6月5日(日) 2011 ヤマザキナビスコカップ
横浜FM 1 - 1 神戸 (15:00/ニッパ球/8,101人)
得点者:74' 青山直晃(横浜FM)、90'+3 ホジェリーニョ(神戸)
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横浜F・マリノス、キム クナンのパスに飛び込んだ谷口博之のシュートは枠外へ。その直後、ドローを告げるホイッスルが響いた。谷口はシュートを外した体勢のまま、大の字に寝そべり、放心状態。その横でキム クナンは両ヒザに手を当て、ガックリうなだれる。
一方のヴィッセル神戸は“ホジェリーニョ祭り”である。アデショナルタイムに同点弾を叩き込んだ彼をゴール裏サポーターが祝福。彼の名前を連呼し、大盛況だった。このように、横浜FMにとっては最後に白星が転がり落ちる“暗い引き分け”、神戸にとっては第2戦につながる“明るい引き分け”に終わった。
前半は、開始早々のピンチを除けば、横浜FMが流れを掌握する。ピンチとは神戸の前半最大の好機。ホジェリーニョのスルーパスで抜け出した小川慶治朗のシュートはミートせず、GK飯倉大樹の左手に収まる。
横浜FMは中村俊輔がパスサイズをうまく使い分け、攻撃をリード。特に今季初出場の左DF金井貢史の攻め上がりを生かすシーンが何度も見られた。
その金井は、20分にゴール前でのこぼれ球をフリーで狙う絶好機があったが、決め切れず。6分後には横パスを谷口が中で合わせるも、シュートはクロスバーを直撃。「前半に1、2点決めていれば、全然違ったゲームになっていたと思う」(谷口)。その流れになっても、おかしくない展開が続いていた。
だが、後半に入ると、神戸の守りが横浜FMの攻めのリズムに慣れたせいもあり、大きな破綻を見せなくなる。横浜FMも疲れの影響もあるのか、前半ほど流れに乗ったつなぎが見られず、拙攻がちらつくように。そんな矢先に横浜FMの先制点が74分に決まる。得点者は移籍後初出場の青山直晃。その2分前に投入されたばかりの狩野健太が蹴った低い弾道のCKを合わせた。
だが、残り10分を切ると、神戸らしい速いカウンターが発動。それは和田昌裕監督の手腕による部分が大きい。
「有田(光希)を入れて4−4−2から4−1−4−1に変えた。それによってホジェリーニョを右にもっていったのだが、彼がよりボールを触ることになって、F・マリノスさんには嫌な存在に、真ん中にいるときよりもさらに守りにくくなったのではないか」
87分にもホジェリーニョは右から切り込み、ミドルを放っている。これは同点弾とほぼ同じ形。90+3分の値千金の得点は、石櫃洋祐が高い位置でボール奪取し、ルーズボールをホジェリーニョが拾って、利き足の左足で突き刺した。
一方、横浜FMは危険な選手だと分かっていたにもかかわらず、ホジェリーニョに一発を決められたわけだ。その一因は、2点目を取りに行くのか、1点を守るかが、あいまいだったためだろう。今季、木村和司監督や選手がよく口にする「したたかさ」が足りなかったのかも。だが、大久保嘉人不在の神戸を終盤までポゼッションで圧倒していただけに、「あいまいだったいう部分を差し引いても勝たなければいけなかった」(小林祐三)。これが横浜FMの本音に違いない。
以上
2011.06.06 Reported by 小林智明(インサイド)
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