スカパー!生中継 Ch183 後01:50〜
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「チームは勝利を目指して一丸となっており、雰囲気は悪くない。厳しい状況は続いているが、勝つことによって何かを変えられれば、1勝がチームの状況を変えてくれるはず、と信じてやっている。今はその思いしかない。まずは週末の試合で勝利を手にすることだけを考えてトレーニングを続けている」(田中誠)
その言葉は、選手たちだけではなく、福岡に関わるすべての人たちの思いを代弁している。内容は悪くない。しかし、ヤマザキナビスコカップを含めて9試合も勝ちがなく、同じような敗戦を繰り返している現実は、自分たちに決定的な何かが足りないことも意味している。その足りない何かを手に入れるために、これまでの試合で明らかになった課題を整理するために、日々、たゆまないトレーニングを重ねているが、勝負の世界で最優先されるのは結果。最高峰の舞台での戦いに手応えを感じ、着実に一歩ずつ進歩しているとは言っても、結果が伴わなければ先へは進めない。言い尽くされた言葉だが「“勝利”こそが最良の薬」。福岡は、その2文字だけを求めてレベルファイブスタジアムのピッチに立つ。
迎える相手はC大阪。福岡同様、リーグ戦ではまだ勝ちがない。しかし、ACLでJリーグ勢として唯一ノックアウトステージに進出しているように、実力の高さは誰もが認めるところだ。福岡にとっては、これまでのどの戦いよりも厳しいものになることは間違いない。最大の特長は攻撃力。ホドリゴ ピンパォン、マルチネス、キム ボギョンらの外国籍選手の高い実力はもとより、小松塁、清武弘嗣、乾貴士、倉田秋ら攻撃力に特長を持つ選手が揃う。さらには、高い位置取りをする両サイドバックも積極的に攻撃へと顔を出す。誰が出るにせよ、どのフォーメーションで来るにせよ、その攻撃力が脅威であることに変わりはなく、しかも、まだ勝ち星がないという状況の中では、アウェイであっても積極的に攻めに出て来ることは明白で、勢いに乗せてしまったら手が付けられなくなる危険性は高い。
そんなC大阪に対して福岡が勝利するための最低条件は、先制点を与えないことにある。互いの力関係から見れば、C大阪がボールを保持して攻め上がるシーンが多くなることが予想されるが、ただラインを下げるだけの守備や、人数をかけるだけの守備では、C大阪の思うようにやられてしまう。「下げさせられて前へ行けなくなると、マルチネスの強烈なミドルシュートが飛んでくるし、それにつられて前へ出れば、2列目から飛び出してくる相手を捕まえられない」と神山竜一も話す。福岡にとって求められるのは、ひたすら耐える守備ではなく、自分たちの最大の持ち味である「高い位置からのプレッシャーと、奪ってからの素早い攻撃」を活かすために、どのように守るかということ。前に出て来るC大阪のパワーをいなし、ボールを回されるのではなく、ボールを回させ、チャンスを見極めて前へ取りに行く守備ができるかがポイントだと言える。名古屋戦以降、チームはトレーニングを通して、流れに応じた守備の確認を行ってきたが、それが実戦の場で活かされるかに注目したい。
一方、攻撃面でのポイントは高い位置を取ってくるC大阪の両サイドバックの裏のスペースを、いかに効果的に使えるかということ。「高い位置でのプレッシャーからボールを奪い、時間をかけずにシュートまで持ち込むことができればチャンスはある。両サイドの裏のスペースを利用して、素早く相手の背後を突くというチームの狙いがはまれば自分たちのペースになる。相手の両サイドバックは高い位置から仕掛けてくるが、だからと言って下がってしまったら相手の思うつぼ。そこはしっかりと対応したい」と城後寿も話す。
いずれにせよ、C大阪との対戦が難しい戦いであることに変わりはない。技術面で足りない部分があることも認めざるを得ない状況にもある。しかし、戦いの場所はホーム・レベルファイブスタジアム。チームだけの力ではなく、スタンドを埋める多くのファン・サポーターの力もある。1人、1人の力が足りないのなら、すべての力を結集して戦えばいい。そうして福岡はいくつもの勝利を重ねてきた。下を向かず、前だけを見つめて、全員が心をひとつにして前に出るパワーを生み出すこと。そうすることで新しい道が見えてくる。
以上
2011.06.10 Reported by 中倉一志













