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【J2:第15節 鳥取 vs 京都】レポート:積極性が生んだ2ゴール。鳥取が不調の京都を下し、待望のJ2ホーム初勝利を挙げる。(11.06.06)

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6月5日(日) 2011 J2リーグ戦 第15節
鳥取 2 - 1 京都 (13:03/とりスタ/3,406人)
得点者:44' 実信憲明(鳥取)、81' 小井手翔太(鳥取)、90'+1 久保裕也(京都)
スカパー!再放送 Ch181 6/6(月)後02:30〜
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4月30日の富山戦は、主導権を握りながらも攻め切れずにスコアレスドロー。5月8日の千葉戦は、守備陣が奮闘して『90分間』は無失点に封じたものの、試合終了直前の90+3分に痛恨の失点を食らった。5月22日の水戸戦は立ち上がりに先制してホーム初得点を奪ったが、前半のうちに追い付かれると、失速した後半は防戦一方で1−1の引き分け。鳥取はJ2昇格後の過去3試合、なかなかホームで勝つことができなかった。

しかし、今回は違った。後半のアディショナルタイムが3分で、その間に失点した(90+1分)のは千葉戦と同じだったが、それまでに2点を奪っており、逃げ切りに成功。終了のホイッスルが鳴った瞬間、とりぎんバードスタジアムは、ついにつかんだJ2でのホーム初勝利の喜びに沸いた。

松田岳夫監督は「ポゼッションが非常にうまい相手に、ある程度ゲームを支配されるという予想は立てていた」と振り返るが、実際にはボール支配率で大きな差は出なかった。前半は高い位置から連動してボールを追う守備が機能していたことに加え、京都が中盤でミスを多発したこともあり、あっさりボールを奪い返して攻め込み、ミドルシュートやセットプレーなどでゴールを脅かした。

それでも得点は生まれず、0−0で折り返すかと思われた前半終了間際、貴重な先制点が生まれる。左CKからのこぼれ球に実信憲明が走り込み、中央左寄り、約25メートルの距離からミドルシュート。低い弾道のボールがニアサイドを破り、鮮やかにネットを揺らした。

優位に進めた上に、先制して前半を終えた鳥取だが、守備面では不安ものぞかせていた。ロングパスに合わせて裏のスペースに走り抜ける相手をつかまえられず、大きなピンチになっていたのだ。京都のショートパス主体の攻めを警戒する一方、ロングパス1本で裏のスペースを狙うプレーは少ないとみていたこともあって、13分と19分に中山博貴にフリーで抜け出されており、何とか防いだが、2点を失っていてもおかしくなかった。
 後半、反撃に転じたい京都とすれば、ここが狙い目の一つだった。この試合に向けての準備では、6月1日の練習試合の後に中盤を組み替え、それまでのフラットに近い形からダイヤモンド型に変更。大木武監督の「ディフェンスもオフェンスも、もう少し前でプレーしたい」という考えによるもので、それに伴って中山は中盤から左ウイングにポジションを上げており、ラインをすり抜けるうまさを発揮してチャンスに絡んでいた。

そして62分、中山がまたしてもロングパスに合わせてフリーで抜け出し、右サイドからゴールに向かって独走。中央からはディエゴもサポートに来ており、同点は間違いないかと思われた。しかし、ディエゴを狙った中山のパスが乱れ、誰も触れずにゴールラインを割り、両チームを通じてこの日最大の決定機を逃した。

ピンチを逃れた鳥取は81分、貴重な追加点を奪う。ゴール前で相手のミスパスを拾った小井手翔太がドリブルで持ち込み、左足でループシュート。右上スミに決まり、勝利に大きく近づいた。
本人はゴールシーンについて「ボールを奪った瞬間は、周りの選手もフリーだったので、どうしようかと思ったんですけど、松田監督によく『空いている選手や、見えている選手に出すのは普通だよ』と言われていたので。打ってみようかな、と思って打ったら入った」と振り返る。先制点を決めた実信も、ミドルシュートの精度はお世辞にも高い方ではなく、本人も「ああいう場面で、これまでならパスを優先していた」と語るほど。しかし松田監督からは常に、自らゴールを狙う姿勢を求められており、意識改革を進めてきた上での積極的な選択が、好結果につながった。

結果論とはいえ、京都は鳥取とは対照的で、62分のプレーに代表されるように、慎重な選択が悪い方に出ている。1年でのJ1復帰を掲げながらも低迷が続き、チーム全体が自信を失っていることを感じさせる試合展開だった。終了直前に久保裕也が1点を返したものの、時すでに遅し。中山は「切り替えて前に進まないことには勝利は奪えない。チームとして勢いをつけるためにも、どうしても勝ちが欲しいというのは、みんなの気持ち。結果を得ることで、自分たちが自信をつけていくしかない」と語ったが、システム変更も結果につながらず、低迷脱出には時間がかかる可能性もある。

鳥取も、戸川健太が「後半のピンチは決定的で、普通なら1点。結果だけ見てよし、という感じ」と振り返るように、京都の不調に助けられた部分も多かった。とはいえ、最後まで粘り強く走り抜くハードワークで『らしさ』を見せ、シュートの積極性など、これまで課題とされていた点には改善の兆しが見られた上での勝利は、J2初挑戦のチームにとって大きなステップ。キャプテンの美尾敦は「ここがゴールではないし、まだまだ修正すべき点はあると思うけど、継続してやっていくこと、みんなで一つになってやっていくことが大事」と、今後のさらなる成長を期していた。

以上

2011.06.06 Reported by 石倉利英
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