜しいシュートを放っている。本人が「僕が決めていればもっと楽な試合になっていた」と悔しがったように、前半を含めていくつかあったチャンスをものにできていれば勝敗は早期に決していただろう。
対する山形は敵陣でボールを収めることすらなかなかできなかった。いつものように「引いて守って、自分がターゲットになる」(長谷川悠)戦術で挑んだが、そのやり方は機能しなかった。「自分に対して厳しくいくというのが決まっていたと思う。1トップだからセンターバック2人が声をかけて、1人がカバーできるし、厳しくきていた」と長谷川が唇を噛んだように、浦和はハイボールが飛んできたら永田充が競り合いにいって高確率で跳ね返し、味方は周囲でサポートという形で危ない場面を作らせなかった。
長谷川はポストプレーで起点になろうとしても、足元にパスが入る本数自体が少なく、前線で完全に孤立。「競り合う場面が多くて、組み立てのところでうまくいかなかったし、チームとしてもうちょっと協力してやらないと。チャンスも少しはあったけど、いきあたりばったりの攻撃が多いし、ミスも多い」と下を向くしかなかった。
中盤から前にボールが運べないのでクロスまで持っていく形も作れず、長谷川がクロスを頭で合わせたのは71分のシーンくらいだった。その直後にはハイボールの競り合いの流れからチャンスを作ったが、ゴール前フリーで決定的を迎えた伊東俊のシュートはGK加藤のファインセーブに阻まれた。ちなみに、長谷川の空中戦のこぼれからチャンスを作れたのもこのシーンくらいだった。
山形は83分、山田拓巳を下げて大久保哲哉を投入し、3バックに変更して前の人数を増やすが、この交代は完全に裏目に出た。急造3バックに変えたことで守備陣は混乱をきたし、さらに浦和には同じタイミングで中盤のリンクマンになれる山田直輝が入っていたことで、山形は浦和のパスワークに翻弄されるようになってしまった。「ちょっと点を取れそうだったので3バックにしてしまった。その私の判断はどうだったのかわからない」と小林伸二監督は語っていたが、その采配はプラスよりもマイナス面の方が大きく出る結果となってしまった。
そして浦和は89分、カウンターから原口元気が右足で巻くシュートを打つと、相手DFの足に当たってコースが変わりゴールイン。ホーム&アウェイの一発勝負という今年の大会方式を考えると、1−0で終わるのと2−0では同じ勝利でも意味合いが全然違う。山形にとっては痛すぎる2失点目となった。
浦和は長く暗いトンネルからようやく抜け出ることができた。次はリーグ戦だ。この勝利で得た勢いをそのまま持ち込み、大宮とのダービーマッチを制す。
以上
2011.06.06 Reported by 神谷正明
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