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【ヤマザキナビスコカップ 甲府 vs 清水】レポート:清水から初勝利を奪い取った甲府。しかし、まだ道半ば。でも、嬉しい。(11.06.06)

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6月5日(日) 2011 ヤマザキナビスコカップ
甲府 1 - 0 清水 (15:01/中銀スタ/10,466人)
得点者:66' ハーフナーマイク(甲府)
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甲府が初めてJ1リーグで対戦したチームが清水。06年の第1節・ホーム小瀬(現・山梨中銀スタジアム)だった。柏との入れ替え戦を制して初のJ1昇格を果たし、元清水の監督だった大木武監督(現・京都監督)も選手もサポーターも新しいファンも盛り上がって迎えた記念すべき試合。覚えているのは、甲府が主導権を取って戦った時間は少なくなく、「勝てる」という期待と高揚感を感じながら見ていたということ。しかし、甲府のシュートは決まらず14分にチョ・ジェジンに決められ、81分に枝村匠馬にダメ押しゴールを決められて敗れた。09年の天皇杯4回戦を含めて清水とは5回戦ったが最初の対戦が一番勝てそうな試合だったように覚えている。

最初の対戦から5年。そのとき先発した清水の選手で今も在籍しているのは枝村だけ。甲府は山本英臣だけと選手の移り変わりに時間の流れを感じる。そして、清水の先発だった伊東輝悦と市川大祐は甲府の選手になった。清水の主力中の主力だった2人を戦力に加えて甲府のキックオフで始まった戦いは、5年前同様に甲府が主導権を持って進んでいった。違うのは「勝てる」ではなく、清水に対する苦手意識と降格というJ1の苦い味も知っているから「勝てるかも」という気持ちで見ていたということ。

不動のセンターバックだったダニエルをボランチに置いた甲府は、清水を受ける立場に追いやる内容で前半の半分まで戦った。アフシンゴトビ監督はずっとタッチライン際まで出て指示を出していたが、清水は奪ったボールや甲府のミスから手にいれたボールを生かせなかったし、通訳がベンチに座ったままで指示が通じるのだろうかと思って見ていた。しかし、前半の後半はこう着状態になり、甲府のラストパスの精度に問題があることと清水の大前元紀、小林大悟、高木俊幸が危険な選手だということに加えて、互いのGKが不安定だということが見えてきた。つまり、どうにでも転ぶ内容。27分には甲府が決定機を迎えるがシュートに至らず。28分には清水が小林の上手さとキレのあるキープ力と展開力を生かして最後は大前がGKをかわしたが、シュートは打てずに転がるボールは枠の外へ。この時間帯の清水はボスナーからシンプルにディフェンスラインの裏を狙うボールも出るし、小林、高木俊幸のテクニックとスピードが両立したコンビネーションという武器が目立つようになった。しかし、3トップの中央に入る伊藤翔の存在をたまに思い出す程度だったし、甲府も最後の部分では穴を作らなかった。

後半はお互いに交代カード切って勝負に出る。清水はまだ90分間は無理な小林を下げて永井雄一郎を、甲府は柏好文を下げて片桐淳至を投入。甲府は主導権を持っているようにも見えたが、最後のクロスは清水のセンターバックの頭を狙って蹴っているのかことごとく跳ね返されていた。スペースがある選手にボールが渡っても、ファーストタッチでミスすることが多くチャンスを潰していた。清水の選手はファーストタッチの技術が高く、甲府のようなミスはなかったが、前線の選手で機能している選手と機能していない選手がハッキリしていたから、4−3−3のストロングポイントが出せていなかった。甲府は片桐から何本かいいクロスが出たが、ハーフナー・マイクとのホットラインは話中でツーツーツー。そんなときに出たのが右サイドバック一筋・清水が生んで育て今は甲府の伝家の宝刀 、市川のクロス。最初の狙いがどこだったのかは分からないがサイドバックの太田宏介に少し当たったクロスはマイクの頭上に落下するコースに軌道修正。それをマイクが叩きつけてゴール。これは甲府が清水から奪う初めてのゴール。そう、今までは勝てなかったばかりかゴールも決めたことがなかった。

リードを許した清水は当然前掛り。ドリブルで切り込み甲府のファールを誘ったFKも手に入れるし、ペナルティエリアの外までは何度も攻め込む。しかし、焦りなのかここまで嫌で仕方がなかった大前、高木のプレーに少し荒さも出てきた。前掛りのお陰で甲府はカウンターのチャンスを何度も貰うが、79分にペナルティエリア内のシュートを外したマイクは「やっぱり俺(様)の右足はヘボい。打ったら入るだろうと思ってゴールの左下を狙ったけれど…。勿体無かった」と右足を呪った。85分、南米美人の嫁の尻に気分よく敷かれているパウリーニョがGKとの1対1を外したときは(家に帰ったら絶対に怒られると)心配したが、試合後、パウリーニョのプライベートコーチでもある嫁に「今夜は怒る?」って聞くと、「(ケガのため)1ヶ月ぶりの出場。今日は問題ない」ってまじめに話したからマメの入ったブラジル的な晩飯も出ただろう。結局、甲府は追加点を決めることが出来なかったが清水も同点に追いつくことが出来ずに1−0。清水はベストメンバーを組めなかったようだが、勝ちは勝ち。甲府が遂に清水に勝った。

甲府が清水に初めて勝ち、この夜「JIN -仁-」では野風さんに無事子供も生まれ母子共に健康。「歴史は変らないわけじゃない」という言葉の重みをアルコール部の練習に出ていなかった甲府サポーターは感じたはず。でも、清水は次の7月27日(@アウスタ)はギリギリとネジを巻いてくるはず。試合後、清水サポーターは愛情と敬意をこめて伊東と市川にコールを贈ってくれたが、それはそれで次は容赦しないはず。甲府はアウスタのレカロぽいベンチのバケットシートが苦手。伊東も「あれはフィット感がよすぎて身体が沈むから逆に試合が観難い(笑)」と言うくらいだから、甲府のベンチだけパイプ椅子に変えてもらう対策も必要かもしれない。リーグ戦も心配だが、清水の壁を乗り越えれば次も苦手オレンジの新潟。でもまだ半分終わっただけ。新潟と戦うためにもリーグ戦を右肩上がりで戦い、7月27日も敬意を込めて謙虚に戦い、アウスタで勝とう。

以上

2011.06.06 Reported by 松尾潤
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